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春日若宮おん祭は、保延2年(1136)に天下泰平(てんかたいへい)、五穀豊穣(ごこくほうじょう)などを願い、関白藤原忠通(ふじわらのただみち)が始めたと伝えられる春日大社の摂社、若宮社の祭礼です。江戸時代のおん祭りは、幕府から支給される祭礼の費用のほか、奈良町の人々にも祭礼に必要な材料や費用が割り当てられ、おん祭を支えていました。
史料保存館12月のならまち歳時記は、奈良の一年の最後を締めくくる春日若宮おん祭にちなみ、町の記録や、奈良町の町代が残した大宿所の仕事の運営マニュアルなどをとおして、江戸時代の奈良町とおん祭のかかわりについて紹介します。
春日大宮若宮御祭礼図 全
江戸時代後半(展示は大正13年(1924)版)
おん祭りの行事や祭礼の様子を詳しく絵入りで解説した本です。写真は、御旅所祭の様子を描いた部分です。
春日社若宮祭図解 下巻 (個人蔵)
明治3年(1870)
おん祭の祭式次第や使われる装束、道具類を図入りで詳しく解説した冊子です。明治になり、春日社がおん祭の継続を明治政府に嘆願するために作成した報告書で、おん祭の起源、祭具の現状などをまとめています。
下巻は大宿所の調度、飾りなどについて詳しい絵図を掲載しています。
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