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奈良しみんだより令和3年12月号(テキスト版)2-5ページ 特集:人も猫も、ハッピーな街に。

更新日:2021年12月1日更新 印刷ページ表示

人も猫も、ハッピーな街に。

【本特集の問合せ】保健衛生課(電話番号:93ー8395:かけ間違いに注意してください)

さまざまな理由で保健所に保護される犬猫たち。特に猫は収容数が多く、犬の約6〜7倍です。市では、この猫たちの飼い主を見つける「譲渡」に力を入れています。さらに最近では、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を行うTNR活動を支援し、飼い主のいない猫を減らす事業も動き出しています。
猫を飼いたい人、支援したい人、猫はそれほど…という人も。ぜひ、この特集に目を通してみてください。

 

増える譲渡の輪とゼロになった殺処分 

地域で保護した犬や猫は、可能な限り譲渡につなげています。犬については近年地域で保護する数は少なく、ほとんどが元の飼い主に返還されたり譲渡されてます。
10年前は400頭の殺処分(攻撃性がある等、譲渡が難しいと判断し処分)を行っていましたが、令和元年・2年度は2年連続でゼロを達成。自然死や、負傷し治る見込みがない等の場合にやむを得ず安楽死する犬猫も、昨年度は最少となりました。
一方、譲渡数は昨年度173件となり過去最多。ボランティアや動物病院の獣医師のみなさんの尽力により、人と保護犬猫の幸せが紡がれています。

過去10年の保護犬猫の譲渡数/殺処分数/自然死・安楽死数

平成23年
殺処分数…400件
自然死・安楽死数…67件
保護犬猫の譲渡数…5件

平成24年度
殺処分数…280件
自然死・安楽死数…112件
保護犬猫の譲渡数…4件

平成25年度
殺処分数…218件
自然死・安楽死数…149件
保護犬猫の譲渡数…12件

平成26年度
殺処分数…169件
自然死・安楽死数…114件
保護犬猫の譲渡数…18件

平成27年度
殺処分数…43件
自然死・安楽死数…196件
保護犬猫の譲渡数…82件

平成28年
殺処分数…8件
自然死・安楽死数…116件
保護犬猫の譲渡数…56件

平成29年
殺処分数…3件
自然死・安楽死数…54件
保護犬猫の譲渡数…109件

平成30年度
殺処分数…1件
自然死・安楽死数…54件
保護犬猫の譲渡数…141件

令和元年度
殺処分数…0件
自然死・安楽死数…36件
保護犬猫の譲渡数…164件

令和2年度
殺処分数…0件
自然死・安楽死数…12件
保護犬猫の譲渡数…173件

令和元年度と令和2年度の殺処分数は2年連続で0件
令和2年度の譲渡数は過去最多
令和2年度の自然死・安楽死数は過去最少

 

保護から譲渡までの流れを解説

保護されてから新しい譲渡先が決まるまでの間、さまざまな人々の手によって大切にケアされています。ぜひ譲渡を考えてみてください。

(1)保健所で保護される
市民からの幼齢猫(生後2か月まで)の持ち込みや負傷した猫の救護等、さまざまな理由で保健所にやってきます。
・幼齢猫を引き取った場合
預かりボランティアのみなさんにお世話を依頼。3~4時間おきのミルク・離乳食の提供、排せつの補助等をしながら人に馴れさせます。
・保護猫が負傷していた場合
保健所では簡易的な治療しかできません。歩行困難・骨盤骨折等のケガや、内臓等の異常を検査する必要がある場合は、市内の獣医師(県獣医師会所属)に治療をお願いしています。現在、16の動物病院が協力してくれています。

(2)保護した猫のお世話
・きゅうじ、排せつ等のお世話
・健康管理(駆虫、ワクチンの接種、爪切り等)

(3)譲渡の第1段階
まずは保健衛生課へ相談を。希望する猫の見学ができます。譲渡の各条件をクリアし、飼うことを決めたら申請書を記入します。
譲渡には以下のような条件があります
・おおむね65歳未満(一人暮らしの人や65歳以上は誓約書要)
・頭数制限(譲渡は、既に飼養している犬猫とあわせて3頭まで)
・ペット居住可の住居に住んでいるか 等

(4)譲渡前調査
申請内容に基づき、最後まで飼えるかどうか、職員による状況確認を行います。

(5)猫が決まったら譲渡
準備が整い次第、譲渡します。譲渡前には、迷子になっても飼い主が分かるよう、市でマイクロチップの挿入を行います。
・マイクロチップの挿入
直径約2ミリ、長さ8〜12ミリの円筒形のガラスのカプセルで包まれた電子標識器具。
15桁の識別番号が記録され、獣医師が専用の器具で皮下に埋め込みます。痛みは注射と同程度であり、動物の体への負担も少ないです。不妊去勢手術譲渡時点で手術が済んでいない猫は、生後6か月を目安に手術をお願いしています。

(6)譲渡後調査
譲渡後1か月を目安に、その後の状況確認を行います。


〇インタビューあや動物病院 院長ぬかや アヤさん

保健所から、さまざまな状態で運ばれてくる猫を、譲渡後の生活も考えて、なるべく負担のないように治療・手術します。通常診療の合間に治療するため大変ですが、元気のなかった猫がかわいい声で鳴いてくれるようになると、純粋に嬉しいですね。
精密検査等の結果、残念ながら治療が難しい場合もあり、厳しい判断が求められることもあります。この場合、どうするのが正解なのか、明確なガイドラインがあるわけではありませんが、院の獣医師たちは、命に携わる者として最後まで諦めずに治療に臨んでいます。
殺処分数が減っている背景には、動物保護ボランティアグループの尽力が大きいと思います。私たちは獣医師という立場で、市の譲渡の取り組みに協力していきたいと思います。

 

 

減らそう、飼い主のいない猫。個人でもできるTNR活動とは?

近年、保護猫の数を減らす方法として「TNR活動」が重要視されています。これは、飼い主のいない猫に不妊去勢手術を行い、これ以上猫が増えないようにする取り組みです。市では、この取り組みを支援しています。

TNRの流れを解説

(1)捕獲する トラップのT
猫が怪我をしないように捕獲機を設置し、捕まえます。病院に運びます。

(2)不妊去勢手術をする ニューターのN
動物病院で不妊去勢手術を行い、耳先をカット。全身麻酔での手術で、猫は痛みを感じません。

(3)元の場所に戻す リターンのR
捕獲した場所に戻し、一代限りの命を全うします。

※よく耳にする「地域猫」とは、ある地域(自治会等)内で、ルールに基づいて管理される「飼い主のいない猫」のことを言います。TNRを実施し、地域ぐるみで餌やり・掃除等を行うため、地域住民の認知と合意が必要です。


〇インタビュー TNR活動サポーターが語る。TNRの効果とその未来

TNR活動は個人でもできますが、捕まえられない、病院に連れて行けない等の悩みも聞かれます。市では、この活動をサポートする支援ボランティアを認定し、協力体制を整えています。
今回、活動サポーターのひとつ「なら地域ねこの会」に話を聞きました。

なら地域ねこの会
嶋田さん・太田さん・八木さん
奈良県下で4人で活動中。市保健所から「TNR活動サポーター」の認定を受けている。猫の保護や里親を探す譲渡活動にも力を入れており、毎月第3日曜日に譲渡会も開催中。

●寄せられる相談に耳を傾け、サポートする
私たちのメインの活動はTNRをしたい人のサポートです。相談者は普段から猫に餌をやっている人、猫に迷惑している人等さまざまです。その方と打ち合わせ等をして、不妊去勢手術を行い、元に戻すまでを手助けします。「TNRは難しそう…」と思われがちですが、実は誰でもできる取り組みです。慣れてくると、私たちが貸し出した捕獲器を使って、自分自身で捕まえる人もいらっしゃいますね。

●TNRを行うことで、「地域猫」への理解が進む
以前、猫を地域で管理することに反発がある地域でTNRを行ったことがあります。結果、子猫が減る・尿の臭いが薄くなる・メスを巡るけんかが減る・鳴き声が減る等の効果がありました。それを見た地域の人たちが、猫を管理することの重要性に気づき、徐々に地域猫を受け入れていった事例もありましたね。猫好きな人、嫌いな人等、地域にはさまざまな人が住んでいますが、結果としてみなさんのためになるのがTNRの取り組みだと思います。

●理想のカタチ「地域猫」は、まだこれから
とは言え、地域ぐるみで管理する「地域猫」まで認めている自治会はまだ少なく、ハードルが高いのが現状です。まずはTNRを先行し、効果を実感してもらうことで、住民のみなさんの理解を深めていくことが大事だと考えています。良い傾向として、ここ数年、飼い主のいない猫に対する、みなさんの意識が前向きに変わってきたように感じます。特に奈良市でその変化を実感できるようになりました。

●飼い主のいない不幸な猫を減らしたい
私たちは一生懸命サポートを行っていますが、それはあくまでもボランティアとしての関わりです。猫の問題は、やはり地域が主体となって取り組む必要があります。地域+行政+ボランティアが協働することで、飼い主のいない猫を少しでも減らすことができれば、と願っています。

 

ここが知りたい。TNRのギモンに答えます

質問…猫の繁殖力ってどのくらい?
解答…猫は繁殖力が強い動物です。メスは生後6か月から出産ができます。一度に3~6頭の子猫を産み、一年で最大3回出産が可能です。一年間で1頭から約20頭に増える可能性があるのです。
飼い主のいない猫の寿命は3~5年と言われています。不妊去勢手術によって一代限りの命を全うすることになるため、長期的に見ると飼い主のいない猫が年々減ることにつながります。

質問…手術の負担を減らす方法は?
解答…「奈良市飼い主のいない猫不妊去勢手術補助金」
「公益財団法人どうぶつ基金のさくらねこ無料不妊手術事業(行政枠・一般枠)」を利用する方法も。
予算上限や頭数制限、動物病院の指定等あり。補助金・行政枠は必ず事前に保健衛生課に相談を。
どうぶつ基金についてホームページへ︎https://tnr.doubutukikin.or.jp/<外部リンク>

質問…一人でも始められる?
解答…エサやりを行う人が個人で捕獲し、動物病院に運んで手術を終えたケースも多数あります。猫がつかまえられない等の時は、保健衛生課まで相談してください。

質問…どうして元の場所に戻すの?
解答…猫は「なわばり意識」の強い動物です。手術をしても、自分のなわばりを守る習性は残るため、元の場所に戻すことで、新たな猫の流入を防ぐとも言われています。なお、猫は愛護動物にあたり、他の場所に遺棄することは犯罪になります。

質問…猫とどう接したらいいの?
解答…まずは地域でのルールをきちんと守りましょう。以下のマナーを守ることで、猫の保護や近隣への配慮に大きくつながります。
・エサを置きっぱなしにしない(食べたら撤去する)ことで他の猫が集まることを防ぎます
・トイレの設置等、近隣へのふん尿被害を配慮しましょう
・さくら耳でない猫を見かけたら、不妊去勢手術を検討しましょう

市では、TNR活動サポーターの他、預かりボランティア等を募集しています。くわしくは保健衛生課へ

 

保護猫の飼い主さんを募集しています

●猫を飼いたい、飼うのを迷っている人に
市ホームページで譲渡の準備ができた猫を紹介しています。まずはこちらをきっかけに、保健衛生課へ電話・来所を。
・電話は、平日の午前8時半から午後5時15分まで
・収容状況は日によって変わるため、来所時に希望する動物が譲渡済の場合あり

●「週末譲渡相談会」も開催
平日は仕事がある、週末しか家族の予定が合わない…という人向け。週末に譲渡候補猫の見学・相談ができます。
【とき】12月11日(土曜日) 午前10時~午後3時半 
【ところ】はぐくみセンター(三条本町)
【定員】18組(完全予約制・定員に達し次第終了) 
【申込】電話で保健衛生課へ
※当日会場では譲渡を行いません。譲渡前の調査等を経て、改めて平日に譲渡します

 

届けよう!個人でできる支援のキモチ

●犬猫は飼えない…でも支援をしたい!という人に
本市のふるさと納税で「犬猫殺処分ゼロプロジェクト」が応援できます(使い道を指定して寄附ができます)。

寄附金の使い道
・TNR活動や譲渡、預かりボランティアの支援
・飼い主のいない猫の不妊去勢手術の費用
・負傷した動物の医療費 等