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春日大社の境内にある夫婦大国社の屋根のふき替え工事に合わせて、実際に屋根の板をはがす研修を実施しました。
「こけらぶき屋根」とは・・・国宝や国の重要文化財などの屋根に使用されている薄い木の板を重ねる伝統技法です。しかし、木材を使用しているため火災が発生した際は火が消えにくく、また延焼しやすい構造になっています。
実際にこけらぶき屋根をはがしてみると、木の板が重なっているため火がついた時に垂直方向に燃えやすいことが分かりました。建物自体が火事になっていなくとも、火の粉などを浴びるだけで延焼してしまうケースもあります。
火災が発生した際は、被害を最小限に防ぐ方法として、屋根の燃えている部分に水をかけた上で、早い段階で燃えている屋根をはがすことで延焼を抑えられることが分かりました。
また、水をかけても、屋根の下には水がかかっておらず、外からは見えない部分から火が出てしまう可能性もあることから、屋根の裏面まではがして確認する必要があることが分かりました。
現在、奈良市では978件の指定文化財があります。(令和6年3月27日現在)これらの貴重な文化財を火災から守り、後世に継承していくため、文化財防火運動をはじめ文化財についての知識向上や火災の検証を行ってまいります。