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奈良しみんだより令和2年3月号(テキスト版)2-5ページ 特集:もう1人で悩まないで 奈良市のひきこもり支援

更新日:2020年2月28日更新 印刷ページ表示

 

もう一人で悩まないで 奈良市のひきこもり支援

近年、全国的にひきこもり者数の増加と期間の長期化が社会的課題となっています。
今月号の特集では、もうすぐ新年度を迎える今、新たな気持ちでスタートを切りたい人やその家族に向けて、ひきこもり問題解決のための奈良市で行われている支援を紹介します。

 

奈良市の現状

●ひきこもりの定義
仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅に引きこもっている状態(厚生労働省HPより)
1 狭義のひきこもり…自室や家からは出ない、またはふだんは家にいるが、近所のコンビニ等には出かける
2 準ひきこもり………ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する
3 広義のひきこもり…1と2を合算したもの

●奈良市のひきこもり者数推計(人)と人口に対する割合
・1狭義
若年層(15~39歳)…461(0.51パーセント)
中高年層(40~64歳)…1,021(0.87パーセント)
合計…1,482
・2準
若年層(15~39歳)…959(1.06パーセント)
中高年層(40~64歳)…681(0.58パーセント)
合計…1,640
・広義(1+2)
若年層(15~39歳)…1,420(1.57パーセント)
中高年層(40~64歳)…1,702(1.45パーセント)
合計…3,122

●ひきこもりの状態になった年齢
・若年層(15~39歳)
14歳以下…12.2パーセント
5~19歳…30.6パーセント
20~24歳…34.7パーセント
25~29歳…8.2パーセント
30~34歳…4.1パーセント
35~39歳…10.2パーセント
 
・中高年層(40~64歳)
15~19歳…2.1パーセント
20~24歳…12.8パーセント
25~29歳…14.9パーセント
30~34歳…6.4パーセント
35~39歳… 2.1パーセント
40~44歳…12.8パーセント
45~49歳…8.5パーセント
50~54歳…8.5パーセント
55~59歳…10.6パーセント
60~64歳… 17.0パーセント
無回答…4.3

奈良市には3千人を超えるひきこもりの人がいると推定されています。若年層と中高年層を比較すると、中高年層の方が約300人多くなっています。また、若年層と中高年層では1と2の大小が逆転しており、1の多い中高年層のひきこもりがより深刻であることが伺えます。
若年層は「不登校」「職場になじめなかった」等が主な理由で、ひきこもった時期は20〜24歳で34.7パーセント、15〜19歳で30.6パーセントであり、中高年層は「退職」「人間関係」等が主な理由で、ひきこもった時期は60〜64歳で17.0パーセント、25〜29歳で14.9パーセントとなっています。

出典:内閣府「若者の生活に関する調査(平成28年)」・「生活状況に関する調査(平成30年)」、および奈良市の人口統計データ(平成28年・30年10月1日現在)を用いて算出。

奈良市の取り組み

生活困窮者自立支援法の制定に伴い、市では平成27年度に「奈良市くらしとしごとサポートセンター」を開設しました。主に生活困窮者の自立相談・就労・就労準備支援事業として、幅広い年代を対象に個別支援を行っています。また、平成30年度からは奈良市若者サポートセンター「Restartなら(リスなら)」を開設し、若者のひきこもり支援に注力しています。

●奈良市若者サポートセンター「Restartなら(リスなら)」
中学校や高校を卒業・中退したものの進路が決まっていない、自信がなくて社会に一歩踏み出せない等の若者に対し、就労や学びなおしを支援する目的として開設しました。キャリアコンサルタントやひきこもり支援者による面談を実施し、就労に関する相談やひきこもりの相談を受け付けており、当事者に寄り添いながら、自立を促していきます。

●ひきこもりサポーター養成講座を開催
ひきこもり支援に関心がある人や、ひきこもり状態の人、また家族に関わることがある支援機関や地域活動者を対象に、連続4回の「ひきこもりサポーター養成講座」を開催しています。これは、ひきこもりの長期・高齢化に伴う多様な相談にきめ細かく、継続的な支援を行うことを目的とし、ひきこもりの人や家族が孤立しない地域づくりに協力できる人を育成しています。

〇インタビュー…大竹靖子さん
精神保健福祉士として「リスなら」の相談を担当。自身も所属するボランティア団体「ハートハース」、市社会福祉協議会との協働で新しいひきこもり支援の構築をめざして精力的に活動している。
・支援のきっかけ
私は過去に小学校の教員をしており、受け持っていたクラスで不登校の児童が出たことがきっかけで、不登校やひきこもりに悩む人に寄り添う活動がしたいと思うようになりました。
・焦らず気長に丁寧に
相談員として心がけていることは「焦らず気長に丁寧に」ということです。相談者によって事情があり、どこに要因があるか、どういった支援が必要かは人それぞれです。それらを見極め、背中を押してもよいタイミングを逃さないように、市社会福祉協議会、ひきこもりサポーター「まんまの会」と支援チームを組んで、その人に合わせた支援を行うようにしています。
・柔軟な支援ができる
「リスなら」では支援の期間やつなぎ先等を限定しておらず、より実態に則したきめ細かな支援を実現することができます。市町村レベルでここまで柔軟な支援は全国的に見ても珍しく、厚労省からも注目されており、今後の制度化についても期待ができます。
・「ひきこもり」に正しい理解を!
私が日々の相談の中で出会うのは「今の自分を何とかしたいと思い真摯に生きている人」という言葉がぴったりくる人達です。そういった理解をみなさんにも持ってもらえたら幸いです。そして、ひきこもりに対する支援が身近にあることをもっと多くのみなさんに知っていただきたいと思います。

地域の取り組み

●社会とゆるく繋がることができる場所「あなたのまんま」
・社会から孤立する「ひとりぼっち」を防ぐことを目的に、長年ひきこもり支援を実施していたボランティア団体「ハートハース」と市社会福祉協議会が協働して、ひきこもりがちな若者たちのニーズに寄り添い、支援することをめざした場所です。20〜40歳代くらいの幅広い年代の人が参加していて、卓球大会やハイキング等、いろいろな活動をしています。また、ひきこもりの人を抱える家族をサポートする「親の会」も開催しています。日々のヒントを得る場所として、気軽におこしください。
・かつて幼稚園だった空間をリノベーションして生まれた場所で、心温まるゆったりとした時間が流れています。経験豊かなサポーターがいるため、当事者に合わせた支援をすることが可能です。

活動日…若者のための居場所「あなたのまんま」:毎月第2金曜・第4月曜日 午前10時〜午後2時
そのまんまで親の会:毎月第4金曜日 午前10時〜午後2時
ところ…鳥見ふらっとコミュニティスペース“まんま”(三碓町2204)
問合せ…市社会福祉協議会 地域支援課(電話番号:93-3741)

〇インタビュー…ひきこもりサポーターの声
・得意分野を活かせる
ここでは30人程度のサポーターが研修を重ねて「まんまの会」という支援チームをつくり、「若者の会(当事者の会)」や「親の会」への参加、来所相談等の支援を行っています。サポーターの経歴はさまざまで、家族に当事者がいるサポーターは親の会で力を発揮し、一人に向き合うことが得意なサポータは来所相談にと、それぞれ得意分野を発揮しています。「心の問題を解決する・助けてあげる」というより「今を少しでも楽しく過ごすことのお手伝いをしている」といった感覚で取り組んでいます。最初は緊張していた若者に、少しずつ笑顔が増えてきた時、やりがいを感じます。
・技術や知識の重要性
サポーター養成講座を受け始めた当初は、知らないことだらけで混乱しました。ロールプレイング、グループ討議や発表等、多くの実習も交えながら、感覚を掴んでいきました。5年経った今でも、講座の資料を見返すことがあります。ひきこもり支援における、技術や知識の重要性を感じます。
・今のまんまで居られる場所
知識が乏しいまま当事者と向き合い続けることの苦悩は大きなもの。そういった意味でも、親の会には、行き詰りを感じているご家族にも来てもらえれば嬉しいです。気持ちを打ち明けられる場所があるということは、当事者にとっても支援者にとってもすごく大事なことです。今の「まんま」の自分を、受け入れてくれる場があるんだよ、ということを感じてほしいです。

〇当事者の声
僕がまんまを利用するようになったのは1年ほど前です。当時参加していた人に紹介されて、一度参加してみました。ここにいる人はみなさん優しくて居心地が良かったので、徐々に通うようになりました。
まんまの良いところは、参加者が何をしていてもいいことです。卓球やカラオケ等、いろいろなことをみんなでしますが、気乗りしなければ1人でゲームをしたり、好きなことができるので、居心地が良いのです。
月2回開催されていますが、数か月前からみんなで話し合いをして予定を決めています。この前は春日山原始林のハイキングに行ってきました。その他にもみんなで作るクリスマス会やフリーマーケット等、イベントが盛りだくさんです。
家で時間を持て余している人は、一度来てみてください。楽しさがわかると思います。

学校の取り組み

●もう一度学べる学校「春日中学校夜間学級」
夜間学級とは、子どもの時に小・中学校に行けなかった人等が大人になってから再び学ぶことができる学校です。全国9都府県にあり、奈良市では春日中学校に設置されています。生徒の年齢や国籍はさまざまで、過去にひきこもりの経験がある生徒もいます。個々のニーズに合わせて楽しく学ぶことができる場所ですので、学びたい意欲のある人は、気軽に問い合せてください。
授業の合間にある20分間の交流時間。生徒同士で明るい雰囲気で団らんが行われる。

活動日…昼の部:午後1時半〜4時5分 夜の部:午後5時半〜9時
ところ…西木辻町67番地
問合せ…春日中学校夜間学級(電話番号・ファックス番号:62-2629)

〇インタビュー…春日中学校夜間学級の深澤教頭
夜間学級には、中学校の各教科の基礎・基本を学びたい人、社会への再スタートをしようとする人、生活に必要な日本語を学びたい人等、さまざまな事情を抱えた生徒が在籍しています。私たちの目標は、そのような生徒たちの事情をくみ取り、少しでも個々の実態に合わせたカリキュラムを組んで、学びに向かってもらうことです。
授業は数クラスに分かれ、学年を問わず、その時の各自のレベルに合わせて小グループで行います。授業の中で、教員と生徒はもちろん、生徒同士の言語や年齢の壁を越えた交流の機会もあり、その中でコミュニケーションが育まれています。
授業を見学することもできますので、まずは一度雰囲気を感じてみてください。

〇ひきこもりから夜間学級に毎日通うようになった生徒の声
夜間学級の存在はしみんだよりで知りました。2017年に制度が変わり、中学校を卒業していても入学できるようになったことがきっかけでした。
いざ入学してみると授業は楽しく、特に歴史の授業に興味があります。また、コミュニケーション能力を少しでも高めるためにも、毎日学校に通うようになりました。
今は2月開催の「世界遺産学習全国サミットinなら」で夜間学級を紹介するため、パネル制作の準備に取り組んでいます。少しずつですが、今後もできる限り外部との接点を持ちながら、他の生徒さんとの交流も図っていきたいと思っています。

1人で悩まず、まずは気軽にご相談ください

奈良市では、ひきこもり支援をより効率的に促進するため、支援団体や関係機関との連携を図っています。どこに相談すればよいかわからない、解決に向けた糸口が見つからない等、お困りの方はまずは一度気軽に相談してください。プライバシーを確保した空間で、ベテランの相談員があなたの相談に個別に対応します。
ひきこもりの他にも、生活困窮者に向けた支援や、就労相談等も併せて行っています。

相談先…
●ひきこもり、ニート、学びなおしに関すること→若者サポートセンター「リスなら」
(電話番号:34-4777 平日午前8時半〜午後5時15分年末年始は除く。予約要)
●生活困窮者支援、住居確保給付金に関すること→くらしとしごとサポートセンター
(電話番号:0120-372-310 平日午前8時半〜午後5時15分年末年始は除く)

 

本特集に関する問合せ…福祉政策課くらしと仕事支援室(電話番号:︎34-5497)