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三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)は主に古墳時代前期の古墳から出土する大型の青銅鏡で、縁の断面が三角形に高く突出し、鏡背文様に神像と獣像を配置するといった特徴をもっています。同じ鋳型からつくられた鏡(同笵鏡 どうはんきょう)があり、古墳時代前期の政治史を考える上で重要な資料とされています。
本品は市内に現存する唯一の三角縁神獣鏡であり、香川県に1面の同笵鏡の存在が知られています。鏡とともに伝えられる文書などから江戸時代から弥勒寺に伝来することが確認でき、富雄(とみお)地域の古墳から出土した可能性が高いものとみられます。
奈良市の古墳時代を考える上で貴重な資料であり、遺存状況も比較的良好で考古資料としての価値が高いものです。
三角縁吾作銘二神二獣鏡
「弥勒寺古鏡記并掖斎所蔵古鏡銘」額
龍華山古鏡詩并序