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今年は、徳川幕府から朝廷へ政権が返上された慶応3年(1867)の「大政奉還」から150年目にあたります。幕末から維新にかけての出来事は、教科書や小説、テレビドラマなどでも盛んに取り上げられますが、そうした全国的に知られた事柄のほかに、当時の奈良町では、どのような事件や出来事がおこり、幕末から明治へと時代が移る中で、人々はどのように暮らしていたのでしょうか。
今回の展示では、前期で天保のききん・奈良奉行所の学問所「明教館」・元興寺五重塔焼失、後期で嘉永7年(1854)の大地震・黒船来航や異国人の奈良通行など奈良で書きとめられた幕末の風聞・ええじゃないかの騒動を取り上げます。幕末の約40年間に起きた出来事を、町の人々によって書き継がれた町記録と、当館が収集した関係資料によってご紹介したいと思います。
期間 | 平成29年11月14日(火曜日)~平成30年1月28日(日曜日) 【前期】11月14日(火曜日)~12月17日(日曜日) 【後期】12月19日(火曜日)~平成30年1月28日(日曜日) [休館] 月曜日、11月24日(金曜日) 年末年始(12月29日(金曜日)~平成30年1月3日(水曜日)) 1月9日(火曜日)(祝日は開館) |
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時間 | 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
入館料 | 無料 |
主な展示品 | 【前期】
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展示解説 | 館員の展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。申込は不要です。 11月25日(土曜日)午後1時半~ 平成30年1月13日(土曜日)午後1時半~ 約30分の予定です。 |
展示関連イベント | 奈良町歴史ミニ講座 古文書・古絵図に親しもう 「和州奈良之図-170年前の奈良町」(申込不要) 企画展示「幕末の奈良町」展にあわせて、幕末の奈良町を描いた絵図を見ながら、企画展で展示した出来事などを紹介します。 日時:12月2日(土曜日)午後1時30分~2時 会場:史料保存館展示室 費用:無料 |
奈良町にぎわいの家出張展示 企画展示「幕末の奈良町」展にあわせて、奈良町にぎわいの家で、展示に関連した史料の一部を出張展示し、史料保存館の館員が史料の解説を行います。 日時:12月23日(祝日・土曜日)午後1時~4時 解説:午後2時から約30分 会場:奈良町にぎわいの家(奈良市中新屋町5) 費用:無料 |
中院町永代帳(前期展示)
中院町自治会 寄託史料
中院町の町記録です。天保のききんの時、大阪では餓死者が多い時には1日170人にも上ったといわれ、しかも町奉行所は適切な手段を取らず、商人は米の買占めを行いました。それに憤慨した大坂町奉行所元与力、大塩平八郎が天保8年(1837)、兵を挙げます。しかし反乱は1日で鎮圧されました。奈良の町記録にも、大塩平八郎ほか関係者の手配の触書(ふれがき)や人相書きなどが記録されています。
元興寺五重塔露盤残欠
(前期展示)安政6年(1859)に焼失した芝新屋町の元興寺五重塔の露盤の残欠と伝わるものです。露盤は、塔の上層部、相輪の一番下の方形の部分です。
嘉永七年六月大地震瓦版(後期展示)
嘉永7年(1854)個人蔵 寄託史料
嘉永7年(1854)6月15日未明に発生した大地震を伝える瓦版です。南都をはじめ、伊賀上野、亀山、三河岡崎、勢州(伊勢)四日市、和州(大和)古市などの被害状況を伝えており、水害や火事の被災図も描かれています。
諸事記録控書(後期展示)
内侍原町自治会
寄託史料内侍原町の町記録です。文久元年(1861)5月11日、イギリスの駐日公使オールコック、オランダ総領事デ・ウイットらの一行が奈良を通行するにあたっての触状です。通り、二階や店先などで見物しないこと、朝廷や幕府の内情、軍事機密に関わるものを外国人に売ったり、店先に出したりすることを禁じています。
繁栄記録帳(後期展示)
安政6年(1859)
製墨業者が一年の決算額などを記録した帳面です。その中に印象に残ったできごとなどを書きとめています。
大政奉還直前の慶応3年(1867)、伊勢神宮のお札が降ったといううわさをきっかけに「ええじゃないか」と呼ばれる騒動が各地でおこります。これは、人々が群衆となって「ええじゃないか」と囃しながらあちこちで踊りまわったもので、世直しを熱望する民衆運動といわれています。奈良町でも慶応3年の9月~10月のはじめにかけてお札が降ったと記録があり、『繁栄記録帳』には10月1日に奈良坂に初めてお札が降ったと書かれています。
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