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木造地蔵菩薩立像

更新日:2020年3月12日更新 印刷ページ表示

木造地蔵菩薩立像(画像提供:奈良国立博物館、撮影:森村欣司) 本像は、左手第一・二指、右手第一・三指を捻じる地蔵菩薩立像です。宝珠と錫杖(しゃくじょう)を持つ通例の形式と異なり、平安前期に少数の類例のある古式な印相を示す、珍しい像です。
 頭部内に天文15年(1546)12月17日の年紀と「南都宿院仏師定正」の作者名が記され、台座には、同19日、琳勝法師が法界衆生のために造立したことが記されます。それにより、造立年、作者、願主と願意が判明し、頭部制作の二日後に完成をみたことが窺えます。
 宿院仏師(しゅくいんぶっし)は16世紀に活躍した南都の仏師集団であり、奈良県外も含めて80件余りの作品があります。源四郎・源次・源三郎の三世代の、約80余年間の活動が知られ、作者名の多くが俗名を記し、また結縁者に空阿等の法名を名乗る者がいることも指摘されています。
 そうした宿院仏師の作例の中で、本像は定正の銘のある数少ない作品の一つとして重要視されます。定正の銘のある仏像は、源次と併記するもの、定政と記すものを含めて、ほかに天文14年(1545)の奈良県桜井市・東田区薬師如来坐像(奈良県指定有形文化財)、同16年の徳島県・願成寺薬師如来坐像(徳島県指定有形文化財)、同21年の奈良市・正覚寺十王坐像(奈良市指定文化財)が知られるだけです。これらの年代が源三郎の活動の初期と重なることなどから、定正が源三郎と同一人でその法名である可能性も指摘されていますが、いずれにしても定正は源次のもとで造仏の腕を磨き、本像では実制作を独りで担ったと考えられます。
 本像は宿院仏師特有の平明な造形感覚を示しますが、前述の印相、頭部が大きく体躯が短いプロポーション、首が短く両肘の張りが広い正面観、衣褶を腹部と足間とに集中的に刻む衣文表現など、平安前期彫刻を思わせる特徴を備えます。また、別造りの足に枘(ほぞ)穴を設けて足枘を通す一種工芸的な仕口は、鎌倉時代の南都仏師善円が試行した技法です。台座の簡素な形式は、飛鳥・白鳳彫刻の一形式に近似します。こうしたことから、定正はいくつかの古像を参考にし、その形式的特徴を学んで本像を造立したと推測されます。
 本像は宿院仏師定正の銘をもつ数少ない一作であり、宿院仏師の古典学習を示す一事例として注目され、室町時代の南都の伝統を尊重する保守的な造像風土を考える上でも重要です。

  • 件名 木造地蔵菩薩立像
    像内と台座に天文十五年、宿院仏師定正等の銘がある
  • かな もくぞうじぞうぼさつりゅうぞう
  • 数量 1躯
  • 指定(分類) 奈良市指定文化財(彫刻)
  • 指定日 平成29年3月14日
  • 所在地・所有者 奈良市中院町11 元興寺
  • 小学校区 椿井
  • 形状等 像高127.0cm
    頭部内面墨書「南都宿院仏師定正/天文十五年〈丙/午〉十二月十七日」
    台座蓮肉上面墨書「専当五十三時/琳勝法師/以此御地蔵/為法界衆生奉造立者也/天文十伍年〈丙/午〉十二月十九日」
    (/は改行、〈 〉は割書を表す)
  • 備考 室町時代

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