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一列四室の主屋に落棟座敷(おちむねざしき)が付き、一連の丸太格子で統一して独特の外観を形作っています。祈祷札(きとうふだ)には文政11年(1828)とあり、その下がすすけていないので、その直前に建てられたと考えられています。落棟座敷は、書院窓(しょいんまど)の障子に安政3年(1856)の墨書があり、主屋よりやや遅れて建築されたとみられます。
建築年代がほぼ明らかで、町家の編年を考える上での基準となります。また、内装に改造がありますが、当初部材はそのまま残しており、構え・造作・保存も良好です。奈良町における一般型町家として貴重なもので、将来に伝える必要があります。