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奈良の墨作りは、室町時代に興福寺で作られたことに始まるといわれ、今日でも奈良の伝統産業、工芸品として知られています。特に江戸時代には毎年幕府へも献上され、奈良は全国に知られた有数の墨の生産地でした。
明治維新の後、日本が近代国家へと脱皮を図る中で、中世以来の伝統を誇る奈良の製墨業も品質向上や販売先の開拓などに努め、新たな時代に適応した産業の姿を模索します。
今回の展示では、奈良市内の老舗製墨店を営んでいた旧家に伝えられた古文書などによって、近代における奈良の製墨の動向の一端を紹介します。「明治150年」の今年、今日でも奈良を代表する伝統産業、伝統工芸品である「奈良墨」のあまり知られていない明治以降の歩みを知っていただきたいと思います。
期間 | 平成30年10月10日(水曜日)~平成31年1月6日(日曜日) [休館]月曜日、12月25日(火曜日)(祝日は開館)、年末年始(12月29日~1月3日) |
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時間 | 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
入館料 | 無料 |
主な展示品 |
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展示解説 | 館員の展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。申込は不要です。 11月10日(土曜日)午後1時半~ 12月18日(火曜日)午後1時半~約30分の予定です。 |
展示関連イベント | 奈良町にぎわいの家出張展示 「タイムトラベル奈良町 奈良の墨-伝統産業の近代-」 (申込不要) 企画展示「奈良の墨-伝統産業の近代-」展にあわせて、奈良町にぎわいの家で、展示に関連した史料の一部を出張展示し、史料保存館の館員が史料の解説を行います。 日時:12月8日(土曜日)午後2時~4時 解説:午後2時から約30分 会場:奈良町にぎわいの家(奈良市中新屋町5) 費用:無料 |
後援 | 〈歴史街道HPはこちら<外部リンク>〉 |
墨職規定書之事
嘉永6年(1853)
天保の改革で株仲間・問屋・組合の禁止令が出されてから、墨職人、奉公人ともに決まりごとを守らず、自宅で墨細工や墨作りをするものが出てきたので、改めて墨職の規定を決めたものです。当時の奈良の墨屋35人の署名・捺印のある貴重な史料です。
日英博覧会賞状
明治43年(1910)
明治43年(1910)、イギリスで開かれた博覧会に墨を出品した際の賞状です。国内外で奈良墨の周知、販路の拡大に努めていた時期の史料です。
大日本製墨株式会社 株主総会議事録綴
大正10年(1921)
大正9年(1920)に、老舗製墨店7社により設立された大日本製墨株式会社は、個々に営んできた墨作りを互いが協力することで、地域産業としての生き残りと発展を図るためにつくられました。この史料は、大正10年(1921)3月以後の株主総会議事録綴の書類です。
大日本製墨株式会社についての関係史料は、今回が初めての展示となります。
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