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4月27日開業
まるでモザイクのように、さまざまな歴史資源や文化遺産に出会える「きたまち」。今、このエリアでは、それらに新たな息吹を吹き込み、地域の活力へとつなげる取り組みが進んでいます。その象徴となるのが、近代建築の傑作・旧奈良監獄の保存活用です。点在する文化・歴史を守り、次世代へと受け継ぐ「きたまち」の歩みをひもときます。
平成29年に刑務所としての役目を終えて以降、保存活用が検討されてきた旧奈良監獄。令和4年に国・県・市・星野リゾートによる連携プロジェクトが発表されました。その第1弾として、令和8年4月27日に奈良監獄ミュージアムがオープンします。
美しき監獄からの問いかけ
コンセプトは「美しき監獄からの問いかけ」。監獄という規律が支配する空間で、自由について考えを巡らす体験が提供されます。明治時代の建築に触れることができるほか、刑務所での生活の紹介や国内外のアーティストによる作品が展示され、カフェも併設されます。
今年中にホテルも完成予定
連携プロジェクトの第2弾として、ラグジュアリーホテル「星のや奈良監獄」も同敷地内に開業予定です。客室は、旧奈良監獄の舎房を9〜11室連ねて1つにしたもの。きたまちでも宿泊のにぎわいが期待されます。同ミュージアムのホームページはこちら…https://hoshinoresorts.com/naraーprisonーmuseum/ja/
同ミュージアム前にバス停・駐車場が新設
ミュージアムまでは近鉄奈良駅・JR奈良駅からのバスも利用できます。また、駐車場も北側に整備予定です。奈良テレビ前交差点からアクセスしてください。
アクセス道路に環状交差点を新設
通行方法について案内します。
・環状内の車両が優先
・側端に沿って右回りに走行
・ 出たい地点手前で指示器で合図
くわしくは動画でも紹介…https://www.youtube.com/watch?v=NFOーMSOIM_E
収容施設として建設された経緯を持ちながら、にぎわいの創出拠点としての道を歩み始めた旧奈良監獄。その軌跡をたどります。旧奈良監獄の歩み
・明治
1901年 明治五大監獄プロジェクト始動
黒船来航により不平等条約の締結を余儀なくされた日本にとって、国際社会から認められることは急務でした。当時、監獄は「国の人権意識」を映し出す鏡とされ、監獄の近代化こそが国家の近代化を進める鍵とし、「明治五大監獄」プロジェクトが始動しました。
1908年 奈良監獄完成
設計は、司法省営繕課長だった山下啓次郎さん。欧米を視察し、最新の知見を持ち帰りました。その結果、明治五大監獄は美しい赤れんが造りの意匠と、中央看守所から放射状に伸びる機能的な収容棟を兼ね備え、明治の建築技術の粋を集めた傑作に。政府は1910年の日英博覧会に奈良監獄の模型を出展し、日本の近代化をアピールしました。
・大正
1922年 奈良刑務所に改称
・昭和
1946年 奈良少年刑務所に改称
1991年 第1回奈良矯正展開催
全国の刑務所等で作られた製品や作品の展示等を通じ、地域との交流が増えました。以降、矯正展は定期的に開催されるように。
・平成
2017年 重要文化財に指定 供用を終了
老朽化等のため平成29年に廃庁し、その歴史的価値から国の重要文化財に指定されました。法務省はホテル等として活用する方針を示していたこともあり、同年7月に行われた見学会には、改装前の最後の姿を一目見ようと約1万人が訪れました。同年12月には国・県・市による旧奈良監獄・鴻ノ池運動公園を中心としたエリア活性化の協定を締結。現在は官民連携で、文化財を守りながら活用する新たな再生が進んでいます。
・令和
2026年 奈良監獄ミュージアム開業 星のや奈良監獄開業(予定)
旧奈良監獄の歩みは動画でも紹介。
くわしくはこちら…https://www.youtube.com/watch?v=xHk_i74Y_iA
次のページでは、歴史のモザイク・きたまちの背景を、文化財という視点から掘り下げていきます
きたまちの「動」の核として、鴻ノ池運動公園も進化しています。ロートスケートボードパーク奈良の完成を皮切りに、シャワー完備のロートランステーション奈良や、ランニングコースを整備。ランニングコースには、夜間でも利用できるよう足元照明が設置されました。また、大規模災害時の総合的な防災拠点としての整備も進んでいます。
〇インタビュー…倉橋みどりさん
奈良市観光大使。フリー編集者。お店や人がゆるくつながる「きたまちコンセント」世話役として、きたまちの魅力発信に関わる
近鉄奈良駅の北側に広がる「きたまち」。かつて北の玄関口として、多くの旅人が行き交ったこのまちには、さまざまな時代の歴史・文化が、まちなかや建物に「モザイク」のように散りばめられています。文化財と暮らしが混ざり合う「きたまち」の魅力とは。
歴史・文化財が、まちの暮らしの一部として息づいている
このまちでは、歴史は過ぎゆくものではなく、積み重ねるもの。例えば東大寺転害門は、奈良時代創建当初の数少ない遺構です。でも、そのまま残っているわけではなくて、大仏建立の守り神として勧請された八幡神がここから東大寺に入ったとされることに由来する大注連縄や、後の時代に修理されている部分もあり、積み重ねてきた歴史を間近に感じることができます。
文化財は、まちの人たちの暮らしの一部としても息づいています。地蔵盆や自治会の集会所等、文化財や歴史的な建物が人の営みとともに保存されてきました。数多くの文化財がありながら、生活の香りがすることが、このまちの1番の魅力だと感じています。
保存から活用へ変化の時を迎えるきたまちの新たな挑戦
今、このまちは大きな変化の時を迎えています。旧奈良監獄という、触れにくい場所だったものを保存・活用し、歴史を語る場所に転換する。そういう文化財の見方の変化は、まちにとってもチャレンジでありチャンスだと感じています。きっとまちの宝物の一つになると思います。多くの人に、1300年の歴史が今も地続きにあるこのまちを、ときには予習しすぎず歩いてほしいです。過去の時代も、そのときの人にとっては「今」でした。あなたが今、このまちに来て、文化財を見て感じることを大切にしてください。自分が大きな歴史の中にいることを感じることは、生きていく力になるはずと思っています。
まちの人たちの案内ボランティアによって10年以上続く2つの観光案内所。ぜひ立ち寄って、いろんなまちの魅力を聞いてみてください(旧鍋屋交番きたまち案内所、きたまち転害門観光案内所)
「インターカレッジフォーラム in 奈良きたまち」は、参加大学の学生が地域の人々と深く関わり調査を重ねながら地域の課題解決に取り組むプログラム。令和7年度の成果発表会でも、きたまちの歴史的資源を活用したイベント等、さまざまな提案が飛び出しました。
提案から実際に形になったこのすごろくは、きたまちの文化財や関わった人物等、まちの歴史の積み重ねを学べるもの。「同じポーズをしてみよう」等、楽しむ工夫も随所に。自分たちが暮らす地域の資源を知る機会が少ない子どもたちをはじめ、誰もが楽しみながらまちの魅力に触れられます。
奈良学園大学学生制作「ならきたまち★たんけんすごろく」
くわしくはこちら…https://www.city.nara.lg.jp/site/naramachi/235029.html
1300年の歴史資源が、散りばめられた「きたまち」の魅力は歩いてこそ、自分で見つけてこそ。この春、お花見と一緒にウォーキングに出かけてみませんか?
モデルコース例
(1)旧奈良監獄 西洋の装飾様式を取り入れた近代建築
徒歩2分
(2)般若寺楼門 鎌倉時代に建立された現存する日本最古の楼門
徒歩4分
(3)夕日地蔵 1509年(室町時代)に造立したと伝わるお地蔵さん
徒歩1分
(4)北山十八間戸 鎌倉時代にはじまるハンセン病患者救済施設
徒歩8分
(5)旧細田家住宅 江戸時代建築の市内で最も古い農家住宅のひとつ
徒歩7分
(6)今在家桜広場 春には美しい桜を楽しむことができます
徒歩5分
(7) きたまち転害門観光案内所 昭和15年に建てられた旧南都銀行手貝支店を改修
すぐ横
(8)東大寺転害門 東大寺が創建された奈良時代当時の姿をとどめる
4月26日には「きたまち奈良八重桜巡り」が開催されますよ。くわしくは15ページへ
歴史と現代が響き合う「きたまち」は、これからも文化財を生かしながら進化を続けます。新しいものと古いものとが交差するこの街の未来に、ぜひ期待してください。
問合せ…鴻ノ池運動公園及び旧奈良監獄連携プロジェクトについて:都市政策課(電話番号:0742ー93ー6598)、ロート奈良鴻ノ池パークについて:スポーツ振興課(電話番号:0742ー34ー4862)、災害時の活用について:危機管理課(電話番号:0742ー34ー4930)、その他について:観光戦略課(電話番号:0742ー34ー4739)