令和6年度 奈良市の決算をお知らせ 
一般会計は33.5億円の黒字決算に
令和6年度は、まちへの投資を進めながら効率的な予算執行に努め、決算額は約33.5億円の黒字となり、令和2年度から5年連続で、20億円を超える黒字決算となりました。
歳入 1,619億9,635万円
●市税(市民税・固定資産税等)…529億2,713万円
令和6年度の構成比…32.7パーセント
●国庫支出金(国が支払ったお金)…367億5,699万円
令和6年度の構成比…22.7パーセント
●地方交付税(国が配分したお金)…238億43万円
令和6年度の構成比…14.7パーセント
●県支出金・各種交付金(県が支払ったお金・国が配分したお金)…246億1,883万円
令和6年度の構成比…15.2パーセント
●市債(銀行等から借りたお金)…104億8,270万円
令和6年度の構成比…6.5パーセント
●分担金および負担金・使用料および手数料・諸収入…58億1,069万円
令和6年度の構成比…3.5パーセント
●その他…75億9,958万円
令和6年度の構成比…4.7パーセント
■市税収入は増加傾向
・個人市民税  約220億円
個人市民税は、国が国民負担軽減のため実施した定額減税等により8億円減少しました。定額減税の影響がなければ、前年度から増加しており、コロナ禍前の水準まで回復しています。
・法人市民税  約33億円
企業の業績改善等が見られ、前年度より7億円増加しました。
・固定資産税  約205億円
安定した住宅需要や観光需要の回復に伴う地価上昇等により1億円増加しました。
■市債が減少し地方交付税が増加
市債のうち、地方交付税の不足時に国の代わりに一時的な借金で賄う「臨時財政対策債」が減少しました。その相当分11億円の影響により、地方交付税は令和5年度より増加しました。
歳出 1,578億2,749万円
●扶助費(生活保護費等)…372億2,083万円
令和6年度の構成比…23.6パーセント
●物件費(消耗品費・委託料・使用料等)…268億3,187万円
令和6年度の構成比…17.0パーセント
●人件費(職員の給料等)…263億133万円
令和6年度の構成比…16.7パーセント
●補助費等(各種団体への補助金や負担金・補償費等)…216億9,169万円
令和6年度の構成比…13.8パーセント
●公債費(借りたお金の返済)…180億3,878万円
令和6年度の構成比…11.4パーセント
●投資的経費(施設の建設や土木工事等)…121億9,094万円
令和6年度の構成比…7.7パーセント
●繰出金(介護保険等の特別会計への支出)…108億9,422万円
令和6年度の構成比…6.9パーセント
●その他…46億5,783万円
令和6年度の構成比…2.9パーセント
■児童手当の支給対象が拡大
児童手当の支給対象が高校生年代まで拡大し、所得制限が撤廃。前年度と比較し、支給額は7億円増加しました。
■会計年度任用職員の処遇改善
正規職員と同様に会計年度任用職員に新たに勤勉手当を支給。会計年度任用職員の処遇改善を実施し、正規職員とともに活躍できる環境を整え、即戦力となる人材確保に努めています。
■認定こども園の運営を支援
共働き世帯増加に伴いニーズが高まる「認定こども園」。民間による園が増加したことで、運営費等のための施設型給付費が増加しました。また、人事院勧告による単価改定等で既存園への給付額も上がり、合わせて約9億円増加しました(国・県からの歳入も増加)。
特別会計・公営企業会計の決算
市の特別会計では、土地区画整理事業特別会計が収支均衡になり、他会計は黒字となりました。公営企業会計は、右記のとおりとなりました。
病院事業会計
収益合計…7億8,940万円
費用合計…8億3,744万円
当年度純利益…4,804万円減
水道事業会計
収益合計…86億6,511万円
費用合計…78億7,429万円
当年度純利益…7億9,082万円増
下水道事業会計
収益合計…82億3,079万円
費用合計…75億8,327万円
当年度純利益…6億4,752万円増
将来世代の負担を軽減
収入に対して「将来支払うべき負担」が多すぎないかを、将来負担比率から判断できます。奈良市は毎年度着実に改善しており、令和6年度は前年度に比べて9.6ポイント改善しました。
※平成27年度からの10年間で99.4ポイント改善
将来負担比率…9.6ポイント改善
借入金等の負債の大きさが、標準的な歳入に対し、負担が重すぎないかを表す比率です。
※数値が小さくなるほど負担が小さいことを示します
令和5年度:81.7パーセント
令和6年度:72.1パーセント
 
歳出から見る。市の動き
近年の物価高騰への対策や児童手当の拡充、障害者福祉への需要の高まり等により、歳出はこの10年間で大きく増加しています。こうした状況の中でも、健全な財政運営を続けていくため、市税収入の確保や優先的な予算配分に努めています。
歳出の決算…扶助費
平成27年度…293億円
令和6年度…372億円
増減…79億円増
 
歳出の決算…物件費
平成27年度…199億円
令和6年度…268億円
増減…69億円増
 
歳出の決算…人件費
平成27年度…270億円(令和元年度まで物件費で計上していた臨時職員経)
令和6年度…263億円
増減…7億円減
 
歳出の決算…補助費等
平成27年度…113億円
令和6年度…217億円
増減…104億円増
 
扶助費 79億円増
誰もが安心して暮らせる環境づくりのための経費です。過去10年間では、障害福祉関連が大きく増加。精神障害や発達障害を抱える人が増え、支援の必要性が高まっています。こうした社会の変化に伴い、就労支援や放課後等デイサービス等の福祉サービスの利用が増加しています。
●障害福祉関連
平成27年度…83億円
令和6年度…162億円
過去10年間の増減率…79億円増
 
●子ども関連
平成27年度…74億円
令和6年度…79億円
過去10年間の増減率…5億円増
 
●生活保護関連
平成27年度…125億円
令和6年度…121億円
過去10年間の増減率…4億円減
 
人件費 7億円減
市では、人口減少社会に対応した持続可能な行政運営のため、職員の効果的な定員管理を進めています。過去10年で、職員数は2,779人から2,530人と約250人の減。また、職員の働き方改革を進め、超過勤務手当は約1.4億円減少しました。一方で、最近の国の人事院勧告への対応として、優秀な人材確保のため初任給をはじめ若年層に重点を置いた給与改定を実施。大卒1年目の年収は、10年間で約100万円増加しました。
年収の推移(大卒1年目の場合)
平成27年度…352万円
令和6年度…453万円
10年間で約100万円増
 
物件費 69億円増
市が支出する経費のうち、委託料や光熱水費、消耗品費等の経費です。近年の物価高騰の影響を受け増加傾向にあるほか、令和6年度は、物価高騰対策として市民生活を支援するプレミアム付商品券事業を実施しました。さらに、国が行政運営の効率化等のために進める児童手当や住民基本台帳等の自治体システム標準化に対応し、市の情報システムを改修。この経費も増えています。10年間の推移では、業務の担い手の見直しにより、ごみ収集や学校給食の調理、火葬場の運営等、民間事業者のノウハウを活用した委託を進めており、人件費から物件費へ転換しています。
 
補助費等 104億円増
他の地方公共団体・民間団体への補助金等にかかる経費です。近年は、物価高騰に対応する国の給付金事業等により大きく増加。また、幼保施設のこども園化や民間移管により、民間の認定こども園への施設型給付も増加しています。そのほか、後期高齢者にかかる医療費の増加に伴い、市が負担する経費も年々増加しています。
 
市債(市の借入金)は着実に減少。
ピーク時から853億円の減
令和6年度は前年度と比べ、新たな市債の発行は大きく減少し、残高は着実に減少しています。過去の施設整備等に伴う市債はまだ残っていますが、平成24年度のピーク時からは853億円減少しました。将来世代の負担を軽減できるよう、市債残高の減少に努めています。
 
臨時財政対策債…国が地方交付税の財源不足等を理由に、市への交付額を減らした時、いったん市が市債として借り入れるもの。後年度に国から地方交付税で全額補填されます
第三セクター等改革推進債…多額の負債を抱えていた市土地開発公社を清算(解散)するために発行した市債
上記を除く市債(一般会計・特別会計・公営企業会計)
 
平成24年度
臨時財政対策債…455億円
第三セクター等改革推進債…193億円
上記を除く市債…2,296億円
 
平成25年度
臨時財政対策債…508億円
第三セクター等改革推進債…182億円
上記を除く市債…2,242億円
 
平成26年度
臨時財政対策債…553億円
第三セクター等改革推進債…172億円
上記を除く市債…2,157億円
 
平成27年度
臨時財政対策債…589億円
第三セクター等改革推進債…161億円
上記を除く市債…2,075億円
 
平成28年度
臨時財政対策債…612億円
第三セクター等改革推進債…150億円
上記を除く市債…2,007億円
 
平成29年度
臨時財政対策債…637億円
第三セクター等改革推進債…138億円
上記を除く市債…1,925億円
 
平成30年度
臨時財政対策債…656億円
第三セクター等改革推進債…128億円
上記を除く市債…1,853億円
 
令和元年度
臨時財政対策債…664億円
第三セクター等改革推進債…117億円
上記を除く市債…1,788億円
 
令和2年度
臨時財政対策債…670億円
第三セクター等改革推進債…106億円
上記を除く市債…1,794億円
 
令和3年度
臨時財政対策債…695億円
第三セクター等改革推進債…96億円
上記を除く市債…1,745億円
 
令和4年度
臨時財政対策債…669億円
第三セクター等改革推進債…87億円
上記を除く市債…1,651億円
 
令和5年度
臨時財政対策債…631億円
第三セクター等改革推進債…78億円
上記を除く市債…1,612億円
 
令和6年度
臨時財政対策債…582億円
第三セクター等改革推進債…69億円
上記を除く市債…1,567億円
 
市の貯金にあたる 財政調整基金の残高は過去最高に
市債残高の減少に加え、市の貯金にあたる財政調整基金※の残高は増加しています。5年連続の黒字決算により、順調に増加し、令和6年度決算による積立で残高が過去最高となる88.5億円になりました。
※経済不況等による税収の減少や、災害等による臨時的な支出の増加等への備えとして積み立てている基金
令和4年度、長年の課題であった地域振興基金からの40億円の繰替運用を返済
 
今後予定されている新クリーンセンター建設や社会保障関係費の増加に備えるため、引き続き、積極的な財源の確保や市債発行の抑制、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進等により、財政の健全化に取り組んでいきます。
 
【問合せ】財政課(電話番号:0742-34-4720)