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奈良しみんだより令和6年3月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

更新日:2024年3月1日更新 印刷ページ表示

令和6年能登半島地震  奈良市独自の切れ目ない支援

奈良市は地震発生直後から情報収集を開始し、被災地支援を始めました。
現地で災害対応を行う自治体職員をサポートするため、「必要な支援」を「できる限り早く」行おうと、さまざまな応援を行っています。国や県・他自治体と連携しながら、市独自で行った支援等をまとめ、時系列にしました。
災害時に必要な動きや備え等を、この特集で一緒に考えてみましょう。

【問合せ】危機管理課(電話番号:0742ー34ー4930)

 

2月9日までの主な支援

支援地は全て石川県内

●1月1日 午後4時10分 能登半島地震が発生
●発災後72時間
・1月1日 輪島市へ消防職員が出動
担当:消防局消防課
地震発生から約5時間後、消防庁の指示で、緊急消防援助隊の奈良県大隊として消防隊員25人が救助に向かいました。陸路と海路に分かれ、海上保安庁と協力しながら現地に乗り入れ、捜索救助活動に加わりました。1月10日までに総勢94人を派遣しました。
ポイント…発災後72時間が人命救助に大きく関わる。いかに早く到着するかが鍵。

・1月3日かほく市へ命に関わる水を輸送
断水の影響が大きいとの情報を得て、企業局の備蓄飲料水等、約9.4トンを輸送。「災害発生時における物資等の緊急輸送に関する協定」により、県トラック協会に協力をあおぎました。
(協力:フジトランスポート、モミキ運送、塚本運送)
ポイント…有事の際は、民間企業の力も不可欠。平時から各企業が積極的な防災体制を想定していたため、年始でも即時の支援が可能となった。

〇かほく市への第1便運転手(フジトランスポート松田 泰尚さん)
道の陥没による急な通行止めで、何度も迂回。そんな中頼りになるのは、自身のドライバーとしての勘のみでした。絶対に届けるという使命を胸に、ルートを探り無事届けることができました。

・義援金の募金活動を開始

●避難所生活の支援が中心の期間
・1月5日 七尾市へ先遣隊(職員)を派遣
被災地の現状を把握し、今後必要となる支援を予測するため、先遣隊を2人派遣しました。

先遣隊が聞き取った現地の要望
・ストレスのかかる避難所生活の解消に、プライベート空間の確保が必要…テント型間仕切りの輸送
・氷点下になる能登。寒波への備えが必要…断熱材の輸送
・断水のため洗濯ができない…下着類等の輸送
・全国から物資が届くが、被災者への配給に時間がかかる…配給や荷さばきを行う︎職員の派遣

・七尾市へ飲料水を輸送
ポイント…被災地ではさまざまな被害が同時発生し、混乱状態に。状況把握に時間を要し、情報発信がままならないことも。被災自治体と連絡を取りながら、独自に情報を収集し

・1月6日 七尾市へ第1陣(職員)を派遣
2月9日までに、97人を七尾市・輪島市・穴水町・能登町へ派遣。被災地での学びを奈良市の防災対策に生かすため、帰還後にアンケートを実施しています。
ポイント…被災しながら業務を行う現地職員をサポートし、現地の行政サービス円滑化を後押し。

・1月7日 七尾市へテント等を輸送 市営住宅を一時避難所として提供

●生活再建に向け動き出す期間
・1月8日 ホテル・旅館を一時避難所として利用開始
担当:観光戦略課
台風・大雨等の災害時にホテル等へ避難できる、従来の制度を応用し、市内の宿泊施設が受け入れ体制を整えました。協定を結ぶホテル・旅館はもちろん、市内外問わず協力したいと自主的に手も上がり、観光都市の特性を生かした動きが見られました。
ポイント…発行に時間がかかる罹災証明書を一旦利用条件から外し、スピーディーな受け入れを優先。また、申込時に利用者の困りごとを聞き、さまざまな支援メニューを紹介。

〇利用者の声
避難期間が長くなりそうな大災害。親類の家等に長期滞在するのも気がひけるので、公的な場所を提供いただけるのはありがたいです。

・1月9日 七尾市へ下着類等を輸送

・1月20日 七尾市へ飲料水を追加輸送

・2月5日
災害ごみの収集運搬支援
担当:環境部

復興に向けて欠かせないのが、被災家屋から排出される大量の「災害ごみ」の片付け。環境省から全国都市清掃会議を通じて要請を受け、七尾市の災害ごみをパッカー車で収集・運搬する業務等に、環境部の職員が従事しました。2月29日までに総勢35人、計4台の車両を派遣し、支援活動を行っています。
ポイント…石川県では、令和7年度末までに発生した災害ごみの処理完了のため、環境省へ人的支援を要請。同県は、ごみが推計240万トン(同県内で排出される年間ごみ量の6倍以上(同県ホームページ参照。令和3年度の実績))にのぼると発表

 

レポート  被災の現場から

救助活動や避難所の支援、給水管の復旧、建物被害の認定調査等で現地に市の職員が赴いています。支援活動を行った職員が被災地の様子をレポートします。日常からかけ離れた事態が起きた時、どう対応するか。事例を参考に、防災への備えを一緒に考えてみましょう。

〇消防局予防課(消防職員) 上田祥司
救助活動を実施(1月3日〜6日 輪島市)
主に、倒壊した建物に取り残された人を救助する活動を行いました。要救助者の居場所特定のため、周辺住民への聞き取り等を実施。「数日前、がれきの下から人の声がした」との情報を得て、発見につながったこともありました。一刻も早く救助するために、普段から地域内のコミュニケーションを密にしておくことが大切だと改めて感じました。また、建物内に閉じ込められてしまった場合の体力温存や早期発見のために、定期的に近くのものを叩いて知らせる方法や防災用ホイッスルのことも知っておいてほしいです。

〇廃棄物対策課(一般事務職) 上田伊賢
救助活動を行う消防隊員 避難所の運営に従事(1月6日〜11日 七尾市)
避難所には、全国各地から、応援の言葉が手書きされた支援物資の段ボールが届き、日本全体がワンチームで取り組んでいると実感しました。
また、避難所内の清掃や換気、生活用水用のプールの水汲み等、避難者自らが積極的に運営に携わっていたのが印象的です。ある時、段ボールベットを組み立てていると、周りの避難者から「手伝いますよ」「奈良から来たの?遠かったでしょ。道は大丈夫だった?」と温かい言葉をいただきました。自らが被災しているにもかかわらず、気遣いや助け合いの心が厚く感じられ、人のたくましい姿を目にしました。

避難所の様子
(1)種類ごとに整頓された支援物資。ペット用もあり
(2)テントでできた更衣室で、プライベート空間を確保
(3)情報共有のための掲示板
(4)近隣住民や企業が協力し、炊き出し等を実施
(5)みんなで頑張ろうと、子どもたちが書いたメッセージを掲示
(6)避難所の居住スペース
(7)断水のため、凝固剤を入れた袋を便座にセット。使用後はまとめて廃棄

〇健康増進課(保健師) 奥田知栄子
要配慮者を支援(1月15日〜21日 穴水町)
被災者の健康面でのケアを行いました。ハンディキャップがある人等から優先的に行います。地区長から「認知症の男性が体調を崩したため、家族全員が在宅避難をしている」と聞き、訪問すると、その男性は寝たきりの状態でした。家族への聞き取りから脱水の可能性があることが分かったため、すぐさま医療チームと調整し、救急車で搬送。家族は「ほっとした」と安心した様子でした。
今回は、地域内のほとんどの方の健康状態を把握でき、すぐに必要な処置ができましたが、要配慮者の情報を地域の方から得られなければ、命の危険がある被災者を見つけることは困難だと実感しました。

 

インタビュー 「災害は日を選ばない。」 自主防災で考えること

多くの支援の中から共通して浮かび上がることは「地域コミュニティの重要性」。この地震を受けて、市内で最初に自主防災組織が発足した済美地区に話を聞きました。地域の取り組みから、今後わたしたちにできることは何か、探ってみましょう。

市自主防災防犯協議会  兼済美地区自主防災防犯協議会
会長 池口 光隆さん
防災士としての知識を生かし、数々の企画を立案。後継者育成にも注力する

・歴史あるまちの防災
今回の地震で、大規模火災で被害を受けた輪島朝市と済美地区の姿を、思わず重ねました。ここにも、昔ながらの木造家屋が立ち並ぶ「ならまち」があります。二次被害で火災が発生すると被害が拡大し、救助がより困難になります。これを防ぐためにも、普段から停電した場合はろうそくではなくLEDランプを使用してほしいと呼びかけています。また、社寺も多いため、仏像の運び出し訓練も行っています。
・何気ない会話が命を救う
地域防災で一番大切なことは地域でのコミュニケーションだと思っています。例えば1人暮らしの高齢者。自治会長や民生委員との普段の会話で「いつも1階の端の和室で寝ている」というやり取りがあれば、建物の下敷きになった際も、救助隊員に素早く手掛かりを伝えることができるかもしれません。このような有事にこそ、地域内の活動が生きてくると考えています。

済美地区の活動事例を紹介
済美カード…住民の安否確認に役立てるため、地域独自のカードを作成。中には住所、氏名、連絡先、持病や常備薬等の記入欄が設けられている。

済美子ども防災クラブ…10年後のまちを守る後継者を育成するため、放課後子ども教室の活動の一つとして2019年に設立。消防団の協力のもと、20人超の小学生が日々防災活動に触れている。
特に力を入れているロープワーク 地域の訓練では子どもたちが指導者として活躍する場面も