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近世奈良町の夏祭りに、6月16日に行われた春日社永代太々神楽講による春日社への太々神楽(だいだいかぐら)の奉納がありました。この祭りは、安永6年(1777)に内侍原町の滝野梅雲が願主となって始められたと伝えられ、広く奈良町中の町々が講を組み、毎年交替でひとつの町が神楽奉納の当番を勤めました。参加町は初期の70町から後には166町へと増え、年々盛大になっていきました。
祭りの当番町は、春日社への神楽奉納の準備を行い、祭り当日は町中で大宮、若宮に参拝、神楽所で春日巫女による太々神楽を奉納し、終了後、車舎で参拝各町や禰宜衆も交えて直会(なおらい)を催しました。
また、神楽奉納と並行して準備するのが、造り物です。造り物とは趣向を凝らしていろいろな道具を使ってつくる人形や景物のことです。当番町では、家々の座敷を開け放して造り物を飾り、人々はそれらを眺めてまわって祭りをたのしみました。
今回の展示では、内侍原町など町々に残る史料から、近世奈良町のにぎやかであった夏祭りの様子を紹介します。
期間 | 令和5年6月13日(火曜日)~令和5年7月30日(日曜日) [休館]月曜日、7月18日(火曜日) |
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時間 | 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
入館料 | 無料 |
主な展示品 |
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展示解説 |
館員の展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。申込は不要です。 |
展示関連イベント | |
奈良町にぎわいの家出張展示 企画展示「奈良町の夏祭り 造り物を楽しむ-春日社永代太々神楽関係史料から-」展にあわせて、奈良町にぎわいの家で、展示に関連した史料の一部を出張展示し、史料保存館の館員が史料の解説を行います。 日時:6月24日(土曜日)午後2時~4時 解説:午後2時から約30分 会場:奈良町にぎわいの家(奈良市中新屋町5) 費用:無料 |
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後援 | 〈歴史街道HP<外部リンク>はこちら〉 |
春日大宮若宮御祭礼図(部分) 寛保2年(1742) (大正13年(1924)復刻第4版) |
奈良町在住の藤村惇叙が作画と解説をまとめ出版したものです。近代まで何度も再版されています。春日社(春日大社)若宮社の神楽所で、巫女が神楽を舞っている図で、近世の神楽奉納の様子を知ることができます。 |
内侍原町諸事記録控書 奈良市指定文化財 天明7年(1787)内侍原町有史料 |
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天明7年から明治初年までの内侍原町の町記録です。この記録中に、「春日永代神楽記」があり、安永6年(1777)に、内侍原町の滝野梅雲が願主となり、久しく途絶えていた奈良町中で奉納する春日社永代太々神楽を町々で相談の上、今年から再興することになったとあります。 |
春日社永代太々御神楽仕法帳 |
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太々神楽奉納の準備の手順を記した帳面です。祭りの当番町は、4月上旬より準備を始め、寄付をよびかけ、買物、諸道具の確認など様々な準備を進めます。祭り当日には、早朝から春日社車舎へ荷物を運びこみます。その後、町内総出で春日社に向かい到着後、大宮、若宮に参拝し太々神楽を奉納、終了後に車舎で直会(なおらい)を催すといった手順が詳しく記されており、行事の全体がよくわかる貴重な史料となっています。 |
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