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春日大社の参道にはたくさんの石燈籠が、本社の回廊には多くの釣燈籠が並んでいます。これらの燈籠は、中世以降、貴族、武士、庶民など様々な人々が奉納してきました。近世までは、春日社神官による燈籠奉納や灯明料の寄進を勧める活動に支えられ、毎晩灯りがともされていました。
現在、燈籠に灯りがともるのは、限られた行事のときだけです。8月14日と15日には、すべての燈籠に浄火を献じる中元万燈籠が行われ、燈籠の灯りは奉納した人の祈りをこめてその光を放ちます。
今回は、奈良の夏の風物詩、万燈籠の季節にちなみ、近世の燈籠奉納に関する史料を中心に展示します。奈良の町の記録、旧春日社神職家に伝わる古文書などを通して、奈良町や、奈良奉行に関係する燈籠、さらに奈良だけではなく、越後国(新潟県)上杉氏家老、直江兼続(なおえかねつぐ)が奉納した燈籠などを紹介します。
7月24日(日曜日)午後1時半~
8月14日(日曜日)午後1時半~約30分の予定です。
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展示関連情報
ガイド付きツアー「燈籠と古文書が伝える奈良の名奉行」
なら・観光ボランティアガイドの会がご案内します。
日時:7月14日(木曜日)午前9時半~正午(受付は午前9時~)雨天決行(警報発令の場合は中止)
コース:近鉄奈良駅行基像前広場集合~奈良奉行所跡(奈良女子大学)~春日大社ほか~史料保存館解散 ※史料保存館で館員の展示解説があります。
費用:200円
申込:はがき・ファックス・メールのいずれかに、ツアー名、住所、氏名(ふりがな)、年齢、電話番号をご記入の上、7月10日(日曜日)までに、なら・観光ボランティアガイドの会まで。
お問合せ・申込は、なら・観光ボランティアガイドの会<外部リンク>
住所 〒630-8228 奈良市上三条町23-4 電話 0742-27-9889
ファックス 0742-27-9311 メール suzaku97@m3.kcn.ne.jp
井上町町中年代記三番
井上町有・寄託史料
(奈良市指定文化財)
宝暦14年に奉納した燈籠
井上町の町役人によって書き継がれてきた町の記録です。
宝暦14年(1764)に町の春日講(しゅんにちこう)から春日社へ燈籠を献上したという記事があり、燈籠奉納にかかった諸経費について記されています。石屋への支払、土地代、燈籠の奉納を取り次いだ御師(おし)への祝儀など13の項目が書き上げられ、燈籠奉納代金の合計は、約7両だったことがわかります。この燈籠を含め、井上町奉納の燈籠は、現在3基残っています。
内侍原町諸事記録控
内侍原町自治会・寄託史料
奈良町中から根岸奉行へ奉納した燈籠
内侍原町に残る町の記録です。奈良奉行根岸肥前守衛奮(ねぎしひぜんのかみもりいさむ)が、米価の高騰に際し、度々安売りを行ったことや、長寿の人に毎年ほうびを渡したこと、また文久元年(1861)、外国奉行になり奈良を離れる旨の触(ふれ)も記されています。万延元年(1860)、根岸奉行に対して奈良町中から奉納された燈籠を、今も参道で見ることができます。
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