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算額は、和算の問題及び解法を記して神前、仏前に奉納した絵馬の一種です。県内で確認されている5面のうち3面が奈良市内にあり、そのうち2面が弘仁寺のものです。
(1)は九乗根の問題を算木を使って解くもので、全国所在の算額のなかでも算木による算法(天元術)を描いたものは珍しいです。文政10年(1827)の作です。
(2)は49桁に及ぶ大数を計算する問題で、これは現存の算額中で最大の桁数です。師匠の肖像を描きこんだ豪華な装丁がなされ、九州や四国など遠方の門弟が名前をつらねるなど、当時の和算塾の隆盛を物語っています。安政5年(1858)の作です。
いずれも当時、行われていた和算の内容をよく表すもので、大和における和算家やその門弟の広まりを示すとともに、数少ない算額の遺例としても貴重です。