奈良市歴史的風致形成建造物とは
平成27年2月、奈良市内に残る伝統的な建造物と、そこで営まれる人々の生活及び周辺の市街地が一体となって形成する良好な市街地環境(歴史的風致)を維持・向上し、その継承を図るため、「歴史まちづくり法」により「奈良市歴史的風致維持向上計画」の認定を受けました。
「奈良市歴史的風致維持向上計画」では、特に多用な歴史的風致が重なりを見せる区域である「奈良町及び奈良公園地区」を重点区域と定め、歴史的風致の維持及び向上のために必要かつ重要と認められる建造物を「歴史的風致形成建造物」に指定し、保全を図る取り組みを積極的に行っています。
歴史的風致形成建造物の指定
奈良市歴史的風致維持向上計画で定める重点区域において、歴史的風致を形成し、さらに歴史的風致を高めるために必要かつ重要と認められる建造物を、「歴史的風致形成建造物」に指定します。
・指定する際には、奈良市長が建造物の所有者、教育委員会、及び第三者機関の意見を聴取します。
・指定することについて、所有者(共同所有の場合は、全員)の同意が必要です。
指定の対象
- 登録有形文化財及び登録記念物
- 県指定有形文化財及び県指定史跡または県指定名勝
- 市指定文化財
- 景観重要建造物
- 都市景観形成建築物 等
- その他、歴史的風致の維持及び向上に役立てると認められるものであり、かつ概ね昭和中期以前に建設されたもの
指定の基準
奈良市の歴史的風致※を維持向上するために重要な建造物であり、次のいずれかに該当する建造物
- 意匠性、技術性が優れているもの
- 歴史性、地方性、希少性の観点から価値の高いもの
- 外観が景観上の特色を有するもの
※奈良市の歴史的風致
- 古都奈良を代表する祭礼・行事にみる歴史的風致
- 地域の祭礼・行事にみる歴史的風致
- 民間信仰にみる歴史的風致
- 社寺・名所・旧跡への探訪にみる歴史的風致
- 文学・芸術活動にみる歴史的風致
- 平城宮跡の保護活動にみる歴史的風致
- 奈良公園にみる歴史的風致
- 奈良町のコミュニティと町家の暮らしにみる歴史的風致
- 伝統的な工芸と産業にみる歴史的風致
- 茶の文化にみる歴史的風致
歴史的風致形成建造物に指定されたら…?
- 指定された旨を、奈良市において告示します。
- 指定後にお渡しする、歴史的風致形成建造物である旨の標識を建物に設置していただきます。
- 修理の際に、奈良市の補助支援が受けられます。(下記参照)
- 増築、改築、移転または除去する場合、着手日の30日前に届出が必要になります。行為に関して設計の変更等の措置を講ずるように勧告することがあります。(下記参照)
- 所有者を変更するときに届出が必要になります。(下記参照)
歴史的風致形成建造物の指定に伴う支援
(1)歴史的風致形成建造物の修理に係る補助支援
指定した歴史的風致形成建造物を維持修理、または、復原修理する場合の補助制度があります。(奈良市歴史的風致形成建造物保存整備事業補助金)
補助制度を利用する場合の条件
- 奈良市と一般公開に関する協定を締結する必要があります。外観のみの一般公開とすることも可能です。ただし、補助を受けた部分は必ず一般公開していただきます。
- 補助を受けた箇所について、10年間の現状変更の制限が生じます。(市長の承認を得ずに、現状を変更した場合は、補助金を返還していただく場合があります。)
- ホームページ等で外観写真、工事内容(事業費、補助額等)を公開させていただきます。
補助の制度
主要な道路に面する外観の維持・保存を目的とした修理にかかる工事費のうち、補助対象経費の10分の8以内の額、かつ1,000万円を上限とした補助。
※奈良市歴史的風致形成建造物保存整備事業補助金の詳細は、こちらからご覧ください。
(2)相続税算定における評価額の控除による支援
歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地でないものとした場合の価額から、その価額に100分の30を乗じて計算した価額を控除した金額によって評価されます。
詳しくは、(国税庁のホームページ<外部リンク>)をご覧ください。
歴史的建造物の指定に伴う義務等
(1)所有者の管理義務
指定を受けた建造物の所有者及び管理者は、建造物の保全に支障を来たさないよう適切に管理する義務が生じます。
(2)増築等の維持、保全、継承に伴う義務
- 建造物の増築、改築、移転または除去を行う場合は、着手する日の30日前までに、市長に届出が必要になります。市長が建造物の保全に支障を来すと認めた場合には、設計の変更等の措置を講ずべきことを勧告することがあります。
- 建造物の所有者が替わったときには、新しい所有者は市長に届出が必要です。
指定の流れ
- 所有者から指定の提案を受けた場合、または、奈良市が候補として選定した場合、所有者の方に制度の説明を行い、指定に向けた相談を行います。
- 現地調査を行い、歴史的風致形成建造物の指定の際に必要となる図面・調書等の資料を作成します。
- 作成した資料、一般公開の範囲について、所有者の方に確認します。内容に納得いただいたら、指定に対する同意書を提出していただきます。
- 歴史的風致形成建造物の指定について、なら歴史まちづくり推進協議会から意見を聴取します。その結果に基づき、奈良市歴史的風致維持向上計画に指定の候補建造物として掲載します。
- 歴史的風致形成建造物保存整備事業補助金に応募している場合は、候補物に掲載されると事業を実施できます。補助事業を実施した場合は、奈良市と一般公開の協定を締結します。
- 工事完了後、奈良市教育委員会に意見を聴取します。
- 意見聴取の結果に基づき、候補建造物を歴史的風致形成建造物に指定します。
- 奈良市から歴史的風致形成建造物である旨の標識を渡しますので、建物に設置していただきます。
※ 歴史的風致形成建造物の指定は、建造物の所有者の方(共同所有者等、複数人で所有する場合はその全員)の意見を聴いて行うもので、強制するものではありません。
所有者の方の承認を得られない場合は、歴史的風致形成建造物の指定の手続きは行いません。
歴史的風致形成建造物の指定一覧(令和6年4月現在)
<外部リンク>
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