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今回の展示は、ご好評いただきました令和2年度の特別展示「ナニこれ!?-平城京出土の用途不明品-」の続編となります。前回は類例も少なく、その形状・材質をみただけでは、使い方がわからない用途不明品とよばれる一群の出土資料のうち、奈良時代の平城京出土品を紹介しました。
しかし、奈良市内には、平城京の他にも様々な時代の遺跡があり、それら各遺跡から発掘調査担当者や研究者が頭をひねる、ある意味、謎を秘めた用途不明品等が出土しています。
そこで今回は、奈良市内の縄文時代から江戸時代までの遺跡から出土した用途不明品等を、4つのテーマに分け展示・紹介して、今後様々な視点で活用されるきっかけとなることをも目的として開催します。
奈良市内の調査で出土した遺物の中には、類例も少なく、その形状・材質をみただけでは、使い方がよくわからないものがあります。ここではそのような、ある意味、謎を秘めた興味深い遺物をパネルとともに紹介します。
主な展示品:柱状突起がある土製品、杓子(しゃくし)形木製品、刺突紋がある土器、石製有孔円板、唐三彩陶枕、球状土製品、車形木製品、円板状土製品、円柱状土製品
刺突紋がある土器(弥生時代後期)
何を表現したものかわからない造形や、何を表現しているかはわかるものの、どんな意図が込められているものかわからない造形を紹介します。また、はっきりとした意味が分からない線刻画や墨書もあわせて紹介します。
主な展示品:絵画土器、石見型埴輪、人面が付いた浄瓶(じょうへい)片、リボン記号の墨書土器、鳥紐蓋(とりちゅうふた)、紀年銘の墨書がある石、巴紋軒丸瓦、漢数字を墨書した土器片、ヘラ書きがある備前産陶器甕、線刻画がある瓦
石見型埴輪(古墳時代後期)
出土品のなかには、通常のものに比べサイズが異なるもの、あるいは必要なはずの部分が無いもの、逆に何かが付属するものもあります。ここではそのような、何であるかはわかるものの、どのように使われたものか、よくわからないものをパネルとともに紹介します。
主な展示品:蓋に突起が付いた亀甲形陶棺、円筒形陶棺、側面に紋様がある塼(せん)、無文銀銭、無紋軒平瓦、大安寺出土ガラス、大型の浄瓶片、三足付皿、面、蛭藻金(ひるもきん)
蛭藻金(ひるもきん:室町時代)
遺跡からは様々な祭祀・宗教関係遺物が出土します。しかし、考古学は主にものを研究対象としますので、ものとして残らない過去の人間の心の研究は、苦手とするものの一つです。それでも文献史料や民俗学などの成果を比較検討して、さまざまな仮説が出される魅力ある遺物をパネルとともに紹介します
主な展示品:塼仏(せんぶつ)、密封した土器を重ねた埋納遺構、宅地の四方と中央でみつかった埋納遺構、焦がして描かれた人形(ひとがた)、鳥形、人面墨書土器、束ねられた人形、緑釉陶器の瓶(へい)に封入された人形、立体人形、土師器の皿で密封された斎串(いぐし)、木偶、土師器高台付皿、こけら経、犬形土製品、墨書皿
犬形土製品(室町~江戸時代)
奈良市埋蔵文化財調査センター 展示室
令和4年10月1日(土曜日)~令和4年11月30日(水曜日)
午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)
10月は全日開館。
11月は土・日・祝日休館。ただし、11月3・19・20日は開館。
無料