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[現存最古の法蓮造]
旧田中家住宅は、もと奈良市法蓮町(近鉄奈良駅北側700m程)にありました。18世紀末~19世紀初め頃の建築と推定されており、法蓮町(旧法蓮村)にみられる「法蓮造」とよばれる農家のうち、現存最古のものとみられます。
[法蓮造の特徴]
法蓮造の農家は、町家のように奥行きが深い宅地に、隣の家と軒を並べて建っていました。正面に格子を設ける点も町家風です。
一方で、土間が広い点、土間の低い位置に「煙返しの大梁(けむりがえしのおおばり)」という梁をかける点、屋根を扠首(さす)組の草葺とする点などは、奈良にみられる一般の農家と同じです。
このように、法蓮造では、町家と農家の要素がみられるのが特徴です。
| 一般的な農家 | 法蓮の農家 (法蓮造) |
一般的な奈良の町家 | |
|---|---|---|---|
|
敷地 |
短冊型ではない | 短冊型 (いわゆるウナギの寝床) |
短冊型 (いわゆるウナギの寝床) |
| 主屋の位置 | 敷地中央部 | 道路に面する | 道路に面する |
| 主屋の表構え | 板戸 | 格子 | 格子 |
| 主屋の屋根 | 草葺 | 草葺 | 瓦葺 |
| 主屋の土間 | 広い 煙返しの大梁がある |
広い 煙返しの大梁がある |
狭い 煙返しの大梁がない |
[移築・復原]
昭和57年(1982)に文化財指定された後、解体されて部材を保管していましたが、平成2年(1990)に現在地(都跡公民館南隣)へ移築し、復原しています。
[内部の様子]
内部は土間と居室部にわかれています。土間に入ってすぐ右手に牛小屋、その後方にかまどがあります。
居室部は、ナカノマとザシキの2間からなります。ナカノマの棚の上には、かつて使われていた提灯箱を並べています。

旧田中家住宅

法蓮の町並み(昭和60年頃/一部復原)
| 件名 | 旧田中家住宅 |
|---|---|
| かな | きゅうたなかけじゅうたく |
| 数量 | 1棟 |
| 指定(分類) | 奈良市指定文化財(建造物) |
| 指定日 | 昭和57年6月8日 |
| 所在地 | 奈良市五条町204-1 |
| 所有者 | 奈良市 |
| 小学校区 | 都跡 |
| 構造形式 | 桁行10.38m、梁間8.41m、切妻造、茅葺、正面及び背面庇付、桟瓦葺 |
| 年代 | 江戸時代後期(18世紀末~19世紀初め頃) |