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奈良しみんだより令和5年7月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

更新日:2023年7月1日更新 印刷ページ表示

守る。支える。 人の輪でつくる明るい社会

新型コロナウイルス感染症の5類引き下げに伴い、コロナ前の人のにぎわいが戻りつつあります。
人出の増加に伴い、人の多い場所で起こる街頭犯罪も増えることが予想されます。
今月号は、今一度「防犯」について振り返るとともに、7月の「社会を明るくする運動強調月間」に合わせて、再犯を防止する取り組みに着目。
コロナ後に築かれる新たな人とのつながりや、明るい社会の作り方を考えてみましょう。

【問合せ】更生支援について:福祉政策課(電話番号:0742ー34ー5196)

 

年々減少する市内の犯罪数。 今後は、その維持が課題に。

市内の刑法犯認知件数(警察で認知した犯罪の数)を見ると、10年前と比べて半数以下に減っています。令和2年からは減少率が小さくなっているものの、全体の件数としては減少傾向にあります。地域の防犯活動の強化や、防犯カメラ等の機器の整備により、一定数の犯罪が抑止されていると考えられます。
一方で、特殊詐欺(オレオレ詐欺等)の占める割合が増加傾向にあります。令和3年は一時的に減少しているものの、令和4年では過去最高の割合となりました。
行動制限の緩和や、多様化する特殊詐欺の手口に対応するため、引き続き犯罪数の減少を維持する取り組みが必要です。

<市内の刑法犯認知件数の10年間の推移>
各年1〜12月の合計数(出典:奈良県警察本部)

平成25年
刑法犯認知件数…3,444件
特殊詐欺の占める割合…0.78パーセント

平成26年
刑法犯認知件数…3,045件
特殊詐欺の占める割合…0.53パーセント

平成27年
刑法犯認知件数…2,742件
特殊詐欺の占める割合…1.02パーセント

平成28年
刑法犯認知件数…2,609件
特殊詐欺の占める割合…2.45パーセント

平成29年
刑法犯認知件数…2,547件
特殊詐欺の占める割合…2.32パーセント

平成30年
刑法犯認知件数…2,155件
特殊詐欺の占める割合…3,29パーセント

平成31年
刑法犯認知件数…1,951件
特殊詐欺の占める割合…3.18パーセント

令和2年
刑法犯認知件数…1,652件
特殊詐欺の占める割合…3.33パーセント

令和3年
刑法犯認知件数…1,561件
特殊詐欺の占める割合…2.82パーセント

令和4年
刑法犯認知件数…1,536件
特殊詐欺の占める割合…4.17パーセント

 

守る まちの安全を守り続ける、地域の"目" 
西千代ヶ丘自治会の防犯活動から

コロナ禍でも地域の安全を考え、防犯活動に尽力してきた人々がいます。
今回は地理的に犯罪が起きやすいとされる地域の中から、まちのみなさんの絆で、暮らしの安全を守ってきた西千代ヶ丘自治会役員のみなさんにお話を聞きました。

○西千代ヶ丘…市の西部に位置する昭和後期にできた約700戸の住宅街。第二阪奈道路が隣接

20年来継続して取り組むパトロール

今では高齢者が多いまちですが、かつては働きに出る人が多く、昼間は不在の家庭がたくさんありました。そういうまちにやってくるのが「空き巣」。第二阪奈道路の出口でもあることから車の往来も多く、犯行後すぐに大阪方面に逃亡されるという地理的な問題も抱えていました。
そんな折、始めたのが「防犯ひろめ隊」の活動です。約20人弱で週2回、パトロールを始めました。当初は「こんなことをやっても続かないよ」という声もありましたが、空き巣の被害を食い止めたいというまちの人々の思いから、20年以上続いています。コロナ禍でも屋外の活動であることから、このパトロールは継続。「まちが目を光らせている」というアピールにもなり、犯罪の抑止につながっていると感じます。12年前からは、犬の飼い主たちがそれぞれ巡回する「わんわんパトロール」の活動も始まり、防犯の取り組みに、地域で一層力を入れるようになりました。

わんわんパトロール:犬の散歩を通じ、近隣の見守りや、公園の危険箇所・いたずら行為の通報等を行う。専用の専用のリードひもを装着

防犯知識をアップデートすること

最近では市の補助金を活用し、まちなかに防犯カメラを設置(*)しました。週に数回、映像から通りや公園を確認することで、他府県からの不審な車や公園内の迷惑行為の発見、地域の中での情報共有ができています。人の輪に加え、機器の力を借りることも抑止につながります。今は特殊詐欺等、巧妙な犯罪も多いため、新しい情報や機器を活用するのも防犯力の強化には最適です。新型コロナ対策が少し緩和され、地域行事も始まりますが、それに合わせて住人が新たな防犯知識を得られるような講習会や、親子で参加できる体験会等も企画できればと思っています。
*まちなかへの防犯カメラ設置の 補助金は、11ページに掲載

「きれいなまち」は犯罪の抑止力に

歩くと目につくタバコの吸い殻や空き缶のごみ。このまま放置すると、まちが「だらしなく」見え、非行行為や不審者の誘引になります。まちなかの防犯旗が風化するだけでも、「目が行き届いていないまち」という見え方につながります。防犯ひろめ隊は巡回中にごみ拾いも行いますし、まちの清掃も地区内の世帯がほぼ参加する等、住民一人一人が地域活動に積極的です。このような環境を守る取り組みも、防犯の礎を築いているのだなと感じています。地区内には20ほどの各種団体が活発に活動していますが、こうした「点」でなく「面」で活動するような連携体制により、これからもまちの安全を守りたいです。

 

知っていますか?「割れ窓理論」

美化活動による犯罪の抑止。これは環境犯罪学の分野で「割れ窓理論(アメリカの犯罪学者J.ケリング)」という考え方に基づきます。割れた窓を放置すれば、管理されていない場所と見なされ、他の窓も壊されやすいというものです。この考えを使った好事例が、1994年当時、犯罪多発都市であったニューヨークです。就任直後の市長が、まちなかの落書きの除去をはじめ、軽犯罪の徹底的な取り締まりにより、「小さな犯罪を許す」というまちの悪いイメージを払拭。これにより、5年間で凶悪犯罪の数が激減しました。

 

まちで支える「更生保護」の取り組み 〜7月は社会を明るくする運動強調月間〜

防犯活動には、「守る」以外に「支える」活動もあります。再犯を防止するため、犯罪や非行から立ち直ろうとする人に向き合い、支援する人々がいます。ここでは、さまざまな立場から更生保護(社会復帰を目指す人を支援する制度)に取り組む人々にお話を聞きました。

社会を明るくする運動って?

この運動は、罪や非行の防止、立ち直りについて考えるきっかけをつくる、全国規模の啓発活動です。パネル展示や作文コンテストの開催、街頭パレード等を通じて啓発を行っています。この運動の始まりといわれているのが、約70年前、戦後の日本。荒廃した土地の復興に加え、孤立した子どもたちの支えが必要とされていました。そんな戦災孤児の将来を危惧した銀座の商店街有志による活動がきっかけとなり、その後全国的な啓発活動として広まりました。

ひまわりに込めた願い

○奈良地区更生保護女性会 会長 豊田 眞佐子さん
犯罪予防活動や青少年の健全育成のための活動を行う女性ボランティア。少年院への差し入れや、子育て支援として紙芝居の読み聞かせ等を行う。

私たちは、「母のような立場で関わる」を信条に、少年院へお菓子の差し入れ等をしています。入所者と接する中で、これまで愛情を受けることが少なく、他者との関わり方が分からない子にも出会います。親から手作りのものを与えてもらうことが少ない等という声も。そんな子たちに、まずは人の温かみを知ってほしいという思いから、お菓子は手作りにこだわっています。入所者から差し入れのお礼状が届いた時、私たちの愛が伝わっていると感じます。
運動強調月間には、立ち直りの象徴であるひまわりを、警察署や市役所前に飾っています。子どもたちが、ひまわりのように太陽に向かって育ってほしい、そんな願いを込めて。私たち以外にも、そんな「ひまわり」を見守ってくれる人が、増えてくれるとうれしいです。

就労支援

就労面での支援も実施
就労面でも社会復帰を応援したい。そんな事業主の人々向けに、「協力雇用主制度」があります。再犯者のうち、再犯時に無職であった人は約7割(令和元年)。就労支援も再犯防止に向けた大きな取り組みの1つです(協力雇用主になるには保護観察所への登録要。全国で2万人以上が登録しています)。

企業間で広がる輪
企業が「職の親」として、就労支援を行う「職親プロジェクト」が、昨年4月に奈良でも立ち上がりました。社会復帰後の離職率の高さ、という課題に立ち向かうべく、出所者と企業のマッチング等、官民連携で事業に取り組んでいます。

非行の背景から見える人の心

○奈良地区BBS会(Big Brothers and Sisters) 会長 大原 朋也さん
兄や姉の立場で保護観察中の少年等を支援するボランティア。大学生等の若者で構成され、高卒認定取得に向けた学習支援を市内で行う。

私たちの行う学習支援は、ただ勉強を教えるだけでなく、信頼関係の構築も大切にしています。非行に走る原因は学校でのトラブルや育った環境へのストレス等、さまざまなものがあります。そうした背景を知ることで、より良い関係を築き、一人一人に合った支援ができるよう心掛けています。そのような支援を行う中で、「来週までに宿題を頑張る」と言ってくれた子がその通りに取り組む姿や、自分の学力で志望校に合格できるのか真剣に考えてくれる様子等、今を変えようと努力する瞬間が見える時があります。そうした時に、
非行の背景を知ることの重要性を感じます。
コロナ禍で始めた子ども食堂のお手伝いに加え、ボーリングやバーベキューを通じての居場所作り等、私たちの活動は今後さらに活発になる予定です。いろんな企画に挑戦し、私たちも成長を感じています。年が近いからこそ、できる支援があります。ぜひ一緒に活動しませんか。

「知る」ことから始まる

○奈良県保護司会連合会 会長 宝来 一典さん
保護観察中の人の相談や指導を行う民間ボランティア。法務大臣によって委嘱。面談・指導を通じて再犯防止を図る。

私たち保護司は、月に2回程度、保護観察中の人と面談をしています。面談では、再犯をしないよう指導するとともに、自立に向けた生活上の助言等を行っています。この活動を行う中で、社会復帰の実現には、目指す人と受け入れる人、双方の理解が必要と感じています。
どんな理由であれ、犯罪を許すことはできません。しかし、その行いを反省し、社会復帰しようとする人に手を差し伸べることは、誰にでもできます。面談や指導だけでなく、「知る」こともその一歩につながります。運動強調月間に行う啓発活動を通じ、更生保護について知ってもらえたらうれしいです。
更生保護活動とは、社会復帰を目指す人はもちろん、すべての人に関係する、と言えるかもしれません。立ち直りへの理解が広がれば、それだけ救われる人も増え、少しずつ明るい社会に近づきます。まずは知るところから一緒に始めてみましょう。

他にも広がる支援の輪

その他にも、市や関係団体でさまざまな更生支援の活動を行っています。
●相談窓口ハンドブックを作成しました
新たな再出発を目指す人だけでなく、生きづらさを抱えているすべての人に向けて作成。主に県内で相談支援を行っている機関を掲載しています。

●市民の集い・夏のコンサートを3年ぶりに開催します
社会を明るくする運動の一環として、7月8日(土曜日)午後1時から、奈良ロイヤルホテルで講演とコンサートを行います。
【出演】奈良少年鑑別所所長の奥居信幸さん、若草中学校吹奏楽部