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不空羂索観音は人々を慈悲の綱(羂索)で救うといわれます。応現寺に安置されるこの像は、三つの目と八本の腕をもち、羂索を握る姿を表しています。均整のとれたゆったりとした体つきに定朝様(じょうちょうよう)という優美な作風の影響がみられ、11世紀末から12世紀前半頃の作と考えられています。
その頃は、興福寺南円堂の不空羂索観音像が藤原氏に崇拝され、たびたび模造されました。本像はそうした風潮の中で造られた貴重な遺例です。
なお、かつて応現寺の近くには、興福寺僧が籠山(ろうざん)した善根寺があり、本像は善根寺に伝来したといわれています。
件名 | 木造不空羂索観音坐像 |
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かな | もくぞうふくうけんさくかんのんざぞう |
数量 | 1躯 |
指定(分類) | 重要文化財(彫刻) |
指定日 | 昭和61年6月6日 |
所在地・所有者 | 奈良市東鳴川町31 東鳴川観音講 (管理団体 奈良市) |
小学校区 | 興東 |
形状等 | 像高90.6cm |
備考 | 平安時代 |