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奈良しみんだより令和6年2月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

更新日:2024年2月1日更新 印刷ページ表示

本と暮らす。人と暮らす。 〜本から生まれる交流の輪〜

「趣味は何ですか」と聞くとよく出てくる「読書」。1人でも楽しめる娯楽の一つとして今なお愛され続けています。
昨今では、読書の楽しみ方が多様化し、本をきっかけに交流を深める人が増えつつあります。
市内で広がる新しい本との付き合い方をのぞいてみましょう。

奈良市民は本好き?

電子書籍の登場等により、全国の紙の出版物の売上は減少傾向ですが、総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」では、趣味・娯楽全35種類のうち、自由時間等に行う活動として「読書」を選んだ人は全世代で約4割で、上位5番目にあがっています。15歳未満の子ども世代からも読書は上から6番目に多く、世代問わず選ばれる趣味であることが分かります。
また、家計調査(総務省統計局)によると、「奈良市民」と「全国の都道府県庁所在地に住む人」の「読書」にかける支出金額では、奈良市民の平均が全国平均を上回っており、市民のみなさんが読書にお金をかけていることが分かります。
ならば、奈良市民は本好きと言えるのでしょうか。本と上手に付き合い、新たな交流を生み出す市内の動きを探ってみました。

●編集チーム2人が紹介します
・ふとした時に本を読みたくなるなっちゃん
・昔から本より漫画派のふうちゃん

 

本ある場所に人集う 月ヶ瀬で始まる居場所づくり

「個人と地域団体等の関係づくり」をコンセプトに、月ヶ瀬地域にできた新たな拠点「ONOONO(おのおの)」。ここには、地域の人が作った飲み物等と本を合わせて楽しめる「ONOONO図書室」があります。給食センターの配膳台を再利用して並べられた本の数々。それらに込められた思いや、本から生まれた交流を取材しました。
ONOONOはワーケーションルームとしても利用されています。

 

笑顔あふれる場所を目指して

地域への定住・定着を目的に地域ブランドの向上に取り組む、地域おこし協力隊の皆川さんに、「本が生む交流」のお話を聞きました。

〇インタビュー…市地域おこし協力隊(月ヶ瀬)の皆川さん

ふうちゃん…「ONOONO図書室」を始めたきっかけは何ですか
皆川さん…給食センターの備品を有効活用したいと、地域に本の寄贈を呼びかけました。中には、代々家族で読み継いでいた絵本の引き取り手がいなくなったので、地域の子どもたちに読んでほしいという思いが込められたものも。幅広いジャンルの本が集まりました。

ふうちゃん…絵本のほかに、漫画も多いですよね
皆川さん…漫画は特に多いですね。配架後は子どもたちが放課後にこぞって訪れ、交流の場にもなりました。巻数がそろっていないものも多いですが、好奇心をくすぐる一要素だと思っています。電子書籍の台頭で漫画を手軽に一気読みできるこの時代に、繰り返し同じ本を読む楽しさを感じてくれたらうれしいです。今は漫画の数が100を超え、配膳台に乗り切らなくなったので、とうとう専用部屋を作りました。
ふうちゃん…漫画好きにとっては、たまりませんね

なっちゃん…図書室の設置で、利用者に何か変化はありましたか
皆川さん…ONOONO内は手作り品販売等の常設ブースの他、体操教室のような毎週開催するイベントもあるので、老若男女さまざまな人が訪れます。気が向いた時だけ体操教室に参加する高齢者の方は、図書室を設置してから、新たな本との出会いを楽しみに、毎週来られるようになりました。まさか本が健康生活を後押しするとは予想していなかったので、思わぬ好循環の誕生に、この取り組みのやりがいを感じました。地域のみなさんにとってなじみ深い場所になったのではないかと実感しています。

なっちゃん…今後の目標はありますか
皆川さん…現在、移住者と地域の人たちでイベントを開催する等、拠点づくりを盛り上げています。次は「おのおの」の良さを結集して、月ヶ瀬ブランドの向上につなげたいです。

本で作る、やわらかコミュニティ みんなが1日本屋さん。

東向北商店街と花芝商店街を北に抜け、奈良女子大学の東門を目指して歩いていると、右手に初宮神社の小さな赤い鳥居が見えてきます。ここで15年前から年に8回ほど、少し変わった古本市「大門玉手箱」が開かれています。本と神社と人が織りなすゆったりとした時間を、あなたも味わってみませんか。
初宮神社…春日大社の末社。毎年、おん祭の神事のひとつ「初宮詣」が行われています。

〇インタビュー…主催者の下村さんと新井さん
2人の出会いも実は本がきっかけ。出会って話すうちに意気投合し、一緒に何かできたらいいねと話していたそう。

本で交流の場を作る

「大門」とは、近くに住む人が転害門のことを「大きな門」と呼んでいたことに始まります。今でこそ初宮神社で実施している大門玉手箱。もともとは、市民の台所を約50年支えた、転害門前の公設市場「大門市場」で始まりました。市場の店舗数が36店舗から8店舗にまで減り、客足が減る中で「空いた場所で何か楽しいことをしてもらえないか」と新井さんに話が持ちかけられたのがきっかけ。本仲間の下村さんと「古本市のようなものならできるかも」と大門玉手箱を企画し、箱主(出店者)を募集。「不要な本を売る場所ではなく、本をきっかけにコミュニケーションが生まれる、人々の交流の場にしたかった」発足当時を語る新井さんは、その時、この古本市最大の特徴である「本+手作り品」の出店ルールを決め、人との交流を促す仕掛け作りをしたと言います。

懐かしさを感じる場所

平成21年に開催された1回目は大成功。今後も続けて欲しいという声に後押しされ、2回、3回と続きましたが、翌年、大門市場は閉場。開催場所に困っていたところ、運良く現在の本拠地、初宮神社の境内を借りられることに。それから現在まで約15年続き、昨年12月には110回目を迎えました。「神社では昔から、弁天さんのお祭りや例祭が開かれます。最近は玉手箱はもちろん、5のつく日に開催する『初宮五縁市』等、新たなにぎわいも加わっています」と2人は談笑していました。
・常連さんからのひとこと…箱主の色が濃く出ていて面白い。ついふらっと立ち寄ってしまいます

ワールドワイドな交流を求めて

「世界の大門を訪ねながら人々の交流を広げていきたい」という2人の思いから、ソウル(韓国・光化門玉手箱)やパリ(フランス・凱旋門玉手箱)でも開催しました。パリでは、箱主の1人に現地の日本人コミュニティの場所を聞き、事前に現地調査に訪れる徹底ぶり。当日は久しぶりの箱主も大勢集まり大盛況だったそうです。「そこで知り合った方が後日奈良に来てくれました。こんなことができたのもさまざまなご縁があったからです」と、下村さんはうれしそうに思い出を振り返っていました。

下村さんに今後の展望を聞いてみると「のんびり低空飛行でも絶対続けていきたいと思っています。第100回の目標だったニューヨーク(アメリカ)や、アフリカの喜望峰にも行ってみたい。いろんな場所でより多くの人と出会い、縁を深めて行けたらうれしいです」と無邪気に話しました。

なっちゃん…かわいい辰!紙粘土で作ったんだって。箱主さんとお客さんの楽しい会話が聞こえてくるね
ふうちゃん…「お参りついでに遊んでいってください」これが呼びかけ文句。この縁日のような懐かしさが人を惹きつけるのかな

 

みなさんの読書習慣サポートします

幅広く本に親しんでもらうための市の取り組みを紹介します。

日々刷新される図書館

市立図書館の蔵書数は約60万冊、電子書籍は約7千冊、オーディオブックが約6千タイトルあります。電子書籍には音声読み上げ機能がついているものもあり、視覚障害のある人や、本を手に持って読むのが難しい人も利用できます。またオーディオブックは、通勤中や家事をしながら本を楽しめる等、利用の幅が広がっています。

なっちゃん…おはなし会やイベントが盛りだくさん。ぜひ足を運んでみてください。

市内を巡回「移動図書館」

ふうちゃん…昨年12月の西大寺での移動図書館を訪れました
図書館に足を運びづらい人のために、本を積んだバスが市内20か所を月1回巡回しています。令和4年度には約2万8千冊の貸出がありました。
巡回地の特徴や時期に合わせて、図書館司書が厳選した本を並べています。取材当日も約30人の利用者があり、中には10冊も借りる人がいました。子育て中の人や高齢者等、幅広い年齢層の人が移動図書館の来車を楽しみにしています。

なっちゃん…本好きのみなさんと、さまざまな交流を見てきました。あなたもぜひその輪に入って、より本を楽しんでみませんか

【問合せ】
ONOONOについて:月ヶ瀬ワーケーションルームONOONO(電話番号:0743-99-2179)
図書館について:中央図書館(電話番号:0742-26-6101)、
その他について:秘書広報課(電話番号:0742-3-4710)