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私たちの住む星-地球は、すばらしい自然をはぐくんできました。
人類は、そこにさまざまな文化をいとなんできました。
文化遺産や自然遺産が問いかけているもの-
それは私たち人間の存在そのものにほかなりません。
そこに人類共通の普遍的な価値を見つけることができます。
-世界各地の文化遺産・自然遺産を人類全体の財産として各国が協力して守っていく-
そのしくみを定めた条約が、1972年の第17回ユネスコ総会で採択されました。
これが「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」、すなわち「世界遺産条約」です。
日本は、1992年に125番目の締約国として仲間入りをはたしました。
(2024年8月現在の締約国数196か国)
この条約は、「顕著で普遍的な価値」のある以下のような文化遺産・自然遺産を対象としています。
文化的景観-cultural landscapes-とは、“自然と人間の共同作品”とされています。
具体的には、庭園や田園風景、あるいは信仰の対象となった自然景観などです。
人間の関わり方は様々ですが、文化的なもの=文化遺産として扱われます。
世界の遺産を保護するためのしくみは、国内レベルでの取り組み、国際レベルでの取り組み、の2つに大きく分けられます。
国際的援助を実施するため、条約に基づいて世界遺産委員会と世界遺産基金が設立されています。
世界遺産委員会は、世界のさまざまな自然や文化を代表する遺産のリスト-世界遺産リスト-を作成しています。
推薦された遺産は、
遺産の価値-「顕著で普遍的な価値」が十分にあるか-
保護状況-適切に保護されているか-
などについて、他の同種の遺産と比較検討しながら審査されます。
顕著で普遍的な価値についての基準は文化遺産、自然遺産それぞれに定められています。
文化遺産の基準は以下のとおりです(抄訳)。
このうちの1つ以上に該当していることと、その文化遺産が本物であることなどが、証明されなければなりません。
2024年8月現在
文化遺産 952件
自然遺産 231件
複合遺産 40件
総計 1,223件
文化遺産としても自然遺産としても基準にあてはまると認められた遺産を、“複合遺産”とよんでいます。
例)オーストラリアの巨大な一枚岩(→自然)エアーズロックは、原住民の聖地(→文化)でもあります。(登録名称は「ウルル-カタ・ジュタ国立公園」)
世界遺産リストに登録されている遺産のうち、深刻な危機に直面している遺産は、「危機にさらされている世界遺産リスト」に登録され、状況を改善するために重点的な取り組みがなされます。
世界遺産条約は、世界の遺産の保護のための具体的なしくみをつくりました。
しかしそれは決して完全なものではありません。
人類全体の遺産とは何か?それをどのようにして保護していけばよいのか?
条約は様々な保護のあり方について考えるひとつのきっかけとなっています。
※リーフレットをダウンロードできます。
世界遺産リーフレット見開き版[PDFファイル/2.4MB]
世界遺産リーフレット単ページ版[PDFファイル/7.0MB]