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平城宮跡が世界遺産「古都奈良の文化財」に登録された、平成10(1998)年に国が朱雀門を復元。奈良市は、市出身の書家・今井凌雪(いまいりょうせつ)氏の揮毫で朱雀門に扁額を設置しました。
世界遺産登録25周年にあたる今年度、退色が進み「朱雀門」の文字が読みづらくなった扁額を修繕しています。
唐の長安を模したとされる奈良の都・平城京。北に天皇の宮殿と多くの役所からなる平城宮が置かれ、この平城宮から南へ伸びる幅約70mの朱雀大路がメインストリートとなり、道路は碁盤の目のように整然と区画されていました。そして朱雀大路の起点、かつ平城宮の正門として南面して建っていたのが朱雀門であり、「朱雀大路」、「朱雀門」という名称は天の四方を司る四神(青龍[東]・白虎[西]・朱雀[南]・玄武[北])の「朱雀」に因むものです。諸外国の使節や日本各地から平城京を訪れた人たちに、朱雀門がその威容を誇ったことは想像に難くなく、古代の奈良にとって極めてシンボリックな建物であったといえます。
平成10年、平城宮跡が世界遺産「古都奈良の文化財」のひとつとして登録されるとともに、平城宮の主要な建物のなかで、国により朱雀門が最初に復原されました。奈良市では朱雀門完成を記念して、そのシンボルとして正面に掲げる「朱雀門」と大書した扁額を復元することを計画し、奈良市の書家・今井凌雪氏に揮毫をお願いしました。
形や彩色は奈良時代にふさわしい様式に倣い、縦271.4cm、横214.2cmの大きな扁額ができあがりました。額面は深みのある朱色で、堂々とした力強い漆黒の楷書「朱雀門」の三文字が彫り込まれています。
掲げられてから四半世紀、およそ25年が経ち、額面の退色が進んだことで、肝心の「朱雀門」の文字が読みづらくなっています。近年、朱雀門のすぐ南側には史跡公園が整備され、「朱雀門ひろば」がオープンするなどにぎわいを増しており、また「古都奈良の文化財」が世界遺産登録25周年を迎える節目の年でもあることから、市では扁額の修繕を計画し、その費用についてはガバメントクラウドファンディングにより、多くの皆さんにご協力をお願いすることにしました。
奈良市が実施する事業に直接の寄附を募る、ふるさと納税型クラウドファンディング(目標金額1000万円)を実施しています。
※目標金額を上回った分のご寄付は、奈良市の文化財保護に活用
以下の方法で寄附していただくことが可能です。
ネットではなく専用の「振込用紙」による金融機関・郵便局でのご寄附を希望される個人様、企業・団体様等には、次の方法があります。
寄附総額:533万5000円
特別に、扁額の裏面に寄附者のご芳名を記載いたします。奈良のシンボルである世界遺産・平城宮跡の朱雀門に皆様のお名前が刻まれます。市内の方、市外の方を問わず記載できます。
修理完了後の令和6年度に実施。通常は立ち入れない建物内部や周辺施設を、調査・整備に関するエピソードとともに巡ります。歴史の宝庫・奈良市で文化財に携わる文化財課の専門職員と一緒に、知的好奇心に満ちた時間を過ごしませんか。
※その他、5万・1万・5,000円の設定もあり。返礼品等の設定はなし
平成10年の製作・設置以来、初めての修繕です。扁額は2m以上の大きさで相当重いため、大型クレーン車を使って朱雀門からいったん降ろし、古建築の彩色に精通した職人が額面の塗り直しをおこないます。
今井凌雪(いまい りょうせつ) (1922-2011)
書家。奈良市出身。筑波大学名誉教授。恩賜賞・日本芸術院賞受賞、勲三等瑞宝章を受章するなど、現代書壇を代表する巨匠。文部科学省の省名表札や、黒澤明監督の映画「乱」、「夢」の題字なども揮毫。2022年に生誕100年を迎えた。