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本市では、農業者数や経営耕地面積が年々減少し、農村地域の衰退が危惧されています。地域の食生活を支える産地を次代に守り継いでいくためには、担い手の確保とともに、所得向上や営農環境の改善による地域農業の振興が必要です。
そこで、農業者向けセミナー「なら農業マネジメントアカデミー」を開講、2つのコース(経営改善・販路拡大)を設け、実践を重視した少人数制講座を実施します。
経営理論や具体的な知識、ノウハウ習得により、生産、販売、労働時間等、さまざまな側面で課題を抱えながらも独力では打開策を見いだせず、改善が困難となっている農業者個々の経営力の底上げを図り、売上を確保しながら地域農業の中核を担ってもらうことで、本市農業の活性化に繋げます。
【出典】農林水産省「農林業センサス」2020
【出典】農林水産省「農林業センサス」2020
奈良市では農業経営体※1数が年々減少しており、2020年は、2005年に比べて約1,000経営体減の1,461経営体となりました。これに伴い経営耕地面積も、2020年は2005年から42,911a減の168,937aとなっています。
【出典】農林水産省「農林業センサス」2020
奈良市の農業経営者は年々高齢化しています。中でも65歳以上の比率を見ると、2005年は43.9%だったのに対し、2020年では66.2%まで上昇しています。
【出典】農林水産省「農林業センサス」2020
奈良市の農業経営体の法人化率は年々上昇しているものの、全国と比べても低水準で推移しており、2020年は1.6%に止まっています。本市の農業は、ほぼ個人経営により支えられていることが分かります。
【出典】農林水産省「農林業センサス」2020
販売金額で見ると、販売農家※2における販売金額は、奈良市は50万円未満が32.3%と最多である一方、全国では100万~1,000万円が最多であることから、本市の農業が小規模経営であることが伺えます。なお、奈良市の自給的農家※3の割合は46.1%であり、農家のうち約半数は積極的な販売活動を行っていません。
奈良市の認定農業者への聞き取りによると、年間労働時間が2,000時間を超える者が9割を超えています。2,000時間は他産業の一般的な労働時間の基準ですが、中にはその3倍となる6,000時間を超える農業者も1割程度存在し、農業がいかに重労働であるかが伺えます。
高齢かつ小規模経営の農業者が大多数を占める奈良市においても、一定の売り上げを確保し、次世代の地域農業の担い手として期待される方がいます。
彼らは、従来型の家族経営による「経験や勘に頼る生産中心の農業」とは一線を画し、独自販路の確保、法人化、近隣住民の雇用、生産拡大など、+αの活動に取り組むことで、自らの農業経営の向上を通じ地域活性化にも貢献しています。
上記の現状を踏まえ、なら農業マネジメントアカデミーでは、次のような農業者の育成を目指します。
なら農業マネジメントアカデミーのプログラム監修及びメイン講師には、令和5年度「なら農業応援塾」(奈良市産農産物販路拡大事業)において講師を務めた、ファームサイド株式会社代表取締役の佐川友彦氏を起用します。
■ファームサイド株式会社 代表取締役 佐川友彦 氏
東京大学農学部、同修士卒。外資系企業を経て2014年より阿部梨園(栃木県宇都宮市)に参画。阿部代表の右腕業を務め、大小500件の業務改善を実施し、小規模ながらスマート経営を実現。現在はファームサイド株式会社を起業し、講演活動や経営支援で各地を回り、農業者の経営改善運動を全国へ展開中。著書『東大卒、農家の右腕になる。小さな経営改善ノウハウ100』(ダイヤモンド社)
経営改善コースでは、まず視察を通じ、受講者の目標とすべき農業者像の設定を行った上で、農業経営を見直すための人的・時間的余地を捻出するための具体的な課題解決の手法について、座学、ワーク等により農業者に伝授するほか、受講生とメイン講師によるSNSグループを設け、伴走支援も行います。
各回の受講後に、受講者が学んだ手法を自農園において反映させる実践型の講座を展開。最終回では実践した経営改善の取り組みを受講者ごとに発表します。受講中の段階から実践に取り掛かり、改善習慣を身に付けていくことで、講座終了後においても独力で経営改善に取り組める能力を養います。
回 |
日程(時間未定) |
テーマ(予定) |
形態 |
講師 |
1 |
10月下旬~11月中旬のうち1日 |
お手本となる農業者への視察 |
現地開催 |
|
2 |
11月20日(水曜日) |
経営改善の進め方 |
対面開催 |
ファームサイド(株) 佐川友彦氏 |
3 |
12月16日(月曜日) |
経営課題抽出・経営診断 |
||
4 |
1月20日(月曜日) |
雇用・組織の改善 |
||
5 |
2月21日(金曜日) |
受講生による改善実践発表会 |
ファームサイド(株) 佐川友彦氏 ほか |
奈良市役所 ほか
市内に農場があり、農業で生計を立てている65歳未満の農林畜産業者
(家族・従業員の参加も可)
10人程度
※受講者は委託事業者との協議により決定します。
無料
※詳細はしみんだより10月号、奈良市ホームページに掲載します。
令和4、5年度に実施した、市内農業者の販路拡大を支援する「なら農業応援塾」をリニューアル。今年度は、農業界に関わる各種販路の知識を深め、販路拡大計画・戦略を立案し、BtoB(事業者向け取引)とBtoC(消費者向け取引)に分けて経営のスキルアップを図ります。農業者が自ら「こんな農業をしていきたい」というイメージを再確認しながら講師とともにアクションプランを作成し、分野に分けて実践方法を知ることで、講座で得た学びを着実に行動へ繋げられる内容としています。
少人数制で実施するため、講師から専門的な視点によるフィードバックを得られるほか、メイン講師も参加するSNSグループでの伴走支援により、講座中のみならず講座終了後においても、販路拡大への実践を後押しします。
回 |
日程 |
テーマ |
形態 |
講師 |
1 |
9月26日(木曜日) 15~18時 |
マーケティング・ブランディングの基礎 |
web開催 |
ファームサイド(株) 佐川友彦氏 |
2 |
(1)11月7日(木曜日) 15~18時 (2)11月8日(金曜日) 9~12時 |
販売戦略と営業戦略の立案/目標設定 |
対面開催 |
|
3 |
11月19日(火曜日) 15~18時 |
BtoC(消費者向け取引)スキルアップ |
わくわくお米本舗 亀田泰志氏 |
|
4 |
11月29日(金曜日) 15~18時 |
BtoB(事業者向け取引)スキルアップ |
資源賛美プロジェクト 本山喜之氏 |
※受講パターンはカスタマイズ可能。ただし、2回目の受講は必須((1)(2)のどちらか一日)
奈良市役所
市内に農場がある農林畜産業者
(家族・従業員の参加も可)
各回10人(初回のみ20人)
※受講者は委託事業者との協議により決定します。
無料
奈良市ホームページで申し込み(9月16日締切)
「経営改善」「販路拡大」2つのコースで地域を支える農業者を育成 「なら農業マネジメントアカデミー」9月始動 [PDFファイル/1.66MB]
奈良市 観光経済部 農政課
TEL:0742-34-5142