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奈良しみんだより令和7年6月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

ページID:0237154 更新日:2025年6月1日更新 印刷ページ表示

未来の担い手を育む。奈良市の子ども支援の輪

次世代を担う子どもの成長を支えようと、情熱を注ぐ人がいます。今月号では、子どもにさまざまな経験を届ける市の事業を取り上げ、そこに関わる人、子どもたちの輝く姿に触れました。

これからの時代を生き抜く力を育てる

進む人口減少や流動的な世界情勢等、不確実性が高まる時代を迎えています。このような時代を生きる子どもたちには、社会とつながり、他者と協力しながら困難を乗り越えていく力が必要不可欠です。そこで今、注目されているのが「非認知能力」です。非認知能力とは、学力テスト等では測りにくい、自己肯定感や自律性、協調性等、内面的な「社会性」や「人の心」に関する力のこと。文部科学省の研究(参照:文部科学省「青少年の体験活動の推進に関する調査研究」)によると、非認知能力の育成には体験活動が重要であると分かっています。
これを踏まえ、市では「生涯にわたり学び続け、他者と協働して未来を切り拓く人間の育成」を目標に掲げ、子どもたちに対する幅広い経験の機会提供に取り組んでいます。

非認知能力(体験活動が育む)=創造性,意欲,協調性,計画性,忍耐力,自制心
次のページで 奈良の子どもたちに向けた、実際の取り組みを紹介します

01,多様な学びの場を作る。
~公設フリースクールHOP(ホップ)あやめ池~

「1クラスに約4人」、これは市立中学校3年生の不登校生徒数の平均です。 少子化が進む一方、児童生徒の不登校は増加傾向です。 市ではこの状況を受け、スクールカウンセラーの配置等に加え、公設のフリースクール(学習支援施設)を設置し、多様な学びの場づくりを進めています。その1つ、「HOPあやめ池」の神谷室長にお話を伺いました。
ホップあやめ池(あやめ池南九丁目)
令和5年4月に開設し「場を生むデザイン賞2023」を受賞。子どもの表現意欲をかき立てる空間デザインが評価されている

○インタビュー…ホップあやめ池室長神谷 佳宏さん
市教育委員会指導主事の他、西大寺北小学校長等を歴任。開設当初より現職

◆子どもの興味をかき立てる瞬間の演出
ホップあやめ池では、子どもたちがそれぞれの形で社会とつながり、生きていく力を育むことを目指しています。施設で過ごす以外の時間を自分で計画したり、施設の仲間と交流したり、好きなことを深めたり。そういった経験の積み重ねが自分への自信や肯定感、挑戦する意欲につながります。支援員は、提案はしても強制はしません。子どものスイッチが入る場面をさまざまな形で演出することが、私たちの役割だと考えています。ここに通い始めてから、外に出ることができなかった子どもの笑顔や言葉数が増え、挑戦する意欲が湧いてくる様子を見るのは、何よりの喜びです。集団になじめない、なじまないことを選んだ子どもにとって、ここが安心して過ごせる居場所になることを願っています。
◆専門家を招き、好きなことを深く学べる環境を
昨年の卒業生に、海外留学できる進路という新たな一歩を踏み出した生徒がいます。ホップあやめ池での学びを通じて、英語を話す楽しさに目覚めたことが、大きなきっかけだったようです。ここは、多様な学びの選択肢の1つとして、子どもたちが自身の好きなことに自分のペースでとことん向き合える場所。自分が何に興味を持っているのかを探し、より深められるよう、各分野の専門家を招いた講座も行っています。ゲーム形式で盛り上がる英語はもちろん、最新機器を使う、eスポーツや3Dプリンター、プログラミングも人気があります。「次はどんな講座を実施しようか、誰を招こうか」。私たち支援員は子どもの興味関心を意識しながら、趣向を凝らしています。

通っている子どもの声

ホップあやめ池に通うようになって、生活は大きく変わりました。以前は、家で食べて寝るだけでしたが、朝起きて、図書館に行く等、自分でスケジュールを立て、ここでの活動にも参加するようになりました。ホップの居心地の良さがそうさせてくれたんだと思います。特に、年に一度の菜の花を収穫し調理するイベントは、季節の味を楽しめてお気に入りです。
もし今、家から外に出たいけど行く場所がないと感じている人がいたら、一度HOPあやめ池に来てみてほしいです。きっと、何か変わるきっかけが見つかると思います。

02,夢を応援する。~海外へ飛び立つ~

令和6年から、市では市内の中高生が将来の夢を叶えるために、海外で探究学習をする費用を一部補助する「奈良市中学生・高校生等海外夢応援プロジェクト補助金事業」を行っています。これは、学生時代にグローバルな視点や、チャレンジ精神を養うことを目的とするもの。昨年は4人の学生が渡航しました。今回はその1人で、アフリカのザンビア(ザンビア共和国)に渡った、当時高校3年生の鬼追さんに自身の夢と挑戦について語ってもらいました。
※同補助金事業の今年度の募集は終了しています

○インタビュー…渡航者の鬼追 桜子さん
◆世界へ踏み出せたひと押し
小さいころから料理が好きで、薬効を持つ食べ物に興味を持ち、将来は医療や健康に関する分野で人助けができないかと考えるようになりました。大学進学を控え、進路に迷う中、興味を持ったのが「医療」をテーマにザンビアで学ぶ渡航プログラム。しかし費用負担が大きく、一歩踏み出せずにいました。そんな時、背中を押してくれたのが「海外夢応援プロジェクト」です。
◆自分から行動して感じた世界の現実
現地では、ストリートチルドレンやスラムの学校の子どもたちとの交流等、さまざまな経験をしました。その中で衝撃を受けたのが、今までの当たり前を覆す「生活」です。私と同年代の女の子が体を売り、物乞いをする、毎日を生き抜くことすらままならない暮らし。「どんなことも実際にアクションを起こして、自分で感じて学ぶこと」がモットーの私にとって、世界の現実を五感で感じられたことは一番の学びになりました。この経験を生かし、今後も国際的な活動を続けていきたいと思えました。
◆夢を追うということ
「今は夢がなくても、その時やりたいことを小さくても積み重ねれば、大きな夢や目標が見つかる」。これは、渡航プログラムで関わった人にもらった助言で、私が大切にしている言葉です。今回の渡航で、今まで以上に夢が明確になったかと言われれば、そんなことはないかもしれません。でも、医療分野で人助けをしたいという強い思いを胸に、これからも幅広い分野で小さな「やってみたい」を繰り返しながら、夢に近づいていきたいです。

世界で羽ばたく人材を育む助けになりたい

同補助金事業は、多くの企業からの寄附をもとに運営しています。企業版ふるさと納税制度を通して、子どもたちの海外経験を応援する企業の1つである、株式会社日本旅行にお話を聞きました。

グローバルな視点やチャレンジ精神の育成を目的とする「海外夢応援プロジェクト」に共感し、寄附にいたりました。当社でも、教育旅行を中心に、学生たちの学び・チャレンジの場の創出に取り組んでいます。異文化理解やコミュニケーション力を育む機会を提供することは、これからの社会の発展に大きく寄与すると考えています。子どもたちが世界で活躍し、日本の魅力を発信する未来を心から楽しみにしています。


03,まちで育む。~地域と連携した教育~

市では、学校と家庭・地域が連携した子育てを目指し「地域教育推進事業」を進めています。各中学校区の地域コーディネーターが学校と連携し、授業の支援や遠足の引率、地域交流等、さまざまな場面で子どもたちを支援。近年は、近隣の大学生サポーターも活躍しています。学校と一緒に子どもを見守り、居場所を作る人に、その思いを聞きました。

○インタビュー
伏見中学校区地域コーディネーターの小林 千賀子さん
都跡中学校区地域教育協議会会長の堂上 健次さん

私たちにとって一番のやりがいは、子どもたちの成長を間近で見守れることです。年上の子が年下の子の面倒を見る様子や、ボランティアの大学生等、年長者と打ち解ける様子を見ると、社会性や協調性が自然と身についていると感じます。

ある方が「地域は土、学校は風」とおっしゃっていました。地域の人が子どもの成長を支える「土壌」となり、異動を伴う教員が「新しい風」を吹き込む。両者が合わさることで、子どもにとってよりよい環境が生まれるのだと思います。地域のお父さん・お母さんとして自然体で子どもと関われるコーディネーター。あなたも参加してみませんか。

ピックアップ!対戦型ご当地カード「ヤギュモンカード」

柳生小学校運営委員会では、子どもたちの発案で、地域の人や食・観光名所・伝説等をモチーフに、ご当地カードを作成。地域コーディネーターも参加しました。楽しみながら、地元への愛着も高まる取り組みの1つです。

他にも特色のある取り組みを行っています。
くわしくはこちら▶︎https://www.city.nara.lg.jp/site/kyouiku/10761.html

他にもさまざまな支援を行っています ぜひ活用してください。
社会的養護自立支援拠点事業【担当課:子ども安心課】

「青少年の自立を支える奈良の会」では、児童養護施設等を退所した若者を対象に、相互交流の場や一時的な居住環境を提供しています。個々の状況に合わせて、自立し安定した社会生活を送れるよう支援しています。

NARA ARTS BRIDGE for Youth【担当課:文化振興課】

高校生・大学生等が中国・韓国の若者たちと、美術・音楽・ダンス等の芸術でつながる異文化交流を毎年行っています。渡航して海外のアートの「今」に触れ、実際に発表するプログラムもあります。自身の将来を考える機会として、ぜひ参加してみませんか。
※今年も募集が始まります。くわしくは31ページへ

【問合せ】ホップあやめ池について:教育支援課(電話番号:0742-36-0401)、中学生・高校生等海外夢応援プロジェクト補助金事業・地域教育推進事業について:地域教育課(電話番号:0742-34-5471)