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奈良しみんだより令和元年12月号(テキスト版)2-5ページ 特集:奈良から起業家のスターを!NARA STAR PROJECT

更新日:2019年12月1日更新 印刷ページ表示

奈良から起業家のスターを! NARA STAR PROJECT

奈良市は平成23年から観光入込客数が7年連続で増加しています。
一方で奈良県は人口に対する飲食・宿泊店数は全国で最も少なく、県外就業率についても全国的に見て非常に高いといった課題があります。
そこで市は、平成29年から「NARA STAR PROJECT(以下、NSP)」を打ち出し、市内の産業の活性化につながる起業家の育成に取り組んでいます。
今月号はNSPを受講した起業家たちの現在の活動を紹介します。

奈良市観光入込客数および宿泊客数の推移(10年間)

平成21年
入込客数…1,396.6万人
宿泊…142.6万人

平成22年
入込客数…1,841.5万人
宿泊…195.6万人

平成23年
入込客数…1,313.5万人
宿泊…135.6万人

平成24年
入込客数…1,332.4万人
宿泊… 143.4万人

平成25年
入込客数…1,379.5万人
宿泊… 141.6万人

平成26年
入込客数…1,414.3万人
宿泊…156.1万人

平成27年
入込客数…1,497.6万人
宿泊… 161.1万人

平成28年
入込客数…1,554.3万人
宿泊… 158.2万人

平成29年
入込客数…1,631.4万人
宿泊…180.6万人

平成30年
入込客数…1,702.5万人
宿泊…173.8万人

奈良市観光入込客数調査報告書より抜粋
※ 平成22年は平城遷都1300年記念事業の影響で増加

人口1000人あたりの事業所数(宿泊業・飲食サービス)

順位、都道府県(+奈良市) 件数
1位 沖縄県 8.41件
2位 山梨県 7.75件
3位 高知県 7.72件
42位 岡山県 4.67件
   奈良市 4.64件
43位 神奈川県 4.37件
44位 滋賀県 4.30件
45位 千葉県 4.16件
46位 埼玉県 3.96件
47位 奈良県 3.92件

総務省統計局「事業所数(宿泊業・飲食サービス業()平成26年)」および「総人口(平成26 年)」、奈良市の人口統計(平成26 年)より算出

●都道府県別 県外就業率

順位都道府県別(全国)
1位 埼玉県29.4パーセント
2位 奈良県28.8パーセント
3位 千葉県27.6パーセント
4位 神奈川県25.5パーセント
5位 兵庫県14.4パーセント
6位 京都府12.7パーセント
7位 滋賀県11.5パーセント
8位 岐阜県11.3パーセント
9位 茨城県10.0パーセント
10位 東京都・佐賀県8.3パーセント
全国平均9.0パーセント

●市町村別県外就業率

順位市町村別(奈良県)
1位 生駒市53.7パーセント
2位  王寺町44.3パーセント
3位  三郷町43.1パーセント
4 位 香芝市41.5パーセント
5 位 平群町38.3パーセント
6位  上牧町35.7パーセント
7 位 河合町35.0パーセント
8 位 斑鳩町34.8パーセント
9 位 奈良市34.0パーセント
10 位 安堵町28.6パーセント
県平均28.8パーセント

総務省統計局「平成27年国勢調査」より抜粋

 

NARA STAR PROJECTとは?

将来にわたる市の産業・雇用の創出、および地域経済の活性化を目的として、平成29年に始まった取り組みです。「自ら新たな産業を生み出しながらも、他の起業家に良い影響を与えてくれるような起業家」の育成をめざします。専門プログラムを選抜者に提供し、以降それが次世代の起業家へ引き継がれていくような循環システムを定着させていきます。
今年で3期目を迎え、新たにEO Osaka※の協力を受けながら、奈良から起業家のスターを生み出していきます。
※EOはEntrepreneurs' Organization(起業家機構)の略。若手起業家の世界的ネットワークとして1987年に設立。EO OsakaはEO Tokyoに次ぐ日本支部として、2010年7月に大阪で発足した。

 

奈良市発のクラフトビールで、もう1食、もう1泊を盛り上げる。

昨年、ならまちセンター裏に奈良産クラフトビールのタップルーム(バー)を開業した「ゴールデンラビットビール」

〇市橋 健 
ゴールデンラビットビール代表 NSP2期生
2016年創業。17年インターナショナルビアカップ銅賞受賞。製薬会社に勤めながら、副業としてビール業を営み、その新しい働き方が経済産業省や各種メディアからも注目を集める。

ゴールデンラビットビール 東寺林町30 電話番号:0742-77-0944 
午前10時〜午後5時 金・土曜日は午後9時まで 定休日:月・木曜日

奈良にクラフトビールを

僕がクラフトビールの醸造に興味を持ったきっかけは、10年の「平城遷都1300年祭」の際に、奈良産のクラフトビールが出店されておらず残念だったことです。
そこから奈良産のクラフトビールを作りたいと醸造元に研修に行くなど、自身で研究を始めました。大学では農学を専攻し、製薬会社に勤めている経験が、ビールの醸造に応用できると気づき、のめり込んでいきました。

奈良市と二人三脚で起業

そんな折、奈良市が主催する「好きなまちで仕事を創る」という企画を知り応募しました。そこでは、起業家の卵との交流や先輩起業家からの指導などを受け、クラフトビールの事業案をブラッシュアップしていくことで、ベスト共感プラン賞を受賞しました。
その後、16年に起業し、18年にならまちセンター裏にある木造倉庫を改修し事業所を移転しました。
そして、同年NSPに2期生として参加します。同プロジェクトでは奈良市の起業家仲間ができ、情報交換など現在も交流が続いています。

素材作りからこだわる

「ゴールデンラビットビール」の特長は奈良の素材にこだわっていることです。ブレンドしている大麦は奈良市から紹介してもらった都祁の農家さんと協力して、種まきから育てたものを使っています。

奈良の夜を盛り上げる

僕は奈良の飲食店や宿泊施設が少ない等の課題をビールで解決したいと考えています。ビールは世界中で飲まれているお酒ですので、市内の飲食店や宿泊施設に「ゴールデンラビットビール」を置いてもらい、奈良のクラフトビールを飲むことで、もう1食、もう1泊が増え、思い出の一杯となったら嬉しいです。

 

「奈良を起業家が育つ風土に」日本一の焙煎士の挑戦

〇井田 浩司
株式会社路珈珈代表取締役 焙煎士 NSP1期生
2010年に自家焙煎をはじめ、13年に父の営む喫茶店を事業承継。15年から新ブランド「ROKUMEI COFFEE」を展開する。18年に焙煎技術を競う全国大会で優勝し、日本一の焙煎士となる。今年11月には世界大会に出場する。

奈良店(西御門町31 電話番号:0742-23-4075 午前9時〜午後6時 定休日:火曜日)
富雄店(三碓7丁目29-1 電話番号:0742-93-5544 午前10時〜午後6時 定休日:火曜日)


奈良で自家焙煎を始める

私は大学生の頃から父の営んでいた喫茶店を手伝っていました。しかし当時は景気も悪く、売り上げが厳しい時期でもありました。今後、家業を続けていくために他との差別化を考えたところ、当時珍しかった「奈良で自家焙煎をする」という選択にたどりつきました。

日本一の焙煎士へ

私は焙煎を独学で学び始め、焙煎士の仲間との勉強会等に積極的に参加し、その面白さにのめり込んでいきました。12年からは焙煎技術の日本一を決める「Japan coffee roasting championship 」に毎年出場し、技術を磨いていきました。そして、出場6年目となる18年には大会で優勝し日本一の焙煎士になりました。

スペシャルティコーヒーを奈良から世界へ

現在は、コーヒーの生産地での栽培から輸送、保管が厳密に管理されている「スペシャルティコーヒー」の普及に力を入れています。このコーヒーは価格設定が適正にされており、生産地にもお金が入り、現地の子どもたちが学校に行けるようになる等のメリットがあるため、奈良からこの文化を広げていきたいです。

NSPで後輩指導役に

経営面では13年に父から事業を承継したことをきっかけに、本格的に経営について学ぶ機会が欲しいと思うようになり、17年にNSP1期生として参加、多くの仲間と出会い刺激を受けました。
そして、今年のNSPでは、私は受講者のサポートを担います。今後の事業の発展を考えると、奈良市の地域全体が発展することが必要と考えたからです。そのためには、新しい起業家を先輩の起業家が育てる風土が必要です。その役を私が担うことで奈良の発展に貢献できたらと考えています。

 

奈良発「働ける老人ホーム」を立ち上げ。介護を必要とする人でも、幸せに働ける社会を。

〇中山 久雄
株式会社リールステージ代表取締役社長・あをに工房代表社員 NSP2期生
大学卒業後は出光興産や外資系企業で勤務し、2016年に父から事業承継。国・事業者・要介護者の3者に利益がある仕組みを生み出す等、介護事業に変革を起こしており、経済産業省や各種メディアからの注目度も高い。

新たなビジネスモデルへの挑戦

私は16年に父から事業を承継したことをきっかけに、本格的に介護事業に携わることになりました。長く会社勤めをしていた私にとって、当初介護事業の特殊性に驚くこともありました。超高齢社会を迎えた日本では社会保障費が膨らみ続けています。介護費用の経済的負担に苦しむケースも多く、介護事業者の収益も年々厳しくなっている状況があります。そのような社会問題を解決し、介護事業者として利益を生み出すこともできる社会に求められる新しいビジネスモデルはないかと考えるようになりました。

起業家たちとの出会い

当時は、会社の今後の経営戦略についても悩んでいた時期でした。そんな時、NSPの存在を知り2期生として参加することにしました。異業種の起業家たちとの有意義な交流の中で出会った「チアフル」の松本さんが、社会貢献の一環で障害者施設に製品生産を委託する形態を取り入れていることを知りました。
日頃から入居者と触れ合う中で、手先が器用な人が多くいることを感じていたため、入居者も軽作業やものづくりをできればビジネスになると思いついたのです。

日本の介護に変革を

NSPでの発表で手ごたえを感じ、今年の春に高齢者就労事業を手がける「あをに工房」を設立しました。ここでは、企業から受託した手仕事を入居者に再委託して仕事をしてもらっています。
作業時間に合わせて報酬をきちんと支払う仕組みになっており、参加している入居者からは「ちゃんと報酬を受け取れるので、やりがいと責任を感じています」との声をもらいます。
入居者の作業の質が信頼を得るようになり、委託してくれる企業の数が増えてきました。
「チアフル」の松本さんからの「お風呂のハーブ」製造が委託契約の第一号です。ひのきのおが粉を不織布に計り入れ、一つずつじゃばらに折り、口をひもで縛るという難しい手作業を請負いました。しばらくの訓練期間はありましたが、現在は満足のいく製品を納品できるようになっています。
 現在、日本には約3500万人のアクティブシニアがいるとも言われているため、今後はそういった人にも仕事を提供し、元気な社会をこの奈良の地から発信していきたいと考えています。

株式会社 リールステージ
本社:大宮町5-3-14 不動ビル406(電話番号:0742-33-1555)
介護の他に保育・鍼灸接骨等、幅広く事業を行う。
あをに工房 合同会社
大宮町5-3-14 不動ビル406(電話番号:0742-33-1555)

 

奈良市でゼロから起業。NSPの繋がりを活用し、事業を加速化。

〇松本 梓
チアフル株式会社代表取締役社長 NSP2期生
大学卒業後、大手住宅メーカー勤務を経て、自社ブランド「jiwajiwa」を立ち上げる。奈良の素材を使った入浴料を全国の百貨店等に展開。近畿経済局や奈良県が主催するビジコンにも入賞。

中山久雄さんとはNSP同期生。「チアフル」の製品包装の業務で協力

都市と地域のバランスをとる

前職時代、全国を出張する機会がありました。都市には精神的に疲弊している人々が多い一方で、地方にはそれぞれ魅力があるのに経済的に衰退している印象を受けました。「都市と地域のバランスをとる」事業をしたいと考えるようになり、「自分で働き方を選びたい」と思うようになったタイミングと重なって29歳で起業しました。

奈良の魅力を商品化

私は普段から冷え性に悩んでいたので、市販入浴剤をたくさん試していたのですが、自然派のものがあればいいなと常々思っていました。そんな時、奈良県産「大和当帰」の入浴剤に出会ったのがきっかけとなり、自社ブランド「jiwajwa」を立ち上げ、合成香料・着色料を一切含まない自然素材100パーセント「お風呂のハーブ」を開発しました。原材料は農林業の県内生産者に直接会って仕入れており、製造工程には障害者・要介護高齢者の人々が携わってくれています。

自分自身と事業を深堀り

起業して1年半が経ち、今後の経営方針に迷っていた時、知人からNSPを紹介され参加しました。NSPには現在も事業で関わりのある「リールステージ」の中山さんや、経営経験を重ねた同期から刺激を受けました。期間中はメンタリングを通じて自分自身と事業に深く向き合ったことで、めざす方向性が明確になりました。

NSP仲間の助けを受け、事業を加速化

「お風呂のハーブ」は障害者の人々に製造してもらっていましたが、販売数の増加に伴い生産体制を強化する必要がありました。そこで「リールステージ」の中山さんの協力で、入所者の高齢者の人々に作業してもらえることになり、現在は高品質な製品づくりに貢献してもらっています。また私が苦手な管理部門の業務は、NSP1期生の栗本さんの会社「Women's Future Center」に助けてもらっています。同社は育児中の女性が在宅ワークをする仕組みづくりをしていて、生産・受発注や経理を依頼しています。さらに、NSP同期で経営の大先輩の田尻さんの会社「楓工務店」には5か月ほど入社させてもらい、経営を学びました。チームの力で顧客満足度はもちろん、社員満足度も高く、チームづくりの大切さを体感し、今後の組織づくりに生かしたいと考えています。

作り手と使い手・地域と未来によいモノづくり

奈良から「お風呂のハーブ」のように、使い手にとって良いものであることはもちろん、作り手や地域にとっても意義があり、より良い未来に繋がる「四方良し」の商品を、全国・世界へ発信し、日本をもっと元気にしていきたいと考えています。「チアフル」は、新しい時代を築く企業として、私達の心身と地球にやさしい暮らしを届けたいと考えています。

チアフル 株式会社
花園町20(電話番号:0742-42-6268)
商品はネットショップ「ナラノコト」で購入できる。また市内では平城宮跡歴史公園内にある天平みつき館や、ならファミリー5階の東急ハンズ等でも販売している。

 

NARA STAR PROJECTの第3期がスタート!

11月12日にNSP第3期の参加希望者に向けたプレイベントを開催しました。ゲスト講演ではAmidAホールディングス代表取締役の藤田優さんが、「さらなる成長をめざして」をテーマに、自らの上場に至るまでの13年間の出来事を語りました。参加した起業家からは「滅多に聞ける話ではなく、目標までの足取りを描く上で、非常に有意義な内容でした。」等の前向きな声が多く上がりました。

本特集に関する問合せ

産業政策課(電話番号:0742-34-4741)