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介護・医療や相続、持ち物の整理等を考える「終活」。超高齢社会の到来により、終活はより多くの市民が関係する課題となっています。市の高齢化率(65歳以上の人口の割合)は全国平均を上回り、その差は年々拡大。さらに、ライフスタイルの多様化等も影響し、市内の全世帯に占める高齢者の「おひとりさま」の割合は約2割に達しています。一方で、身寄りのない高齢者を支援する医療・介護・福祉関係者を対象にした市の調査では、緊急時や入院、死後の対応等、要支援者が直面する困難の背景として、本人の判断能力の低下等が挙げられています。誰もが安心して暮らし続けていけるよう、元気なうちからの終活と、そのサポート体制の整備が求められています。
○インタビュー 福本佳苗さん
奈良弁護士会 弁護士。身寄りのない人等の権利を守る市の相談機関「権利擁護センター」等で、アドバイザーとして相談サポートを行う
「終活」とは、人生の最後を考え、身の回りの整理や準備をすること。「でも、決して死に支度ではない。不安を整理し、これからの人生も豊かに、自分らしく生きていくための活動です」。これまで数多くの終活相談を受けてきた弁護士の福本さんは話します。終活を行うとき大切にするべきこととは。
近年、ライフスタイルの多様化により、「おひとりさま」世帯の増加や、核家族化が進んでいます。私自身もそうですが、子どもが独立し、遠方で暮らしているケースも多く、自分の思いを家族と話す機会は減っています。そんな状況で、万一のことがあったら…。自分の思いや情報を伝えるためにも、終活の重要性は増しています。
終活の第一歩としてのおすすめは、「エンディングノート」です。希望する医療や介護、これから実現したいこと等、さまざまな情報を書き留めることができます。できれば、家族や友達等、誰かと話しながら書いてみてください。1人では書き進めにくい人も、自分の中の思いを整理しやすくなりますよ。
エンディングノートだけでなく、終活で大切なことは、家族や友達、行政等、周囲に思いや不安、困っていることを伝えることです。奈良市には、私が関わる権利擁護センターの他、さまざまな支援制度が用意されています。福祉等の専門職もたくさんおり、職種の枠を超えたつながりも持っています。ぜひ、それらのサポートを活用してください。
「これで安心した」。私が相談を受け、終活に関する手続きを終えた人の多くが、ほっとした顔でおっしゃる言葉です。終活の大きな効果の一つが、未来に対して漠然と感じていた不安を整理できること。それは、今を自分らしく生きることにもつながります。
より多くの人が、終活で自分らしいこれからの人生をデザインし、住み慣れた地域の中で、安心して暮らし続けてほしいと願っています。
市では、権利擁護センターでの相談対応等に加えて、皆さんが自分自身の思いを伝え、安心して暮らし続けられるよう、終活に関わる多様な支援の取り組みを進めています。
市営寺山霊苑(白毫寺町)の納骨堂をリニューアルし、遺骨の永代収蔵サービスを開始します。供用開始は12月下旬ですが、既に事前申請を開始しており、多くの反響が寄せられています。
費用等くわしくはこちら
○担当職員…想像以上の反響があり、驚いています。窓口に来られる方は「子どもや後継者がおらず、墓じまいを検討している」「子どもが遠方に住んでおり負担をかけたくない」「生前に自身の供養方法を決めたい」等、さまざまな思いをお持ちです。
【問合せ】斎苑管理課(電話番号:0742-34-3502)
遺言により、あなたの財産を奈良市に寄附してみませんか。住み慣れたまちの未来を、あなたの思いで直接支えることができます。子育て支援や教育・福祉の充実、防災対策等、希望の分野で大切に活用します。
(1)社会貢献…地域社会の発展にあなたの思いを
(2)希望の実現…大切な財産を望んだ形で活用できる
(3)税制優遇…一定の条件を満たす場合、税制上の優遇措置が適用される
○遺言執行者の司法書士…遺言を残されたのは、以前にご主人を亡くされた女性です。共働きでお子さんはおられなかったので、ご自身の貯えもあり、堅実に生活されていました。「次世代を担う方のために」とのご遺志に従い、寄附を申し出ました。
○手続きの流れ:遺産を寄附する旨を明記した遺言書の準備が必要です。
遺言による寄附の相談は財政課に問合せてください。
※市では南都銀行と協定を締結しており、円滑な手続きが可能です。ただし、遺言書作成には手数料(銀行への支払)が必要ですくわしくはこちら
死亡後の手続きは故人によりさまざまです。市では市庁舎1階にある「おくやみコーナー」で、死亡届を提出された後の健康保険、介護保険、税等の各種手続きについて案内。市役所内で必要な申請届出をワンストップで受付しています。
※相談内容により、各窓口を案内する場合があります。全ての手続きが本コーナーで完結するものではありません
○担当職員…遺族の皆さんが必要な手続きの内容や書類を整理できるよう、寄り添う気持ちを大切に丁寧にお話を伺いながら、各種手続きをまとめてサポートしています。不安な点や分からないことは遠慮なく相談してください。
・おくやみコーナーでは故人によって異なる手続きを総合的に案内します
利用方法:インターネットで予約してください。電話予約も可
予約はこちら<外部リンク>
【予約・問合せ】おくやみコーナー(市庁舎1階 電話番号:0742-34-5420)
誰もが迎える最後の旅路を見守る「奈良市斎苑 旅立ちの杜」。大切な人を偲び、思いを馳せるこの場所で、音楽を楽しみながら、これからの人生を考える機会にしませんか。
【とき】10月18日(土曜日)
コンサート:午前7時半(7時開場)
施設見学会:午前8時15分~8時45分
【定員】80人※申込不要
【問合せ】斎苑管理課(電話番号:0742-34-3502)
終活の第一歩は、エンディングノートを書くことの他、まずは家族や友達、知り合い等と話してみることもおすすめです。不安なことがあれば、市の窓口へ相談してください。
・わたしの未来ノート
奈良市版エンディングノートを無料配布しています。
くわしくはこちら
・権利擁護センター
権利擁護に関する総合的な相談に応じます。
くわしくはこちら
・法律相談窓口
相続等の法律に関する相談に弁護士が応じます。
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【問合せ】
わたしの未来ノートについて:長寿福祉課(電話番号:0742-34-5439)、
権利擁護センターについて:同センター(電話番号:0742-34-4900)、
法律相談窓口について:総務課(電話番号:0742-34-1377)