- かつて、田起こし(注1)や代かき(注2)などの農作業には牛(注3)を使っていました。奈良では、主屋の入口脇に牛小屋を設ける例がよくみられます。上は物置になっています。
- 牛は、1頭を数軒が共同で飼うこともありました。気候が違い農繁期がずれる平野部と東部高原地域の間では、牛の貸し借りも行われ(預け牛・借牛)、牛が行列を作って移動したといいますが、昭和30年代から機械化がすすみ、やがて牛の行き来もみられなくなりました。
- 田中家では、不要になった牛小屋を車庫に改造していましたが、平成2年の移築の際、痕跡に基づき復原しました。
注1)田植えの準備として、田を掘り起こす作業。
注2)田植え前、田を水で満たし、土を細かく砕き、平らにする作業。
注3)西日本では牛、東日本では馬が多かったようです。