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昨今、全国的に児童虐待件数が急増し、奈良市でも同様の傾向が見られます。
また、子ども発達センター療育相談や地域子育て支援センターの利用者数も増加しています。
市ではこのような状況に一体的に対応できる「子どもセンター(仮称)」を設置し、効果的な相談・支援を行っていきます。
児童相談所は、全国の都道府県と政令指定都市に設置が義務付けられていますが、平成28年の法改正により、国は中核市や特別区への設置を推進しています。
54ある中核市のうち、横須賀市・金沢市・明石市の3市に続き、奈良市が設置を進めている状況で、中核市の中では児童虐待への対応に先んじている状況です。(特別区も令和2年度以降に順次開設予定)
児童相談所の他にも、親子が遊べる広場、屋内の遊戯室、子どもの発達相談等、子育てを行う人が気軽に訪れられる総合的な子育て支援施設にする予定です。
地域社会で子どもや家庭を支える環境づくりは全国的に進んでおり、奈良市も子ども家庭支援体制をさらに充実させていきます。
建設予定地は県総合医療センター跡地(平松町)としています。
平成27年1月に「奈良県と奈良市とのまちづくりに関する包括協定」を締結し、協力してまちづくりをしています。
平成29年度には児童相談所設置のための準備室を設置、平成30年度からは県の児童相談所に職員を派遣し、人材育成にあたっています。
県から「市民により近い距離にいる奈良市がまちづくりを進めてほしい」と申し出があったことから、平成30年10月に「子どもセンター」の提案となりました。
民生児童委員のみなさんや、子どもにかかわる団体のみなさん、地元のみなさん等、多くの人々から応援の声や要望をいただいています。奈良市のすべての子どもが健やかに育つよう、みんなで知恵を出し合い、よりよいものにしていきます。
今年度は引続き県との協議を行い、施設の基本設計・実施設計を進めています。同時に施設に従事する職員の人材育成や、庁内組織体制の構築・連携を図ります。
奈良市へのふるさと納税(奈良市心のふるさと応援寄附)を行うことで、子どもセンターの整備を応援することができます。寄附金は設備の充実や、児童福祉司・児童心理司等の専門スタッフの配置に使用し、子どもたちへのきめ細やかな対応をしていきます。みなさんの温かいご支援・ご協力をお願いします。
つどい、にぎわい、響きあい、子どもの未来をつなぐ
親子が集まって遊んだり交流することにより、保護者同士でつながりを持ち、子育ての不安や悩みを相談できる場にします。
保護者の子育てに対する負担感や孤立感の軽減を図るため、スタッフによる子育て相談を行います。
地域における子育て関連情報を提供することによって、さまざまな子育て支援サービスの利用を促進し、保護者の子育てにおける負担軽減を図ります。
言語・情緒・行動に発達の課題を抱える子どもの「得意なこと」「苦手なこと」を理解し、成長発達に合った関わり方を保護者と一緒に考えます。
また、こども園等を巡回し、その発達段階に応じた適切な支援が受けられるよう、専門性の高い助言・指導を行うとともに、関係機関と連携・協力し、幼児期を通して一貫して支援する環境を整えます。
親子のふれあい遊びや発達の土台を育む遊びの体験、参加者同士の交流を通して、子どもの成長発達について理解を深めます。
屋外の子ども広場や、おやこ広場に遊具を設置し、休日も家族で楽しめる遊び場を整備します。
児童虐待等の養護相談や非行相談、不登校等の相談について、児童福祉司・児童心理司・保健師等の資格を有する職員を配置し、専門的な診断をもとに相談に応じます。さらに、療育手帳の判定業務も行います。
児童虐待から子どもの生命を守るとともに、さまざまな理由で親と暮らせなくなった子どもたちの安全を一時的に確保します。
保護者がいない等の理由で、家庭での生活ができない子どもを、児童福祉施設・指定医療機関等に入所させたり、里親に委託する等により、社会全体で子どもたちを育み、自立を支援します。
子どもの権利を擁護するために、すべての子どもとその家庭・妊産婦等を対象に、最も身近な相談機関として、子どもの成長と共におこる、さまざまな悩みや疑問に対して適切な情報提供等を行います。また、直接的な支援が必要な家庭に、保育士等の資格を持つ訪問員が家庭訪問し相談対応する「養育支援訪問事業」を提供します。
さらに、専門性の高い相談にも対応できるよう、社会福祉士、心理士、保健師、保育教育士等の専門職を配置し、児童相談所をはじめとする関係機関と連携しながら、子ども家庭を支援します。
生後4か月未満の赤ちゃんのいるすべての家庭に家庭訪問(体重・子育て情報の案内等)を行います。
経済的な理由で入院出産の費用負担ができない場合や、短期間子どもを預けたい場合に相談できます。
主に幼児期から学童期の子どもを対象に、子どもたちの心をわくわくさせ、体を思い切り動かして遊ぶことができる全天候型の遊び場を設置します。
1963年生まれ。奈良市出身。高校までを奈良市で過ごす。86年モデルデビュー。88年から俳優として活躍し、数々の映画・ドラマで出演。最近ではNHK連続テレビ小説「まんぷく」への出演や、なら国際映画祭の映画製作プロジェクト「NARAtive」から生まれた映画「二階堂家物語」で主演を務める。
今年2月に、奈良市観光特別大使に就任した奈良市出身の俳優・加藤雅也さん。
俳優として活躍する中、小学生のお子さんをもつ父親として育児にも積極的に取り組んでいます。そんな加藤さんに、最近の子どもを取り巻く環境に対する思いや、市の子どもセンターへの期待についてお話を聞きました。
加藤 「本当に心が痛みます。僕が知らなかっただけで昔もあったのでしょうけれども、少なくとも僕らの頃は近所の人が止めに入るような、いい意味での地域のつながりがありました。今は核家族化が進み、いろいろと見えにくくなっていること、地域のつながりが希薄化していることが原因の1つのように感じます。そこをうまくフォローしていけるかが、行政や地域の役割だと思います。
加藤 「僕は仕事が忙しい時期でも極力子どもとふれあう時間をつくり、積極的に育児をしています。子どもが小さい時から信頼関係を築いておくことが大事だと考えているからです。そうでないといざ叱ったときにも響かないと思っています。今は学校の先生の指導も僕らが子どもだった頃のようにはいかない時代です。そんな中で親が叱る、教育をするというのも大事だと思っています。」
加藤 「児童相談所と一緒に子ども広場やキッズスペース等が併設される設計がいいですね。児童相談所単体だと、いざというときに相談がしにくいと思いますが、こうやっていろいろな機能があって普段から訪れていると、距離がぐっと近くなって相談しやすいと思います。
それと、全天候型の施設がいいですね。僕も子どもを遊びに連れていく際、雨だったり、暑すぎる日に困るので、屋内の遊び場があるのはいいと思います。
加藤 「奈良市観光特別大使として、市の魅力PRの観点で言うと、子どもに楽しい経験をしてもらうのが市の今後の発展を考える上で大事だと思っています。現在の子どもたちが大きくなって、子育てをすることになったときに「自分が育った奈良で子育てがしたい」と思えるようなまちであって欲しい。そういった長い視点で子どもセンターを作っていってほしいと思います。
そして、なによりも子どもの安心・安全を第一に、来る人を「家族」という単位で考えて、両親も安らげる空間にしてほしいと思います。
また、奈良市には映画館がありませんが、だからこそ子どもセンターには文化にも触れられる機能があればいいと思います。映画以外にも能や浄瑠璃等を観られるイベントが開催できると最高だと思います。」
加藤 「僕も奈良市で生まれ育ったので、常日頃から奈良がよくなることを願い、できるだけ奈良市でも活動の場を設けています。奈良は子育てがしやすい環境だと思いますので、そういった取り組みをどんどん進めていって欲しいと思います。」
本特集に関する問合せや、現在子育てに関してお悩みの方は、子育て相談課(電話番号:0742-34-5597)へ