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奈良しみんだより令和3年2月号(テキスト版)2-5ページ 特集:多様な働き方が生まれるまちへ。

更新日:2021年2月1日更新 印刷ページ表示

多様な「働き方」が生まれるまちへ。

コロナ禍により、全国的に新しい働き方が求められている中で、地方の暮らしが注目されています。奈良市でも、これまでの常識を覆すライフスタイルや新しい動きが始まっています。今回は「働く」に焦点を当て、市・企業・大学等の最新の取り組みを紹介します。
(写真)奈良市創業支援施設「BONCHI」外観

 

「暮らすまち」として注目される奈良市に。

住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)(グラフ1)によると、過去5年間の奈良市への転入者数は約5万5千人(その内の約75パーセントが県外から転入)。地方別に見ると、大阪や京都等の近隣の地域から引っ越す人が多い他、関東・中部地方から移住する人の割合も多く見られます。特に都道府県別に見ると、東京都からの転入は、大阪・京都・兵庫に次いで多くなりました。
また、市内の年齢別の転入超過数(グラフ2)を見ると、18歳の数が大きく増加し、22~26歳の数が著しく減少しています。ここから、「大学入学を機に転入し、大学・大学院の卒業や就職後数年を経て転出する」という若い世代の動向が見られます。さらに特徴的な部分として、30代後半~40代の数の増加傾向もあげられます。特に2019年は、この世代の転入者の増加が顕著に見られました。これより、「人生設計をする上で、キャリアを形成し家族を養っていく世代が、奈良市を『暮らすまち』として選択している」ことが一例として推測されます。

●グラフ1
過去5年間(2015~2019年度)奈良市への転入者数の地方別割合(同年度の総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告より抜粋)
関西 56.40パーセント
・大阪府…31.10パーセント
・京都府…14.10パーセント
・兵庫県…7.56パーセント
・滋賀県・和歌山県…3.64パーセント
関東(東京都を除く)10.40パーセント
中部 9.43パーセント
東京都 7.07パーセント
その他 16.70パーセント
〇関東・中部地方の転入者数の推移 
各年度の全国からの転入者数(5年間の合計:55,087人)

2015年 11,108人 
関東(東京都を除く)…939人
中部…809人
東京…544人
  
2016年 10,659人
関東(東京都を除く)…790人
中部…662人
東京…541人   

2017年 10,995人
関東(東京都を除く)…834人
中部…805人
東京…592人
    
2018年 11,010人
関東(東京都を除く)…843人
中部…780人
東京…590人

2019年 11,315人
関東(東京都を除く)…905人
中部…854人
東京…664人 

 

新しい流れがもたらす市内の変化。 

「大都市を離れて地方で暮らし、働く」ことが注目される今、奈良でさまざまな動きが芽生え始めています。地元とともに県内就業率の向上に取り組む市内の大学や、奈良に拠点を築きながら全国展開する有力企業等、まちの様相も徐々に変化しています。

●グラフ2
奈良市内の年齢別の転入超過数(年間)
【このグラフについて】…2016~2019年の間で、1年ごとの転入超過数(転入者数ー転出者数)を計上し、4年間の平均値を算出したもの。
増減数(人)
・18歳…大学入学時に増加
・22~26歳…大学・大学院卒業、社会に出て数年後に大幅に減少
・30代後半~40代…近年増加傾向にある世代→参考:2019年8月25日発表「奈良市人口の社会増減がプラスに!」

グラフ1…公表されている数値は、2017年以前が日本人のみ、2018年以降は外国人を含む数での計上
グラフ2…転入者数、転出者数は各年1月1日~12月31日の期間で集計

 

Interview 女子大学初の工学部新設 奈良女子大学学長に聞く
働き方の変化を見据え、奈良で専門教育を学ぶ「意義」

・奈良女子大学 学長 今岡 春樹 さん
1990年から奈良女子大学で教鞭を取り、2013年から学長に就任。工学博士(東京工業大学)。専門はアパレル工学、システム科学。

奈良の大学や企業でも、変化する世界に対応しようとさまざまな新しい構想が立ち上がっています。奈良女子大学では、2022年4月に県内、そして女子大学で初の「工学部」の新設(設置認可申請中)に向けて、各機関と連携しながら準備を進めています。
今、奈良で工学を学ぶ環境を整えることの意義や、そこから輩出される人材が地域や世界と将来どのように関わっていくかについて、奈良女子大学の今岡春樹学長にお話を伺いました。

・奈良女子大学…1908年創設の奈良女子高等師範学校を前身とし、1949年に発足した国立大学。文学部・理学部・生活環境学部・大学院人間文化総合科学研究科を有する。国立の女子大学はお茶の水女子大学と同学の2校のみ。

質問:今、なぜ女子大学に工学部なのか
答え:私自身、工学部出身ですが、工学には社会を変える力があると思っています。工学は「世の中に今無いものを作り、世の中を変えたい」という思いが原動力となる学問です。
この無から有を生み出す「ものづくり」の力は、男女に共通して存在します。しかし、大半の国内の大学で、工学部に在籍する女性の割合は10パーセント程度。この現状を打破するために考えたのが、女子大初の工学部新設構想です。

質問:どのような人材が生まれるか
答え:アメリカでは、世の中を変える能力に長けた人材を育成するため、10年以上前から科学・技術・工学・数学の分野を幅広く学ぶ「STEM教育※ 」を導入してきました。これによって国力を増強し、実際に成果を出してきました。
新設する工学部にも、この教育分野を取り入れます。国際的な競争に打ち勝ち、女性の社会進出を進める上でも、工学を含むこの分野の「幅広い学び」が重要ではないでしょうか。学問全体を多角的に学び、その中から「これだけは深めたい」というものを自分で選び取る。そのような教育カリキュラムを本学でも提供することで、時代を変えていく人材を奈良で育んでいきたいと考えています。

質問:奈良だからこそ得られる力とは
答え:海外企業との商談の場で必ず話題に上るのは「文化」の話。こちらの文化を相手に伝えることで、驚きや発見が生まれ、お互いの価値を認め合う信頼につながります。そして日本文化を深く知るには、奈良は本当に最高の場所です。 
例えば正倉院展の始まり。戦後すぐの殺伐とした時期にもかかわらず、本物の宝物を見るために全国各地から人が押し寄せました。日本人が自身のルーツを知るふるさとでもあり、一生かかっても見られない貴重なものが身近にある場所、それがこの奈良です。奈良は、異文化を理解するのに必要な、日本文化を実体験として学べる随一の場所です。奈良で学ぶ人生というのは、本当に素晴らしいことだと思います。

質問:異分野・他機関との連携の予定は
答え:現在、奈良教育大学との法人統合や、奈良国立博物館・奈良文化財研究所をはじめ、近隣の教育機関・研究施設とも連携した教育も計画しています。また、学部の新設に際しては、奈良先端科学技術大学院大学や奈良工業高等専門学校の他、奈良市に開発拠点を構えるDMG森精機等、技術力のある企業にも相談し、実習場所の提供や民間講師の派遣等の協力を得ています。そして、既に奈良で事業を展開する大和ハウス工業やATOUN等とも連携を進めています。
現在も学生は、企業の研究施設の中での実践や、企業の方を講師として本学に招き入れる等、積極的に地元のみなさんと交流を行っています。異なる能力の人たちが集まり、そして語らうことが何より大事だと私自身思います。
異なる分野や機関との交流により、その相乗効果は大きく開花します。誰も解決したことのない問題を探し、世の中にまだ無いものを作る。奈良の地から、その起爆剤となるような人材を輩出し、社会に新しい「価値」を創造する仕掛けを築くことができる未来に期待しています。

※STEM(ステム)教育…Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の教育分野を総称し、この分野を身につけることで、ICTやグローバル社会に適応した国際競争力を持った人材を多く生み出そうとする、21世紀型の教育システム。近年ではここに、創造性の分野であるArts(芸術またはリベラルアーツいわゆる教養分野)を加え、「STEAM(スティーム)教育」とも呼ばれる。

 

「奈良市×企業×まち」で身近な課題を解決。地域経済の好循環をつくる。

市でも多様な働き方が生まれるまちを目指して、創業支援と企業誘致に力を入れています。創業支援では、起業の相談や市内のワークスペースの整備をはじめ、「リビングラボ※」という仕組みの構築を進めています。一方、企業誘致では、そんな取り組みを推し進める奈良のまちでオフィス等を構えようとする企業に、立地条件等を提案して積極的に呼び込む努力をしています。これらの取り組みは「将来的な雇用の拡大」を見据えており、奈良のまちを盛り上げる基盤となります。
※生活の場(Living)での実験的活動(Lab)を意味するもので、企業や行政が地域と共に、社会課題の解決等に取り組む仕組み。近年、世界的に活用されている

 

創業支援 「○○してみたい!」を生み出す環境を整備する。

■人の創造性を引き出す、奈良市の創業支援施設"BONCHI(ボンチ)"
市が昨年3月に開設したこの施設は、「ひとりでに、持続可能な地域や社会が生まれる場所。」をコンセプトに、訪れるすべての人が居心地よく感じ、のんびり過ごしたり、本を読んだり、誰かと話したりする中で、たくさんのウズウズが生まれてくることを目指しています。
2階には仕事や勉強をすることができるコワーキングスペースがあります。また、会社を作る相談や事業を始める相談も受けられます。一般社団法人TOMOSU(委託先)とともに、奈良市で新たな創業支援のあり方を提案していきます。

■企業とまちを継続的につなぐ仕組み"奈良リビングラボ"
奈良市独自の新しい取り組みが始まっています。通常のリビングラボの仕組みにTOMOSUが加わることで、地域の課題の本質に迫り、継続して解決する手段を見いだすだけではなく、そこに生まれる課題や人とのつながりから創業にもつなげることを目指します。
例えば、子育て不安を軽減する新しいサービスを検討する際、企業と地域が単に出会うのではなく、TOMOSUが企業、行政、子育て中の親、地域の人たちと深くコミュニケーションをとることで、共通する本質的な課題を設定し、全ての関係者がチームとして取り組むことを実現します。

 

Interview 奈良で働く価値を発信したい 

一般社団法人TOMOSU 代表理事中島 章さん

私は奈良市出身で、以前は東京で働いていたのですが、奈良に戻ってきてから「奈良の良さ」にはじめて気付きました。
歴史に魅力があるのはもちろんですが、それが変化しながら持続している町は少ないと感じます。各時代の先端技術がそこら中に残されていて、間近に肌で感じながら働くことができる環境は、クリエイティブな発想を生み出す力になります。奈良で働く価値はそこにあると考えています。
「都市に対するゆったりとした田舎」や「家が近いから奈良で働く」等ではなく、「奈良の方がいい仕事ができる」、「いい仕事をするために奈良に出向く」といった好循環をつくることができれば、自然と奈良に人や企業が集まり、地域の機運も高まります。今後もBONCHIを拠点に、奈良で働く価値を発信していきたいです。

 

企業誘致 奈良市に可能性を求める企業を導く。

市では、都市部の企業に市内でのサテライトオフィス設置を提案し、拠点誘致に取り組んでいます。昨年10月には初期費用に対する補助金を創設しました。その第1号として、東京・新宿に本社を置き、貴重文書や文化財・絵画等を、破損・裁断せずに電子化(スキャン)するサービス等を展開する株式会社誠勝が、市内にオフィスを開設します。同社社長にオフィス開設の経緯や今後の展望を伺いました。

日本に2台しかない大型アートスキャナー(絵画用)。関西初となる3台目を奈良に導入予定

Interview 企業誘致 第1号
株式会社誠勝 代表取締役 山本 大視さん

〇私が奈良市を選んだ理由
当社の問合せデータより、以前から関西圏に需要があるということは感じていました。しかし、進出の時期や東京以外の拠点の開設等、具体的な計画は進んでいませんでした。そこに全国的なコロナ禍が相まって、事業の継続を考えた時に、今が別の拠点を構えるタイミングだと感じ、企業誘致を積極的に行っている自治体を徹底的に調べました。
各自治体ではさまざまな優遇制度が設けられていましたが、最終的な決め手は奈良市の企業立地コンシェルジュ※のみなさんの熱意あるサポートでした。奈良市への進出は、私の力だけでは形にすることができなかったと思います。

〇地域経済にも貢献したい
私は今まで奈良市に縁がありませんでした。しかし実際に訪れてみると、歴史ある街並や自然に魅了されてしまい、これを機に家族での移住も決心しました。これからの生活にとてもわくわくしています。
また、事業の面でも、奈良市内の企業のみなさんが保有する資料とともに、せっかく奈良という歴史ある土地に来たので、神社仏閣が所蔵している貴重資料等の電子化にも、お役に立てればと思っています。
コロナ禍によりテレワークの導入が増え、それに伴い電子化の需要も増えたので、電子化のプロの観点からさまざまなお手伝いができればと思います。そして、その結果、奈良で少しでも多くの雇用を確保し、地域経済に貢献できれば幸いです。

※昨年4月に発足した企業誘致を専門に行う市職員のチーム

 

企業誘致に特化したパンフレットを作成しました

今年度発行した「奈良市企業立地ガイド~奈良で育む企業ブランディング~」。市外に拠点を置く企業からは、奈良特有の環境に高い関心が寄せられています。特に人の創造性を刺激する長い歴史・文化、自然により育まれた風土、近隣都市へのアクセスやまちの機能の良さ等が好まれています。
企業が奈良市に集まることで、新たなサービスや就業の機会が生まれます。今後の地域経済の発展のためにも、誘致活動に積極的に取り組みます。

 

どなたでも歓迎!まずは"BONCHI"を体験してみませんか 

「時代を読み解く500冊」と題した本の閲覧・購入、奈良のスペシャリティコーヒーが味わえるカフェ、奈良うまれ・奈良そだちのお菓子の販売、ひと息入れられるスペース等、1階はどなたでも気軽に利用できます。また、仲間と打ち合わせができるミーティングルームの貸出や、他の起業家や経営者と自然なつながりができるコワーキングスペース等も利用できます(会員制)。みなさん気軽にお立ち寄りください。

橋本町3-1(奈良もちいどのセンター街内)
午前10時~午後6時
※コワーキング会員は午後9時まで
電話番号:27-1111
info@tomosu.org

 

本特集の問合せ
2~3ページ:秘書広報課(電話番号:34-4710)
4~5ページ:産業政策課(電話番号:34-4741)