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平成27年度に市民の方々から新たに寄贈を受けた史料を紹介します。近世から近代にかけての十輪院町(じゅうりんいんちょう)の町記録や町絵図など、明治初めの鳴川町(なるかわちょう)の町絵図及び町記録、昭和10年頃に描かれた奈良名所風物画で、これらは奈良の歴史を物語る貴重な史料です。
史料保存館3月の展示は、これらの新たな寄贈史料の中で代表的なものを展示し、近世から近代にかけての奈良町の歴史を紹介します。
『寛文十年 間数并商売改之帳』 十輪院町旧蔵文書
(かんぶんじゅうねん けんすうならびにしょうばいあらためのちょう)(奈良市蔵)
寛文10年(1670)
約350年前、江戸時代初め頃の十輪院町(じゅうりんいんちょう)の町並みや各家の間口の大きさとその住人の名前と仕事が記されています。奈良奉行所によって行われた奈良町の家職調べの控えと考えられる貴重な史料です。
「鳴川町町絵図」 (なるかわちょうまちえず)
(奈良市蔵
明治2年(1869)
明治維新直後に描かれた鳴川町の町絵図です。江戸時代に奈良町の町境に設けられていた木戸(きど 江戸時代、夜間は人の出入りを防ぐため閉められていた。)が記されているなど、幕末から明治にかけての鳴川町の様子がわかる貴重な史料です。
「奈良名所風物画」 (ならめいしょふうぶつが)
(奈良市蔵)
昭和10年(1935)頃
昭和10年頃の奈良の名所や風物を描いた彩色画で、当時の三条通りのにぎわう様子を描いたものです。猿沢池近くにあった江戸時代から旅籠(はたご)として有名な「いんばん屋」の店構えや通りを行き交う人々の様子が生き生きと描かれています。
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