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近田家住宅主屋は、元興寺東側の街路に東面して建つ、切妻造、桟瓦葺、土間部を落棟(おちむね)とし、正面に下屋を設ける本2階建の町家で、昭和8年(1933)に材木問屋の住居兼事務所として建築されました。窓にガラス障子や棒格子をいれる正面外観や、2階の中廊下式の平面、居室の採光に配慮している点などに昭和初期の特徴がよく現れています。また、2階の10畳の座敷では、適材適所で良材を使い分ける点に、施主の材木問屋としてのこだわりが窺えます。
奈良町における昭和初期の町家の好例で、明治から昭和初期の町家がまとまって建つ元興寺東側の統一感のある町並み景観を構成する重要な町家です。
近田家住宅主屋
敷地西奥の元興寺境内地境に建ち、北妻の梁間が短い台形平面を持つ、切妻造、桟瓦葺、木造一部2階建の蔵です。内部は、北半を蔵、南半を土間に分け、土間境に板敷きを設けています。当初は、蔵の東側に隣接して蔵前座敷が設けられ、蔵、蔵前座敷、土間と一体の屋根が架けられていましたが、このような形態は奈良町ではあまり例をみません。平成20年(2008)の改修で蔵前座敷は撤去されましたが、狭隘な敷地に家業の材木置き場の確保や居住スペースの必要性等から計画されたであろう当時の様子を窺い知ることが出来ます。
奈良町でも珍しい屋敷構成を伝えるとともに、昭和前期の奈良町の商家の屋敷形態を示す貴重な遺構です。
件名 | 近田家住宅主屋 近田家住宅蔵 |
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かな | ちかだけじゅうたくおもや ちかだけじゅうたくくら |
数量 | 各1棟 |
登録(分類) | 登録有形文化財(建造物) |
登録日 | 平成26年4月25日 |
所在 | 奈良市鵲町 |
所有者 | 個人 |
小学校区 | 椿井 |
構造形式 | 主屋:木造2階建、瓦葺、建築面積87平方メートル 蔵:木造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積28平方メートル |
年代 | 主屋:昭和8年(1933)/平成20年(2008)改修 蔵:昭和8年(1933)頃/平成20年(2008)改修 |