奈良県では、奈良公園周辺において、ハード対策・ソフト対策を組み合わせて渋滞緩和を図ることとしており、今後更なる交通集中も見込まれることから、観光バスによる渋滞への対策として「奈良公園バスターミナル」の整備を進めるとともに、利用者の協力によるマイカー対策も強化しています。
また、平城宮跡において「朱雀門ひろば」が平成30年3月に開園し、その中に展示施設、物販施設、駐車場などが整備されたことで、平城宮跡は新たな賑わい拠点として期待されています。
このため、平成30年11月3日(土曜日・祝日)、4日(日曜日)の2日間において、奈良公園と平城宮跡との連携強化による、奈良公園周辺の渋滞緩和効果を確認するため、「木簡型バス一日フリー乗車券」を乗車人数分配布することで、パーク&ライド駐車場の利用促進を図るとともに、「大宮通り直行バス」を朱雀門ひろば~春日大社の間を20分間隔で運行する社会実験を行いました。
このたび、その結果がまとまりましたので報告いたします。
1.社会実験への参加状況について【参考資料1】
(1)パーク&ライドの利用実績
- 2日間でマイカー約1,000台が参加され、前週および翌週の土日と比較すると、平城宮跡周辺の駐車台数が約2倍増加しました。
木簡切符配布によるインセンティブで利用促進の効果があったと考えています。
- 市営JR奈良駅駐車場の駐車台数は、春に比べ0.35倍に減少しました。
同等のインセンティブであれば、有料(市営JR奈良駅駐車場)より無料駐車場(平城宮跡周辺駐車場)が選択されることが分かりました。
(2)木簡型一日乗車券の配布実績
2日間で「木簡型バス一日フリー乗車券」を約1,900人の方に進呈し、日平均配布枚数は5月の社会実験時と比べ1.7倍増加しました。
(3)ぐるっとバスの利用実績(新規)
- 11月3、4日の平均の総乗車人数が、3ルートを合わせて約4,400人/日で、前後週の土日平均と比べ約1.6倍増加しました。
- 平城宮跡周辺駐車場の利用が促進され、平城宮跡と奈良公園を結ぶバスの平均乗車人数が、前後週の土日平均と比べ2.6倍増加しました。
「大宮通り直行バス」により、平城宮跡と奈良公園の連携が強化されたと考えています。
- 春日大社へ最短経路で乗り入れた、「大宮通り直行バス」の平均乗車人数(約1,600人)は、全体の約4割を占め、3ルート中最も多くなりました。
2.奈良公園周辺の渋滞状況 【参考資料2】
- 県庁東交差点で11月3日に計測した最大渋滞長を、平成29年と比較したところ、
- 大阪(西)方面は、750mから110mに減少
- 京都(北)方面は、2,500mから2,000mに減少
- 天理(南)方面は、90mから20mに減少
- 大阪(西)方面における渋滞長を時間別に比較したところ、100m以上の渋滞の発生時間が370分から50分に減少しました。
これらのことから、県庁東交差点西・北・南側の渋滞は緩和したことが分かりました。
- 一方、県庁東交差点東側における渋滞は、最大450mとなり、平成29年とほぼ同等。
県庁東交差点東側は、従前同様の渋滞が生じています。
3.社会実験(パーク&ライド)参加者へのアンケート結果【参考資料3】
社会実験参加者へのアンケート(11月3、4日)から、以下を把握
- パーク&ライドの実施を、道中で知った方が約5割、出発前から知っていた方が約4割
- パーク&ライド駐車場を選んだ理由は、「奈良公園周辺が混雑するから」が最も多く約4割強、「バス乗車券が無料でもらえるから」約4割弱
- パーク&ライド駐車場利用者の約5割が、当初予定していた奈良公園周辺駐車場から変更
これらのことから、奈良公園周辺道路や駐車場の混雑状況を、道中で情報提供することが有効であることが分かりました。
4.社会実験の認識状況および満足度 【参考資料4】
アンケート、ヒアリング調査結果(11月3日)から、以下を把握
(1)社会実験の認識状況(自動車での来訪者)
約1/4がパーク&ライド社会実験を認識
今後、継続的に取り組む中で、パーク&ライドの認識率向上を図ることが必要です。
(2)社会実験への参加状況
- パーク&ライド社会実験を認識している方の、約3/4が実験に参加されました。
パーク&ライド施策の認識率向上が実験参加の大きなポイントとなります。
- 社会実験を認識しているが参加しない理由の大半は、「実験の開始時刻前に奈良公園周辺に到着していたため」
(3)社会実験の満足度
- パーク&ライドの利用者の約9割が「満足・やや満足」
- 大宮通直行バスの利用者の約8割が「満足・やや満足」
大宮通直行バスの実施に向けて検討が必要です。
- 「不満・やや不満」の主な理由
「バスの渋滞による遅延」、「車内混雑」など
ぐるっとバスの運行状況の情報提供について検討が必要です。
5.今回の社会実験の効果
今回の社会実験を通じて、
- 木簡切符配布によるインセンティブにより、混雑する奈良公園周辺の駐車場から、平城宮跡周辺駐車場及び市営JR奈良駅駐車場へ駐車先を変更いただいたこと
- 「大宮通り直行バス」により平城宮跡と奈良公園の連携が強化されたこと
- その結果、県庁東交差点を先頭とする渋滞が昨年より緩和していること
が確認されました。
これらのことから、今回の社会実験は観光シーズンの休日における奈良公園周辺へのマイカー流入抑制に一定の効果があったと考えられるものの、県庁東交差点の東側では従前同様の渋滞が生じています。
6.今後の取り組み
奈良公園周辺の渋滞緩和は、喫緊の課題であり、ハード対策とソフト対策を組み合わせて推進する必要があります。
ハード対策については、「奈良公園バスターミナル」を平成31年春、供用開始します。
これにより、「観光バス」の県庁東交差点以東への流入が抑制されるため、大仏殿前駐車場入口を先頭に東行き車線で発生する速度低下等の要因が軽減され、一定の渋滞緩和効果が期待されています。
しかしながら、奈良公園周辺では、依然として渋滞が生じており、ソフト対策の柱である「マイカー」に対するパーク&ライドの更なる利用促進については、社会実験に対する評価も踏まえ、継続的に取り組んでまいります。
ダウンロード
お問い合わせ
市民生活部 交通政策課
電話番号:0742-34-4719
<外部リンク>
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)