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「引札(ひきふだ)」とは、商家が店や商品の広告のために、店名と扱う品名、そこに関連する絵柄などを印刷し、客に配布した広告印刷物です。江戸後期より制作され、明治時代以降には、売出し、開店、中元、歳暮の時期に、手配り、郵送、新聞・雑誌の付録として配布され、商家と顧客を結ぶ大切な広告媒体でした。
奈良町の商家が制作したと思われる引札には、松竹梅鶴亀、福の神、美人名花、商売繁盛を祈念する恵比寿・大黒などの七福神や宝船をはじめ縁起の良い絵柄が印刷されています。店の広告チラシではありますが、見終わったら役目を終えるものではなく、縁起の良い恵比寿・大黒などの神像を飾ることで招福を願い、美しい絵柄であれば気軽な室内装飾品として飾ったり、暦を付すことで長く活用されたりと、いろいろな役割を果たしていたとも言えます。
今回の展示では、商家が吉祥招福・商売繁盛を願って様々に工夫し、趣向をこらして制作した美しい引札を紹介します。
【 期間 】 | 令和4年6月7日(火曜日)~7月31日(日曜日) [休館] 月曜日(祝日は開館)7月19日(火曜日) |
【 時間 】 | 午前9時~午後5時 (入館は午後4時30分まで) |
【 入館料 】 | 無料 |
【 主な展示品 】 | ・万小間物おろし引札 ・万履物引札 ・煙草・青物引札 ・豆腐商・人力帳場引札 |
【 展示解説 】 | 展示解説を、史料保存館で期間中2回行います。約30分の予定。申込は不要です。 6月14日(火曜日) 午後1時半~ 7月10日(日曜日) 午後1時半~ |
【展示関連イベント】 | にぎわいの家出張展示「タイムトラベル奈良町 引札-吉祥招福・商売繁盛を願って-」 展示に関連した史料の一部を出張展示し、史料保存館館員が史料の解説を行います。 日時 6月26日(日曜日)午後2時~4時 解説 午後2時から約30分 会場 奈良町にぎわいの家 奈良市中新屋町5 費用 無料 申込 不要 ※会場でのマスク着用、検温、連絡先提供のご協力をお願いいたします。 |
【 後援 】 | ![]() |
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塩魚・かん物類引札 |
奈良市西包永町にあった塩魚、乾物のお店の引札です。富士山、松、鶴とめでたい図柄で、船に乗る漁師は藻を刈り採っています。「藻を刈る」つまり「儲かる」とかけています。この引札は、奈良市西御門町の福嶋製とあります。 |
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万小間物おろし引札 | |
奈良市手貝通り今小路町で小間物卸を営んでいた店の引札です。美人画の背景には、頭上に日の出、左下には汽車と駅のホームが、右には蒸気船が描かれ、文明開化を感じさせます。 |
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万小間物所・卸小売引札 | |
奈良市餅飯殿町にあった小間物屋の店です。絵柄は「壇浦兜軍記」の三段目、阿古屋琴責の場面がモチーフのようです。右上にある札には「初春に 阿古屋 ここやで よき琴をきく」とあります。この引札は奈良市西御門町の福嶋製とあります。 |
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