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絹本著色鹿島立神影図

更新日:2021年1月27日更新 印刷ページ表示

 鹿島立神影図(かしまだちしんえいず)は、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が常陸国(茨城県)の鹿島から鹿に乗って御蓋山(みかさやま)に至り、中臣時風(なかとみのときふう)と中臣秀行(ひでつら)がそれに随ったという、春日大社の縁起説話に基づいて描かれるものです。本図のほかに、春日大社に永徳三年(1383)の作(奈良県指定有形文化財)があり、また不退寺(重要文化財金銅舎利塔の厨子の板絵)、奈良国立博物館、アメリカのクリーブランド美術館、シアトル美術館などに中世の作例があって、春日信仰の隆盛を物語っています。
 本図は、諸作例と同様に、鹿に乗る武甕槌命、中臣時風・秀行、御蓋山などを描いていますが、武甕槌命の袍(ほう)に金泥(きんでい)で桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん)を描き、華やかに表現しています。また、通例では神木の榊(さかき)は上部の枝のみが霞(かすみ)の上方に描かれますが、本図では地面から生えて霞にも覆われない点に大きな特色があります。しかも、樹幹を神像に重ならないよう弓なりに表し、枝先には赤褐色の若葉を描き、巻きついた藤の蔓(つる)から多数の花房を垂らすなど、樹容の表現に趣向を凝らしています。枝に結ばれた垂(しで)が軽やかに大きくなびく点にも、他の作例とは異なる自由な表現がみられます。精巧な描写も優れています。
 鹿島立神影図の中でも特色ある古作として貴重であり、主要作例の一つに挙げられる優品です。

絹本著色鹿島立神影図

 
件名 絹本著色鹿島立神影図
かな けんぽんちゃくしょくかしまだちしんえいず
数量 1幅
指定(分類) 奈良市指定文化財(絵画)
指定日 平成21年3月3日
所在地・所有者 奈良市春日野町160 春日大社
小学校区 鼓阪

形状等

掛幅装 縦107.6cm 横39.0cm
旧内箱蓋表墨書「鹿嶋立御躰」
旧内箱身裏墨書「慶安二年己丑季冬」
旧外箱蓋裏墨書「公物唐院」
備考 南北朝~室町時代