ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 分類でさがす > 市政情報 > 広報活動 > しみんだより > 奈良しみんだより > 奈良しみんだより令和7年3月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

本文

奈良しみんだより令和7年3月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

ページID:0228330 更新日:2025年3月1日更新 印刷ページ表示

火災と向き合うまちを守る力

1月以降、市内では昨年同時期の約2倍もの火災が発生しました。なかには、尊い人命が奪われるケースもありました。
今月号では、増える火災の原因とまちなかで防災に奮闘するみなさんを紹介します。3月1日〜7日の春季全国火災予防運動に合わせて、今一度、身の回りで起こる危険を確認しましょう。

問合せ…消防局総務課(電話番号:0742-35-1199)

 

“冬から春”が火災のピーク

令和5年の全国の出火件数は38,672件。そのうち最も多く発生しているのは3月です。市では、令和6年中に90件の火災が発生しました(死亡者は3人)。令和7年はすでに1月の時点で18件を対応。令和5・6年の1月と比べても2倍以上と急速に増えています。

・月別火災損害状況(全国)
3月に4,679件の火災が発生
​出典…総務省消防庁「令和6年版消防白書」

・1〜3月の火災発生件数(奈良市)
令和5年…23件
令和6年…21件
令和7年(1月のみ)…18件

〇消防局予防課…鈴木
3月は大陸からの暖かい風により、空気が乾燥しやすく、強風も吹きやすいため、火災の発生・延焼に注意が必要といわれています

 

原因は身近なもの。今一度注意しましょう

出火の原因の多くは、火入れ、たばこ、こんろ等。その中でも身近にあるものが多く報告されています。特にたばこの吸い殻には注意。完全消火せずにごみ箱へ捨てると、小さな火種が時間とともに蓄熱・発火して、周囲の可燃物に燃え移るケースが多いです。

 

・火災原因別件数(奈良市)
火入れ…18パーセント
たばこ…8パーセント
配線器具…7パーセント
こんろ…7パーセント
電気機器…4パーセント
ストーブ…4パーセント
排気管…2パーセント
その他…50パーセント
​出典…奈良市消防局「奈良市の消防」

 

非純正のバッテリーの使用による火災

非純正の社外品には粗悪品もあります(内部構造の欠陥や、過充電防止の制御装置の不具合)。火災を招くおそれがあるため、製造事業者が指定する 純正の充電器やバッテリーを使用しましょう。
​出典…東京消防庁ホームページより

〇消防局予防課…鈴木
近年はリチウムイオン電池(モバイルバッテリー等)による火災も増加しています。この電池は、落下等の強い衝撃により、内部でショートを起こして発火することがあります。他にも下記のような事例もあります

農作業中の火の扱いは、特に注意を

市内で最も多い火災原因は「火入れ」。農地で枯れ草や稲ワラ等を焼くことから発生した火災です。全国の農作業中の死亡事故(機械や施設によるものを除く)のうち、「稲ワラ焼却中等の火傷」は18.5パーセント。熱中症に次いで多く報告されています。
なお、農業に伴うやむを得ない野焼きは、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)で禁止される行為の「例外」として認められています。風向き・燃やす量・時間帯等に注意し、周辺地域の生活環境に与える影響を必要最低限にとどめてください。

農作業中の死亡者数の推移(上位3つ。「農業機械・施設以外の作業」を除く)
・熱中症等、作業中の病気
・稲ワラ焼却中等の火傷
・ほ場、道路からの転落
​出典…農林水産省「令和4年農作業死亡事故の概要」

〇消防局予防課…鈴木
火はあっという間に燃え広がり、建物に燃え移る危険性もあります。地域や家庭で、今一度、火災予防の対策・声かけに協力をお願いします

 

地域防災の要 消防団の活躍

異常気象等による災害の大規模・多様化に伴い、対応する「消防の任務」の重要性が高まっています。同時に、災害の規模が大きいほど、国・行政の力だけでは対抗ができません。有事の際により多くの住民を救助するには、 即応力・動員力等に優れた「消防団」が欠かせません。しかし、消防団の団員数は年々減少しています。住民の高齢化や働き方の変化が主な要因。市でも定員数1,230人に対し実員は986人と不足しています。これを受けて、少ない人員で防災力を強化するため、団内に専門性の高い部隊を編成しています。

消防団員数の推移(全国)
昭和30年度…1,944,233人
令和6年度…746,681人
半分以下に減少
​出典…総務省消防庁「令和6年版消防白書」

 

結成から約2年「情報収集部隊」の今

ドローンで上空から火災や地震、土砂災害等の状況を確認し、救助活動や火災の原因調査に必要な情報を集める部隊です。令和5年に各分団から志望した団員で結成され、3件出動しました。

○インタビュー…久保田 昭貴さん
柳生分団分団長。柳生で生まれ育ち、「地域を守りたい」という思いで消防団に加入。調理師として店舗を営みながら、団の活動にも取り組む

結成当時は、団員のほとんどがドローンの操縦経験がありませんでした。操縦に必要な知識・技術を得る「無人航空機技能講習」や、安全にドローンを飛ばせるように部隊での集合練習を行い、来るべき出動の日に向けて準備しました。令和5年4月に大規模な火事で出動した際は、出火箇所の確認や延焼範囲の調査を実施。立ち入りが難しい場所や角度からの撮影だけでなく、足元の悪い現場で消防士が行っていた作業も、一部をドローンが担い、消防士の負担が軽減されています。
今後は、防火訓練や小学校での防災教育等にも積極的に参加し、さらにドローンの活躍の幅を広げていきたいです。最先端の取り組みを若い世代にも伝え、まずは興味を持ってもらうことで、未来の消防団員を育んでいきたいと思っています。

 

県内初「重機対応部隊」が発足しました

昨年1月に発生した能登半島地震。市の消防隊も救助活動に向かいましたが、土砂で道が寸断され、初動対応が困難でした。
この経験を元に消防団では、油圧ショベル等を個人所有する団員で構成される「重機対応部隊」を2月に編成。地域で土砂崩れ等が起きた際、いち早く障害物を取り除き、緊急車両が通行できるようにと、団員からの提案で発足しました。
初動対応が早く整えられることで、その後の消防活動がスムーズになります。

 

学校では得られない貴重な体験を。
若い力でまちを守る「学生消防団」

団員数が減少する一方、参加者数が徐々に伸びている団があります。それは、大学生・専門学生等が対象の学生消防団。市でも令和2年から奈良市学生消防分団を創設し、現在13人が活動しています。消防活動の広報・啓発を行う他、有事の際は避難所で応急救護や物資配布等の支援活動を行います。

学生消防団員数の推移(全国)

・団員数
平成26年度…2,725人
令和6年度…7,122人
学生消防団員数は2倍以上

・学生消防団員数導入市町村
平成27年…36市町村
令和6年…395市町村
導入市町村は10倍以上増加
​出典…総務省消防庁「令和6年版消防白書」

○インタビュー…植村 眞子さん
奈良保育学院2年生。三宅町から奈良市に通学中。令和6年2月から奈良市学生消防分団に入団

■子どもたちと防災をつなぐ保育士を目指して
子ども心に衝撃を受けた、東日本大震災の惨状。テレビで報道されるニュースを見ながら、「自分にできることは何だろう」と考えるようになりました。目指す進路は保育士ですが、子どもたちが防災に触れる機会を作りたいと思い、地元の消防団の活動に参加。在学を機に、より地域防災を学べる場所を探して、奈良市の学生消防団に入団しました。
現在、消防局や地域が開催する防災イベント等に参加し、各体験ブースの運営や応急手当の方法を教えています。イベントでは勉強する部分がたくさん。心臓マッサージやAEDの使用法を教える際も、どうすれば子どもや保護者へ分かりやすく伝えられるか、常に考えながら実践しています。現地で関わる他の消防団や地域の防災担当者とも交流でき、学生生活だけでは築けない人脈も増えているように思います。
■自分の将来をしっかり考えられる場
学生消防団には消防・警察を目指す人や、地域防災の専門性を学びたいという学生が集まります。自分の将来やまちの防災をしっかり考え、熱意のある人が多いので、わたしも進路や人生を考える上で刺激になっています。大学でも保育の現場には携わりますが、団の活動では同じ現場であっても全く別の景色が見え、新たな気づきがあります。今しか得られない「学生×消防」としての経験を、将来の仕事や活動に生かし、子どもたちやまちを守っていきたいです。

 

レッツトライ!! 仕事や学校に通いながら、消防団の活動がで​きます

消防団員は消防職員とは異なります(非常勤の地方公務員、有償)。普段は学業や仕事をしながら、火災や大規模災害の発生時に現場へ駆けつけ、消火・救助活動を行います。現在、市内の消防団でも不動産業や製造業、農業等、さまざまな職種の人がライフスタイルに合わせて活動中です。防災知識も身につき、幅広い人脈も得られる消防団に、ぜひ参加しませんか。

対象…市在住の18歳以上の人(在勤・在学も可)
消防団の種類…
・基本団員(女性含む)
・学生消防分団(機能別団員)
・地域支援消防分団(機能別団員)