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令和4年3月18日(金曜日)に、国の文化審議会において、新たに奈良市内の建造物2件を登録するように答申がありました。
この結果、後ほど行われる官報告示を経て、奈良市内の登録有形文化財(建造物)の総数は、116件となる予定です。
件名(かな) | 帯解駅本屋(おびとけえきほんや) | |
所在地 | 奈良市今市町(ならしいまいちちょう) | |
建築年代 | 明治31年/大正15年・昭和40年代改修 | |
構造形式 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積112平方メートル | |
登録基準 | 一 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
奈良市の南部、今市町に位置するJR桜井線の駅舎です。切妻造桟瓦葺平入で、外観は漆喰塗の真壁に腰板張を基調とし、正面と北面には銅板葺の庇が付きます。
奈良鉄道の駅として開業した当初は一部を駅長官舎にあてていましたが、国有化後の大正末に駅長官舎を他に移し、間仕切りを改めて、待合室、事務室、休憩室等からなる当時の標準的な駅舎に改修しました。
改修はあるものの、明治後期に私鉄により建設された駅舎の姿を知る資料であるとともに、大正期以降鉄道省によって整備された標準的な地方駅舎の姿をとどめており、鉄道発展の歴史を伝える建物として、価値があります。
帯解駅本屋 外観
帯解駅本屋 外観
件名(かな) | 旧奈良警察署鍋屋巡査派出所 (きゅうならけいさつしょなべやじゅんさはしゅつしょ) |
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所在地 | 奈良市半田横町(ならしはんだよこまち) | |
建築年代 | 昭和3年/昭和中期頃・昭和後期頃・平成24年改修 | |
構造形式 | 木造平屋建、鉄板葺一部瓦葺、建築面積28平方メートル | |
登録基準 | 一 国土の歴史的景観に寄与しているもの |
奈良町の北部、奈良女子大学正門前の角地に建つ、小さな木造洋風建築です。隅切り部を正面とし、寄棟造の屋根に飾り破風と棟飾りを載せています。外壁はモルタルで基壇・柱・梁を表現し、柱間はドイツ壁と呼ばれる荒い仕上げで、上げ下げ窓を入れています。内部は土間の執務室と畳敷の宿直室からなります。
近代における巡査派出所の希少な遺構として価値が高く、奈良女子大学の明治洋風建築とも調和し、景観上も重要な建物です。
地元住民らによる保存運動が実り、奈良市による修理を経て、平成24年から「駐在さん」と称するスタッフが常駐する地域の案内所として、市民や学生に広く親しまれています。
旧奈良警察署鍋屋巡査派出所 外観
旧奈良警察署鍋屋巡査派出所 内部