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絹本著色元照律師像

更新日:2021年1月27日更新 印刷ページ表示

 元照律師(がんじょうりっし)(大智律師、1048-1116)は、中国・北宋時代に南山律学(なんざんりつがく)を復興した僧です。わが国に残る元照の画像には、京都・泉涌寺本(重要文化財)などのように椅子に坐るものと、本図のように岩に腰掛け錫杖(しゃくじょう)と鉢を持つものがあります。本図の類例としては、戒壇院伝来の室町時代の東大寺本と、江戸時代の唐招提寺本があり、ほかに錫杖と鉢を持って立つ宋時代の画像が米国・クリーブランド美術館に所蔵されています。これらの図様は、元照が托鉢行(たくはつぎょう)にいそしんだという伝えに基づき、持戒者としての姿を表したものとみられます。
 13世紀には、建暦元年(1211)に俊芿(しゅんじょう)(1166-1227)が元照の律書とともに泉涌寺本を請来したほか、叡尊の弟子である定舜(じょうしゅん)が宝治2年(1248)に律三大部(りつさんだいぶ)を請来するなど、律学の文物が宋からもたらされています。そうした中で、錫杖と鉢を持つ図様がわが国に伝わり、本図などに受け継がれたと考えられます。
 本図は、頭部の輪郭に沿って上部が補絹に替わり、錫杖頭が補筆になるほかは、原容をよくとどめています。描写は丁寧であり、宋画の精緻で写実的な表現に倣いつつ、相貌を穏和に表し、衣と岩にも淡く柔らかな暈(ぼか)しを施して、穏やかな画趣を示しています。こうした特色から鎌倉時代後期の作と考えられ、宋代祖師像の受容と伝承を考える上で重要な遺品です。

絹本著色元照律師像

 
件名 絹本著色元照律師像
かな けんぽんちゃくしょくがんじょうりっしぞう
数量 1幅
指定(分類) 奈良市指定文化財(絵画)
指定日 平成27年3月19日
所在地・所有者 奈良市西大寺芝町一丁目1-5 西大寺
小学校区 伏見
寄託 奈良国立博物館
形状等 掛幅装 縦139.4cm 横54.6cm
裱背軸付墨書「文安四年丁卯七月日 奉修覆之 綱維秀如」(軸巻部補修紙に一部覆い隠されている)
巻止墨書「大智律師 西大寺常住」
備考 鎌倉時代

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