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木造阿弥陀如来立像

更新日:2021年1月27日更新 印刷ページ表示

 両手ともに第一、二指を捻じ、左足を前に踏み出し、乗雲する蓮華座に立つ来迎阿弥陀です。
 均整のとれた姿態表現に特色があり、頭部を前方に傾け、体躯を前傾して背を丸め、袖と裾先を後方になびかせる側面の姿はみごとです。体躯の肉取りも的確で形式化に陥らず、渦文をまじえた衣文表現は線条的に襞数多く刻まれ、総じて鎌倉時代中期(13世紀)の特色が顕著です。一方、肉髻(にくけい)が低く、地髪部との境がゆるやかで、髪際線が下方に波打つ髪形は、中国宋代の仏画に流行した形式に倣うものであり、宋代美術からの影響が指摘されることも注目されます。
 また本像は足裏にほぞを設けてほぞ立ちする構造ではなく、裳裾裏に二個の孔をうがち、これに台座からの支持棒(二本)を挿して立つ構造であることが特記されます。これと同じ仕様の阿弥陀如来像として、福岡県万行寺像〈仁治3年(1242)快成作〉、茨城県万福寺像、東京国立博物館像などが知られますが、これらは足裏に仏足文を表した鎌倉時代の阿弥陀仏彫像としても注目されるものです。本像の足裏にはこの種の仏足文は見えないものの、前述した像の立て方に加えて、光背を後頭部に取り付ける仕様、宋代仏画に通じる形式的特徴などの類似点をあわせ考えると、本像はこの種の阿弥陀像の一群に類する特徴をもつものとしても注目されます。
 伝来の経緯は不詳であるものの、奈良町地域に伝来した鎌倉時代の優れた阿弥陀如来像の一例として貴重です。

木造阿弥陀如来立像(写真撮影:公益財団法人 美術院)

 
件名 木造阿弥陀如来立像
かな もくぞうあみだにょらいりゅうぞう
数量 1躯
指定(分類) 奈良市指定文化財(彫刻)
指定日 平成25年3月15日
所在地・所有者 奈良市鳴川町25 聖光寺
小学校区 済美
形状等 像高80.3cm
備考 鎌倉時代