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おかげまいり-伊勢参宮と奈良町-

更新日:2021年1月8日更新 印刷ページ表示

 江戸時代には、約60年周期で数百万の民衆が短期間に集団で伊勢神宮へ参宮する「おかげまいり」とよばれる現象が起こりました。奈良町は伊勢神宮へ向かう街道(上街道)筋にあたることから、かつてないほど大勢の参宮者が押し寄せました。参宮者の中には抜参(ぬけまいり)といって、親や主人の許可を得ないまま、旅行手形も持たず着の身着のまま家を出て伊勢神宮をめざした人々もありました。道中の町々では、「施行(せぎょう)」とよばれる参宮者への食事や宿泊の世話を行いました。
 今回の展示では、江戸時代後期の奈良町にとって大きな出来事であった文政13年(1830)のおかげまいりについて、上街道筋にあたる元興寺町や井上町、奈良奉行所に近い東向北町の町の記録などから「施行(せぎょう)」を中心に紹介します。また、地元奈良の町や周辺地域で古くから続く伊勢神宮に対する篤い信仰を示す史料として、平成30年に寄贈を受けた大安寺町の伊勢講関係資料を初公開して、紹介します。 

 

【 期間 】 令和3年1月13日(水曜日)~3月31日(水曜日)
[休館] 月曜日、2月12日(金曜日)・24日(水曜日)(祝日は開館)
【 時間 】 午前9時~午後5時 (入館は午後4時30分まで)
【 入館料 】 無料
【 主な展示品 】 ・大和巡りひとり案内図 寛政8年(1796)
・文政十三庚寅四月 元興寺町内天照皇太神宮おかげ施行集 
   文政13年(1830)
・井上町町中年代記 五番 井上町自治会蔵 市指定文化財
・萬大帳 七番 東向北町自治会蔵 市指定文化財
・文政十四年奈良暦 文政13年(1830)刷
・文久二年伊勢暦 文久元年(1861)刷 個人蔵
・大安寺町伊勢講関係資料 江戸~現代
【 展示解説 】 館員の展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。申込は不要です。
2月16日(火曜日) 午後1時半~
3月21日(日曜日) 午後1時半~  約30分の予定です。
【 展示関連イベント】
奈良町にぎわいの家出張展示
「タイムトラベル奈良町~おかげまいり-伊勢参宮と奈良町-~」

 企画展示「おかげまいり-伊勢参宮と奈良町-」展にあわせて、奈良町にぎわいの家で、展示に関連した史料の一部を出張展示し、史料保存館の館員が史料の解説を行います。

日時:3月6日(土曜日) 午後2時~4時
解説:午後2時から約30分
会場:奈良町にぎわいの家(奈良市中新屋町5)
費用:無料

※当日会場でのマスク着用、検温、連絡先提供にご協力ください。

※新型コロナウイルス感染症流行状況により、館員による実物史料の展示解説は中止し、パネル展示に変更になる場合がございます。何卒ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。          

【 後援】 歴史街道 〈歴史街道HP<外部リンク>はこちら〉

 

                                                           

 
地図

大和巡りひとり案内図
京都書林 菊屋喜兵衛
寛政8年(1796)

 京都書林の菊屋喜兵衛が寛政8年(1796)に作成した、奈良の案内図(版図)です。表面は、京都から大和、伊勢などを巡る道程や名所などの案内記、裏面は京都・大阪・伊勢・和歌山を含む道路図で、表と裏は対照して利用できるようになっています。
 名所旧跡は薄茶色、道は黄色の色刷りになっており、この絵図から奈良町から伊勢山田町(外宮・内宮)までの行程をたどることができます。

 

 

表紙 内容1
内容2
文政十三庚寅四月 元興寺町内 天照皇太神宮おかげ施行集
文政13年(1830)

 文政のおかげまいりの時に元興寺町内で行った施行についての記録です。
 元興寺町内の41人の商人のそれぞれの名前と施行した品物などが書き連ねてあり、その総計は米一石二斗三升五合、銀札九匁五分、銭八百文、香のもの二百五本、割木一駄三束、塩一俵、菜半斤、酒一升、ごま一升に達しています。それらを元にして文政13年4月12日に元興寺町にたどり着いた参宮者に対して、一人当たり握り飯1個、香のもの一切れずつを施行したことが記されています。

 

 

暦
文政十四年 奈良暦
南都陰陽師 山村左門
 奈良暦は、江戸時代に陰陽町在住の陰陽師によってつくられ、顧客にあいさつ回りの土産として配ったり、販売も行われ、奈良町の名産品のひとつにあげられていました。表紙に、文政13年のおかげまいりのことが注記してあります。暦の持ち主がわざわざ書き残すほど、おかげまいりは、奈良町の人々にとって大きな出来事だったようです。

 

 

施行所

御蔭参宮文政神異記 御蔭参施行
箕輪在六
天保3年(1832)
三重県総合博物館所蔵・写真提供

 大勢の人が伊勢神宮へ押し寄せた文政のおかげまいりの様子について、伊勢の人である箕輪在六が自らの見聞や、知人、自宅に宿泊した人などからの聞き取りをもとに、天保3年(1832)に出版した木版刷りの冊子です。

 

 

大安寺町伊勢講
大安寺町伊勢講関係資料
江戸~現代
 大安寺町地区では、伊勢講が営まれていました。江戸時代の天保年間から平成の時代に至る伊勢講の史料が残されています。講の諸経費、開催日、掛金集金などを記録した史料が木箱に収められていました。天保15年(1844)に講中から十輪院町石屋市五郎に太神宮石燈籠を発注して、現在の大安寺町内に建立し、明かりを灯していました。

 

※写真の無断転載禁止