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暦、いわゆるカレンダーは、現在の私たちの生活には欠かせないものです。毎年、年末が近づくと来年のカレンダーや手帳を準備する人も多いことでしょう。
日本で古くから使われてきた暦は、中央の役所が発行し、漢字で手書きされた具注暦(ぐちゅうれき)と呼ばれるもので、貴族や寺社が吉凶を判断するために使っていました。庶民の生活にも暦が必要になってくると、地方でも中央の許可を得て暦が発行されるようになりました。奈良暦は、そのような地方暦のひとつで、木版刷りの仮名書きの暦でした。大量生産され、安く売られていたことが、室町時代(16世紀)の記録に書かれています。
江戸時代の奈良暦は、晒、刀剣、うちわなどとともに奈良の名産品のひとつに数えられています。奈良暦を発行、販売、配布していたのが「陰陽師(おんみょうじ)」で、奈良町の陰陽町(いんようちょう)はそうした陰陽師が住んでいたことからついた町名です。今回の展示では、陰陽町に残されていた暦の版木や江戸時代の暦、近代の暦などを展示し、奈良暦の歴史について紹介します。
【期間】 | 平成28年12月20日(火曜日)~平成29年2月5日(日曜日) [休館]月曜日、年末年始〈12月29日(木曜日)~1月3日(火曜日)〉、1月10日(火曜日) (祝日〈12月23日(金曜日)・1月9日(月曜日)〉は開館) |
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【時間】 | 午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
【入館料】 | 無料 |
【主な展示品】 |
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【展示解説】 | 館員の展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。申込は不要です。 平成29年1月15日(日曜日)午後1時半~ 平成29年1月29日(日曜日)午後1時半~約30分の予定です。 |
【展示関連イベント】 | 奈良町にぎわいの家出張展示 「タイムトラベル奈良町~奈良暦~」 ならまち歳時記「奈良暦‐新年の始まり‐」展にあわせて、奈良町にぎわいの家で奈良暦の出張展示と、史料保存館の館員の史料説明を行います。詳しい内容のページへのリンクはここをクリックしてください。 |
ガイド付きツアー「もっと知りたい“奈良暦と陰陽師”」 奈良暦や陰陽師ゆかりの場所を見学するガイド付きツアーをNPO法人なら・観光ボランティアガイドの会と共催します。日時:平成29年2月5日(日曜日)午前9時半~正午(受付は午前9時~) |
江戸時代の奈良暦 文政四年(1821)表紙と正月の部分
江戸時代の奈良暦で、木版刷りの印刷物です。表紙にはその暦の年と干支、「南都陰陽師」、「山村左門」と暦を作成、販売、配布した陰陽師の名前が書かれています。内容は日付のほかに、季節の区分である二十四節気、その年の方位の吉凶、日々の行いに関する注意などが細かい漢字かな混じりの文字で記されています。
江戸時代の奈良暦 柱暦の版木と拓本
文化8年(1811)個人蔵
柱暦は、暦の要点をまとめて一枚刷りにした縦長の暦です。旧暦では一ヶ月の日数が29日の月と30日の月があり、29日の月を小月(しょうのつき)、30日の月を大月(だいのつき)とよんでいました。柱暦では大月と小月を左右に分けて配置し、ひと目でわかるようにしていました。
暦入り引き札
大正6年(1917)
引き札(広告チラシ)の中に、夏至・冬至・彼岸などの日にち、大小の月、毎月の日曜日など、暦の要点をまとめた近代の略暦を印刷しています。
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