本文
本像は、光背裏の墨書銘から、生駒市の宝山寺を開いた湛海(たんかい)の指示に基づいて、清水隆慶(しみずりゅうけい)によって元禄9年(1696)に造られたことが知られています。
寄木造(よせぎづくり)で胡粉地(ごふんじ)に彩色をし、美しい截金(きりかね)文様を施しています。生気のあふれた姿態は湛海自作と伝えられる不動明王像と共通するものであり、湛海の造像活動に隆慶が深くかかわっていたことをこの像が示しています。
江戸時代において、湛海とともに傑出した造像活動をおこなった隆慶の、壮年期における明確な作品として貴重なものです。
件名 | 木造不動明王坐像 |
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かな | もくぞうふどうみょうおうざぞう |
数量 | 1躯 |
指定(分類) | 奈良市指定文化財(彫刻) |
指定日 | 平成元年3月7日 |
所在(有) | 芝新屋町12 元興寺 |
小学校区 | 済美 |
形状等 | 像高52.3cm 像底墨書「上之坊順測俊雅大徳律師/夫我氏者蔵之庄中山氏正業次男也延宝四辰年/十一月廿二日年八歳ニテ出家得度ス延宝九酉年寺造立/良辨僧正御庵室ニ續有之シ今之地ニ新寺建立ス其後貞享/五辰年客殿造作ス天和三年十五歳之秋ヨリ四度ノ加行修行ス貞享四年/當行新立ス元禄三午年八月十二日ヨリ百日護摩修行十一月廿二日無障碍/成満ス右護摩之内三輪山平等寺大智院道場ニテ兩部灌頂修行スル/阿闍梨長祐證名行性比丘也元禄四未年五月廿一日阿闍梨中性院盛祐ヨリ/印加ヲ受ル元禄四未年八月廿一日御寺務勧修寺宮御受戒會之砌小十師/相勤ル同年十月廿日安井御門主御受戒會有之沙弥戒羯摩勤役畢/元禄五甲年三月八日ヨリ四月八日マテ大佛開眼供養有之出仕致ス元禄五甲年/十月晦日大乗院御門主御受戒會之砌沙弥戒羯摩相勤ル同年十一月十四日/於三輪山平等寺教授第二重三重トモ行性比丘ヨリ傳受ス元禄七甲戌年於良辨/僧正御庵室道場求聞持修行ス八月十三日開白十月廿八日無障碍成就ス元禄/八乙亥稔十月十日八千枚修行ス先師宥辨十三回忌相兼修之元禄十丁丑年閏二月十[三 ]/醍醐水本隠居釈迦院宥雅僧正ヨリ印加ヲ受ル元禄十丁丑四月十九日ヨリ五ケ夜ノ間/於大佛殿庭儀之灌頂有之十八日教授相勤ル廿一日ヨリ廿三日マテ同壇ニテ結縁/灌頂有之尊号師役相勤畢 元禄十六癸未年六月廿八日大乗院殿/御受戒會之砌東教授師相勤畢」 光背裏面墨書「奉新造大聖不動明王壹尊二世之求願祈所/于時元禄九丙子年七月十八日般若窟法山律師開眼也/則本尊之圖採色等律師御指圖也其外御手傳ヱ/作者京都大佛師清水隆慶造料金子五兩三歩也/後代當坊可為本尊者也 東大寺上之坊/俊雅大〈春秋/廿八歳〉」 (/は改行、〈 〉は割書、[ ]は字数不明・推定文字を表す) |
備考 | 江戸時代 |