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奈良しみんだより令和6年6月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

更新日:2024年6月1日更新 印刷ページ表示

古都奈良を環境先進都市へ
ごみから潤う、循環のまち

環境清美工場の稼働開始から約40年。市では一日も早い新クリーンセンターの建設を目指し、基本計画案を公表しました。計画では「ごみを焼却する施設」だけでなく、資源を巡らせ、再生可能なエネルギーで潤うまちづくりを、施設整備と一体的に進める予定です。ごみは、市民のみなさんの暮らしの中から生み出されるもの。今月号では、市が提案する計画をもとに、一緒に未来のみなさんの暮らしを考えてみましょう。

 

新クリーンセンター案を徹底解説

これまで不要なものとして、焼却してきたごみ。現工場でも年間約78,000トン(2022年度)の一般廃棄物を焼却しています。新クリーンセンター(以下、「新センター」)では、ごみから再生可能エネルギーを生み出します。これを使い、まちの暮らしや農業を支える他、観光や地域のにぎわい等を創出し、新しい価値の発信拠点となることを目指しています。新センターをきっかけに、市民や市外から訪れる人々の行動を変え、環境にやさしく住みやすい、未来のまちへ。このようなビジョンで提案する新センターを紹介します。

 

ポイント1 熱エネルギーを再利用

約76,000トン(2032年度に想定する年間計画ごみ処理量)のごみから、1万世帯分の電力へ

地域エネルギーセンターでは、ごみの焼却時に発生する熱を利用して、発電します。年間約40,000メガワットアワーの電気を発電できる予定です。施設内の電力を賄うだけでなく、残った電力の売電や近隣地域への提供を行います。

新センターの焼却の流れ

・プラットホームでごみを搬入
・クレーンでごみホッパへ
・ボイラで内部の水を熱交換し、高温高圧の蒸気に
・蒸気タービン発電機で年間約40,000メガワットアワーの電力を発電。約28,500メガワットアワーは地域に供給、売電し年間約11,500メガワットアワーを施設内で利用

 

ポイント2 身近に循環を

焼却ごみの約4割を占める、生ごみ等の食品残さを再資源化  

新センターでは、ごみ処理から生まれた熱・電気エネルギーで施設運営を賄い、敷地内では食品残さからできた堆肥で農作物を育て、地域で食すというサイクルを構築します。地域の生産者と直接つながるマーケットや子どもの遊び場も作ることで、多世代に親しまれる場所とする予定です。また、循環型社会を体験できる施設として次世代の学びの場を創造し、周辺エリアの活性化につなげます。

生ごみ等の再資源化

・資源の循環
生ごみの排出、堆肥化、農園での生産、加工・販売、消費
・奈良市が提案する新クリーンセンターのイメージ
農園、販売所(レストラン)、リサイクルセンター、防災調整池、地域エネルギーセンター

 

ポイント3 災害に強いセンター

強じんで、災害時にはエネルギー供給や、地域住民が一時的に避難できる施設に 

・火力発電所の耐震設計規定の一部に基づくことで、頑丈な施設に
・保存食や水、毛布等を備蓄
・停電時も施設内で電気供給が可能。照明や冷暖房の他、スマートフォン等の充電スポットも整備
・ごみの搬入出口を2階以上等に設置。主要な設備は浸水の恐れなし
・周辺の雨水を貯留する防災調整池を整備し、地域の浸水リスクを軽減

最新技術で自然&暮らしにやさしく

十分な環境影響評価に基づき、新センターに最新技術を導入します。
・大気…高性能な排ガス処理機器
ダイオキシン類の濃度は、一般の住環境と同程度に
・振動・騒音…低振動・低騒音の機器
人が振動を感じる55デシベル以下に。騒音も規制基準以下に
・におい…最新の換気機器やエアカーテン
梅の花の香り程度、コーヒーの香りの3分の1以下に

 

新センター建設後のコスト比較

売電と費用の削減で、市の負担が軽減

昨年、現工場で炉の1つが壊れて稼働を停止し、一部市外での処理を実施しました。粗大ごみ処理施設も老朽化が進み、故障によって処理が度々遅れています。昨年度から総額140億円の大規模改修を行う等、財政的な負担にもつながっています。新センターでは、売電で得られる収入に加え、最新設備の導入や維持費の削減等で、年間17.2億円のプラス効果が期待されます。

現工場と新センターの年間のコスト比較

現工場は、令和5年度予算額で算定しました。新施設は、運営を民間委託した場合を想定しています。
収益 売電収入
現工場…0円
新センター…約3.7億円
3.70億円増

費用
現工場…約27.5億円
新センター…約14.0億円
13.5億円減

内訳
人件費
現工場…約8.9億円
新センター…約5.9億円
3.0億円減

電気代
現工場…約4.3億円
新センター…約0.3億円
4.0億円減

薬品費
現工場…約1.0億円
新センター…約0.9億円
0.1億円減

燃料費
現工場…約0.3億円
新センター…約0.1億円
0.2億円減

維持管理費
現工場…約13.0億円
新センター…約6.8億円
6.2億円減

約3.7億円収益の増
​約13.5億円費用の減
新センターの建設で年間 約17.2億円プラス効果

 

ごみ処理施設の 今を視る

新センターの計画案は、世界や他の都市のさまざまな事例を取り入れながら計画しています。ここでは、ごみを資源としてエネルギーを再生している施設を紹介します。一緒に私たちのまちでできることを考えてみましょう。

 

屋上にはスキー場!緑いっぱいの「コペンヒル」

「2045年までに化石燃料から脱却。2050年までに二酸化炭素排出量削減の110パーセント達成」を掲げ、世界的にも一歩進んだ環境政策に注力するデンマーク。2019 年には、首都・コペンハーゲンに画期的なごみ処理施設が誕生しました。「都会の丘」のような外観だけでなく、周辺の90,000 世帯に電気・80,000 世帯に熱を提供する最新鋭の施設です。老朽化していたごみ処理施設を、エネルギーを生み出す場所に生まれ変わらせるだけでなく、「まちの人々が生活を楽しみながら、持続可能な社会を実現したい」というコンセプトのもと、誕生しました。屋上には、デンマークで人気のスポーツ、スキーが楽しめる場を設け、ジョギングやハイキング、ボルダリングもできる、市民のレクリエーションセンターとして開放。屋上スロープの周囲には、北欧の植物を配置しています。鳥が訪れ、虫が育つような庭園を設け、生物の多様性が観察でき、周辺環境への調和にも配慮しています。

 

資源循環型のまちづくりを目指して誕生
「森の中の再生工場豊中市伊丹市クリーンランド」

伊丹空港のそば、豊中市(大阪府)と伊丹市(兵庫県)の境界にたたずむ施設。両市になじみのある樹木や草花で、建物を包み込むようなイメージの壁面・屋上緑化や、煙突を建物内に収容する等、周辺環境とも調和したごみ処理施設です。
また、ごみ焼却による熱エネルギーは、高効率発電の導入で、電力として有効活用しています。
・ごみ焼却時に出る熱から、ボイラの中の水と熱交換して高温高圧の蒸気を作ります。蒸気タービン発電機を回して、発電します。
・バグフィルタで、排ガス中のばいじんやダイオキシン類を捕集。排ガスを化学的に洗浄・酸化還元し、クリーンにした上で煙突から排出。

市で視察を行い、体感しました

これまで市や地域の人々で先進地を視察し、新しい技術や再生可能なエネルギーの循環の仕組み等を計画案に取り入れています。豊中市伊丹市クリーンランドの視察時は、嫌なにおいや騒音もしない施設でした。また、環境について楽しみながら学べる設備があり、見る・聞くだけでなく肌で感じることで、訪れた人が身近に資源循環を感じられる工夫がされていました。

 

新情報を随時発信していきます

この計画案は、市民のみなさんの将来に関わる大切なものです。パブリックコメント等で多くの人々の意見を集めながら、計画を進めます。今後、解説動画の公開や、市民のみなさんが環境やごみについて考える参画型のイベント等も予定していますので、市ホームページ等で随時分かりやすく発信していきます。


【問合せ】クリーンセンター建設推進課(電話番号:0742-34-5314)