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木造十一面観音立像

更新日:2021年1月27日更新 印刷ページ表示

 頭上面(ずじょうめん)を戴き、左手に水瓶(すいびょう)、右手第一指を曲げて錫杖(しゃくじょう)を執る、いわゆる長谷寺式十一面観音像です。像高二尺ほどの小像ですが、ヒノキの寄木造(よせぎづくり)で、頭部は前後二材矧(は)ぎとし、三道(さんどう)下で体部に挿し、体部は前後二材矧ぎとし、両肩で両腕(各一材)を寄せる構造です。現状、全身黒色ですが、当初は素地(きじ)仕上げ像であったと推測されます。像底の枘(ほぞ)に墨書銘があり、室町時代、永正十年(1513)六月十八日に本像が造られたことがわかります。なお墨書銘にある「慶秀」については、本像の造立に関わった本願主か、仏師名かは不詳です。
 本像はやや前傾する姿勢であるものの、頭・体部の均衡が整い、着衣の衣文(えもん)表現も彫り込みが的確で、仏師の手馴れた彫刻技量には見るべきものがあります。目尻の鋭く切れ上がった目鼻立ちは秀麗であり、この時期の制作年が明らかな、優れた十一面観音像といえます。
 本像が造られた室町時代後期(16世紀)の南都の彫刻史は、俗人仏師とも評される宿院(しゅくいん)仏師の活躍が注目されますが、それ以前では南北朝時代以来の椿井(つばい)仏師の系統を引く伝統仏師の動向が考慮されるところです。本像はこの頃の伝統仏師の優れた遺品のひとつと推定され、奈良市東山間部に伝わる中世後期彫刻の基準作として注目すべきものです。

木造十一面観音立像

 
件名 木造十一面観音立像
  像底の枘に永正拾年、六月十八日、慶秀本の銘がある
かな もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう
数量 1躯
指定(分類) 奈良市指定文化財(彫刻)
指定日 平成26年3月14日
昭和45年3月7日 都祁村指定文化財
所在地・所有者 奈良市都祁甲岡町347 観音寺
小学校区 都祁
形状等 像高63.1cm
枘左側面墨書「永正拾年」 枘正面墨書「慶秀本」 枘右側面墨書「六月十八日」
備考 室町時代