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皇朝十二銭の一つである神功開宝は、和同開珎の十倍の価値をもたせて発行された万年通宝に代わる新銭で、天平神護元年(765)が初鋳です。
神功開宝鋳銭遺物は、平城京左京六条一坊十六坪の南東部で発掘された奈良時代末の井戸跡から一括して出土しました。鋳銭過程に関る遺物がほぼ揃っており、古代銭貨の鋳銭工程を復原できる良好な資料群です。
古代の鋳銭遺物は、奈良県飛鳥池遺跡で富本銭、山口県長門鋳銭所跡・大阪府細工谷遺跡・奈良県平城宮跡・平城京跡(左京三条四坊七坪・同十二坪・東市東堀河)から和同開珎のそれが出土しているだけです。神功開宝の鋳銭遺物としては国内唯一の出土例で、古代の貨幣鋳造技術史を考える上で極めて重要な価値を有しています。
神功開宝鋳銭遺物
鋳放し銭・鋳損じ銭・鋳棹
件名 | 平城京左京六条一坊十六坪出土神功開宝鋳銭遺物 |
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かな | へいじょうきょうさきょうろくじょういちぼうじゅうろくつぼしゅつどじんぐうかいほうちゅうせんいぶつ |
数量 | 一括(47点) |
指定(分類) | 奈良市指定文化財(考古資料) |
指定日 | 平成25年3月15日 |
所在地・所有者 | 奈良市 |
小学校区 | 大安寺西 |
形状等 | 銭范(せんぱん)7箇 鋳放(いはな)し銭3枚 鋳損(いそん)じ銭6枚 鋳棹(いざお)2箇 坩堝(るつぼ)4箇 鞴羽口(ふいごはぐち)4箇 炉壁(ろへき)7箇 銅滓(どうさい)付着瓦5箇 銅滓9箇 |
備考 | 奈良時代 |