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古都・奈良市にはたくさんの文化財があります。
国宝や特別史跡など、指定・登録された文化財は1000件をこえ、そのほかの有形無形の文化的所産や遺跡なども市内各地に残っています。これらは、わたしたちの先祖の営みと文化を物語る大切な遺産です。
市教育委員会は、奈良市文化財保護条例にもとづき、歴史上、芸術上または学術上価値が高く市にとって重要な文化財を奈良市指定文化財に指定し、それらの保護をはかっています。
令和6年3月27日、次の3件を新たに奈良市指定文化財に指定しました。
分類 | 件名 | 所有者 |
---|---|---|
絵画 | 絹本著色十三仏図 | 興福院 |
彫刻 | 西大寺 | |
名勝 | 興福院庭園 | 興福院 |
※各件名からそれぞれの画像・詳細情報のページへリンクしています。
けんぽんちゃくしょくじゅうさんぶつず
絹本著色十三仏図
本図は、故人を供養する初七日から三十三回忌までの十三回の仏事で順に本尊とされる、如来・菩薩・明王を描いたものです。
裏面の銘文により、室町時代の長禄2年(1458)に菩提講(ぼだいこう)に寄進されたことが分かり、同年の作と推定されます。十三仏図の中で、中世の紀年銘をもつ希少な遺品であり、作風も優れていて貴重です。
もくぞうじぞうぼさつりゅうぞう(ずしいり)
木造地蔵菩薩立像(厨子入)
西大寺奥の院の本尊として厨子内に安置されています。
墨書銘などから、永正11年(1514)に、海竜王寺地蔵院の仙算(せんさん)が源四郎(げんしろう)とともに作り、天文16年(1547)に宿院仏師源次(しゅくいんぶっしげんじ)が頭部を作り直したことが分かります。制作時期と作者が明らかな室町彫刻の基準作で、宿院仏師の歴史を考える上で注目すべき仏像です。当時の地蔵信仰の様相が分かる多数の像内納入品を伴う点でも注目されます。
こんぶいんていえん
興福院庭園
興福院は佐保山南麓の傾斜地に位置し、客殿庭園は斜面に植栽や石組を配します。参道の東側には、三棟の茶室を伴う露地(ろじ)(茶庭)があります。本堂と渡り廊や霊屋(たまや)(奈良市指定文化財)からは、奈良市街地を望むことができます。
斜面地形を巧みに活かした客殿庭園や茶室と一体になった趣のある露地と合わせ、全体が観賞上の価値が高い風致景観を形成していることから、客殿庭園と露地を含む境内の中心部を名勝として指定するものです。