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奈良市南郊、帯解地域の池田町にあります。内藤家は近世には庄屋格で、明治以降は帯解町長などを務めました。
建物は、市内の農家住宅の中でも最大級の規模です。正面は北側で、これは帯解地域の民家にしばしばみられる特徴です。屋根を草葺とせず瓦葺とするのは当初からとみられ、農家としては早い例です。
全体的に木太い良材を用いた上質な造りで、明治前期の奈良盆地における大規模な民家の例として、高い価値があります。
内藤家住宅主屋 正面外観
内藤家住宅主屋 内部
道路に面して建つ長屋門と塀です。外観は漆喰塗の壁に腰板張で、正面は白漆喰ですが、出入口や背面は灰色です。出入口周辺などを塗り分けるのは奈良の民家にしばしばみられる特徴です。豪農の屋敷構えを構成する建物として重要です。
内藤家住宅長屋門及び塀 外観
内藤家住宅長屋門及び塀 外観
主屋の正面の庭を前庭と中庭に区切る袖塀付の中門です。屋根は切妻造、本瓦葺で、鬼瓦に家紋をあしらい、棟も飾り瓦で飾ります。板戸にはたすき掛けに桟をつけるなど、細部の造りも丁寧です。中門、袖塀とも端正な意匠で、庭の中央にあって格式ある屋敷景観を形成しています。
内藤家住宅中門 外観
内藤家住宅中門 外観
中庭の北にある塀です。半間毎に柱を立て、壁は漆喰塗で、庭園景観の構成要素となっています。水路の石積み護岸上に建つ背面側は高い腰板張で、左右の建物や水路とともに長大で整った屋敷景観を形成しています。豪農の屋敷構えを伝える重要な建物です。
内藤家住宅中庭北塀 庭側
内藤家住宅中庭北塀 水路側
件名 | 内藤家住宅主屋 内藤家住宅長屋門及び塀 内藤家住宅中門 内藤家住宅中庭北塀 |
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かな | ないとうけじゅうたくおもや ないとうけじゅうたくながやもんおよびへい ないとうけじゅうたくちゅうもん ないとうけじゅうたくなかにわきたべい |
数量 | 各1棟 |
登録(分類) | 登録有形文化財(建造物) |
登録日 | 令和5年8月7日 |
所在地 | 奈良市池田町 |
所有者 | 個人 |
小学校区 | 帯解 |
構造形式 | 主屋:木造平屋建、瓦葺、建築面積221平方メートル 長屋門及び塀:[長屋門]木造平屋建、瓦葺、建築面積38平方メートル、[塀]木造、瓦葺、延長3.7メートル 中門:木造、瓦葺、間口1.4メートル、袖塀付 中庭北塀:木造、瓦葺、延長12メートル |
年代 | 主屋:明治前期/明治後期・昭和40年頃改修 長屋門及び塀:明治前期/昭和40年代改修 中門:昭和前期 中庭北塀:明治43年頃 |