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史料保存館企画展示 「日新記聞」が伝える明治の奈良町

更新日:2023年9月26日更新 印刷ページ表示

 「日新記聞」は明治5年(1872)5月から明治6年(1873)11月まで発行された小冊子で、奈良県初の新聞といわれています。縦22センチ、横15センチの木版刷りで月3回発行、各号とも概ね16頁、付録のある号もありました。発行は金沢昇平と高橋平蔵が設立した「日新報社」で、後に「日新社」と社名を改めています。当時は明治政府が富国強兵を目指して、国の近代化を進めていた時期で、いわゆる文明開化のため開化政策を推進していました。
 「日新記聞」はそうしたなかで、明治政府の開化政策を奨励し、県民に向けた文明開化の情報発信を目的として刊行されました。政府や奈良県の布告・布達類を掲載し、県の官報としての役割をにないつつ、国内外の珍しい出来事などを紹介しています。また読者の投書なども掲載され、明治初めの奈良の様子を知ることができる格好の史料といえます。 
 今回の展示では、奈良町の記事を中心に、記事に関連した史料や明治時代の絵地図などもあわせて紹介します。

期間 令和5年10月24日(火曜日)~令和5年12月17日(日曜日)
[休館]月曜日、11月24日(金曜日)
時間 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料 無料
主な展示品
  • 日新記聞 明治5~6年(1872~1873)
  • 第四小区角振町戸数絵図 明治5年(1872)(角振町有史料)
  • 半髪剃頭連印帳 明治6年(1873)(角振町有史料)
  • 奈良名所独案内 全 明治12年(1879)
  • 大和名所巡覧記 明治24年(1891)
展示解説

館員の展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。申込は不要です。
10月28日(土曜日)午後1時半~
12月5日(火曜日)午後1時半~
約30分の予定です。

展示関連イベント

奈良町にぎわいの家出張展示
「タイムトラベル奈良町 
「日新記聞」が伝える明治の奈良町

(申込不要)

 企画展示「「日新記聞」が伝える明治の奈良町」展にさきがけて、奈良町にぎわいの家で、展示に関連した史料の一部を出張展示し、史料保存館の館員が史料の解説を行います。

日時:10月7日(土曜日)午後2時~4時

解説:午後2時から約30分

会場:奈良町にぎわいの家(奈良市中新屋町5)

費用:無料  

後援 歴史街道 〈歴史街道HP<外部リンク>はこちら〉

 

 

 
緒言 第一号表紙
日新記聞 第1号 緒言
 明治5年5月(1872)

 日新記聞の刊行の趣旨を述べた緒言です。「緒言」には「天下の文物は日々新しくなっているのに、人々が因襲を科学何守り、今の隆盛を知らないのは見聞が狭い故である、それを打破するために日新報社を設立する」とあります。

 

正倉院宝物の図 9号表紙

日新記聞第9号 奈良東大寺正倉院宝物の図
明治5年(1872)9月  

 明治5年8月の文化財調査「壬申の検査」では、明治になって初めての正倉院の開封と調査が12日間実施され、その時に宝物の模写も行われました。日新記聞では、その模写を元にして、正倉院宝物の図を掲載しているようです。「白瑪瑙火鉢」と「碁盤」の図の傍に、寸法や材質、模様の説明が書かれています。現在、白石火舎、木画紫檀碁局と呼ばれる宝物と一致するように思われます。

 

 
興福寺本文 興福寺挿し絵
大和名所巡覧記
金沢昇平編輯 坂田購文堂発行 明治24年(1891)  
 日新記聞の発行者の一人である金沢昇平(1827~1893)は、幕末の国学者伴林光平の門人で歌道や国学を修めたといいます。明治10年(1877)に奈良公園地の維持と名所旧跡の案内人の管理に当たる興立舎が組織されるとその代表を務め、明治13年(1880)に奈良公園が設置されると公園取締役に任じられています。「大和名所巡覧記」は彼の著書の一つで、縦9.5センチ、横13.0センチの小型の本です。緒言によると、奈良から順路をとり、大和全体を周遊して月瀬に終り、ただ巡覧の便利を図るのではなく、現在有名なところを示すのを目的とした、とあります。

※写真の無断転載禁止