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奈良市では、平城京跡第727次調査(左京九条三坊五坪)の発掘調査成果について、下記の日程で発表(説明)します。
平成31年1月31日(木曜日)午後2時~
発掘調査現場(西九条町4丁目1番地の11他)
下記のとおり
奈良市西九条町4丁目1番地の11 他
平成30年7月23日から平成31年3月末(予定)
建物建設に伴う事前の発掘調査
6,525平方メートル(計画面積)のうち 2,700平方メートル(2回目)
奈良市教育委員会教育総務部 文化財課埋蔵文化財調査センター国際文化財株式会社 西日本支店
今回の発掘調査では、平城京の南端にあたる九条大路の北側に隣接する、五坪内の宅地利用 状況が明らかになりました。
五坪内の前回の調査では、1坪を1/16分割した小規模宅地が見つかりましたが、今回新たに1/32 分割した宅地が見つかりました。
また、奈良時代的な宅地分割方法から平安時代的な四行八門制の宅地分割方法へ変遷したことが判明し、当時の宅地班 給制度を考える上で重要な成果が得られました。
五坪の東半部のほぼ全域を調査した結果、坪内を通路や溝で細分化した小規模宅地を複数確認しました。宅地は1坪を1/16分割と1/32分割したものが見つかり、奈良時代後半から平安時代初頭にかけての小規模宅地の変遷が明らかになりました。
五坪では奈良時代後半から平安時代初頭にかけて、大きく3期(【1】〜【3】期)の時期変遷があることが判明しました。
【1】期 東西南北方向の坪内通路が設定され、坪内を1/16分割した方形の宅地が設けられます。
【2】期 坪内を東西南北に四分し、1/16分割した方形の宅地が設けられます。【1】期と異なり東西方向の坪内通路はなく、五坪中央の南北方向の坪内通路のみ設置されます。この場合、各宅地の出入口は、東西いずれかに隣接する道路側と想定されます。
【3】期 坪内を東西に四分、南北に八分し、1/32分割した長方形の宅地が設けられます。南北方向の坪内通路は【2】期から引き続き機能しており、各宅地の出入口も、東西いずれかに隣接する道路側と想定されます。
【2】・【3】期のいずれの宅地も、塀・溝等の明瞭な宅地の区画施設は見当たりません。しかし1/32分割した宅地内に井戸1基が設けられており、井戸1基と数棟の建物を単位とした宅地が復原できます。
【3】期の宅地配置は、平安京の宅地班給基準の四行八門制と類似し、これを適用していたものと考えられます。また、【1】期の1/16分割した方形の宅地割は、平城京跡の発掘調査で従来見られるもので、奈良時代的な宅地分割方法といえます。
今回の調査では、これら奈良時代的な宅地分割方法から、平安時代的な四行八門制の宅地分割への変化の過程が明らかになり、この過程が平城京内で発見された点が非常に大きな成果といえます。
2月4日(日曜日)10時から15時まで発掘調査現場の現地説明会を開催いたします。担当者の説明を10時と13時半に2回予定しています。現地には来訪者用の駐車場はありません。公共交通機関をご利用の上、お越しください。(小雨決行)