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奈良市、一般社団法人TOMOSU(以下、TOMOSU)、西日本電信電話株式会社(以下、NTT西日本)は、2020年11月10日(火曜日)より、「社会課題の解決と新たな価値創出を実現する奈良リビングラボ構築に関する共同実験」を開始します。
近年の多様化・複雑化する社会課題に対しては、行政の取り組みだけでは対応が困難になってきており、また、企業においても社会的価値を生み出す事業の創出に注目が集まっています。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大に伴いコミュニケーションのあり方が一変したことで、子育て・教育や介護など様々な領域において、行政サービス及び企業サービスのあり方や働き方の変革が求められ、これまでの延長ではない「ニューノーマル」を積極的に生み出すことが社会全体で必要となっています。
これらの状況に対して、今回、三者共同実験を開始することで、地域において多様化・複雑化する社会課題解決への対応と地域を基点とした全く新しい価値創出を実現する仕組みの構築をめざします。この取り組みが社会的価値を生み出すことに関心のある企業を地域へと積極的に呼び込み、新しいことに取り組む機運を高め、地域の企業や地域に暮らす人たちによる新たなチャレンジや創業を促し、「新たな価値を創出するまち」の実現をめざしていきます。
共同実験の全体像
ここ10年あまり、日本においても社会環境の変化に対して、企業がこれまでとは異なるイノベーティブな事業やサービスを生み出すため、生活者とともに新しい課題設定やプロトタイプの開発・検証を行う「リビングラボ」の手法が注目されており、「ニューノーマル」の創出が求められるコロナ禍においてその重要性を増しています。
一方で、プロジェクトベースで進められることが多い「リビングラボ」には、地域との関係における持続性をめぐる課題があります。また、企業が社内で検討した仮説を検証するフィールドとして地域を捉えてしまうことで、生活者が目の前にいるにも関わらず新たな社会課題の探索機会となりづらいという課題もあり、これらを乗り越える必要があります。
奈良市は、1300年以上の歴史をもつ持続的なまちであり、国際的な観光都市である一方で、京阪神の大都市のベッドタウンとしての機能を担っています。新型コロナウイルスの影響によって新しい生活様式や働き方への転換が求められている中、奈良市として「住みやすいまち」の魅力を高めるだけでなく、近隣都市へと通勤していた住民がリモートワーカーとなることを積極的に捉え、企業が新たな事業やサービスを生み出す際のパートナーとなるべく、豊富な文化・自然を生かし、新たな知見の集積を通じて「新たな価値を創出するまち」に転換していくことをめざしています。
TOMOSUは、2019年4月に設立された地域に根ざし、世界に開かれた団体です。行政や民間主体とのパートナーシップを結び、新たな「公」の担い手となることをミッションとし、地域にある課題を解決し、世界に向けて価値を発信する中間支援組織となることをめざしています。活動のひとつとして、奈良市から「創業支援事業」を受託し、2020年3月にリニューアルオープンした創業支援施設「BONCHI」※1の運営などを行っています。
NTT西日本は、地域の抱える社会課題に対し、先頭に立ってICTの力で解決を牽引する「ソーシャルICTパイオニア」をめざす中で、企業単独ではなく地域とともに価値を共創するリビングラボ手法に注目しています。これまで大牟田市等との共同実験※2を通じて蓄積してきた知見を活かし、社会課題解決の基盤としての方法論確立を進めています。
「新たな価値を創出するまち」をめざす奈良市とTOMOSUは2019年8月から協働を開始し、創業支援をはじめとした様々な取り組みを進めてきました。リビングラボについても当初より注目し、検討を重ねる中でNTT西日本との協働の機会を得ることとなり、今回の三者共同実験に至りました。今後、既存のリビングラボが抱える課題を乗り越え、具体的な社会課題解決プロジェクトを通じて「奈良リビングラボ」を定常的な仕組みとして構築していきます。
※1:「BONCHI」は、創業支援施設でありながら、特定の目的を持った人だけではなく多様な人に開かれた空間づくりが評価され、2020年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しています。
https://bonchi.fun/<外部リンク>
※2:地域と企業が新しい形で関わり合うパーソンセンタードリビングラボによる社会課題解決の共同実験を開始
https://www.ntt-west.co.jp/news/1908/190830b.html<外部リンク>
本共同実験では、「子育て」や「働き方」等に関する具体的な社会課題解決プロジェクトの実践を通じた「奈良リビングラボ」の構築を主題とし、仕組みのあり方について検証、知見を蓄積していきます((1)「奈良リビングラボ」の構築・実践)。
その際、「奈良リビングラボ」が自律的なものとして機能し、広く地域に波及効果を生み出しながら発展していくため、奈良市独自の仕掛けとして、(2)これからの時代を読み解く問いや知見の集積・発信、(3)人の創造性を引き出す「地域に広がる新たなワークスペース」の創出をあわせて実装し、新たな価値創出の循環を生み出します。
「奈良リビングラボ」においては、単に地域住民と企業とをマッチングするのではなく、奈良地域に根差して定常的に活動する中間支援団体であるTOMOSUの存在を生かすことで、地域と企業の両者に寄り添いながらプロジェクトを組成し、双方で共有できるビジョンづくり、そのビジョンを実現するための本質的な課題を探索・設定します。また、その課題を解決することが見込まれる政策形成やサービス・プロダクトのコンセプトづくり、プロトタイプの開発・検証等に伴走することで、社会課題解決を推進します。
●プロジェクト例:妊娠・子育てに関する課題解決プロジェクト(TIS株式会社との協働)
全国的に妊娠や子育てに困難を抱える親が増えている中、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛等の影響により、さらなる孤立が課題となっています。こういった社会的な背景や奈良市における状況を踏まえ、自治体、企業、住民が協働するプロジェクトを組成し、政策的な取り組みやサービスのあり方についての検討を進めます。
※このほかにも、共同実験期間を通じて随時リビングラボのテーマを選定していく予定です。
「奈良リビングラボ」にて、本質的な課題設定を行うために、これからの時代を読み解くための問いや知見を集積します。具体的には、随時テーマを設定し、奈良市内外の大学・企業・団体の実践者・有識者との対談を通じて問いや知見を集積するとともに、Webメディア等で発信していく取り組みを実施します。これにより、「奈良リビングラボ」に興味・関心を持つ企業や社会課題の解決や新たな価値創出に意欲を持つ人たちが集うことをめざします。
「奈良リビングラボ」に集う人たちの創造性を引き出す場、職住近接の動きが加速する時代に対応した新しい働き方を体現する場として、「BONCHI」のコワーキングスペースをハブとした「地域に広がる新たなワークスペース」の創出に取り組みます。これをきっかけとして、リモートワークを創造的なものへと変え、奈良市が「住みやすいまち」というだけでなく「新たな価値を創出するまち」へと発展していくことをめざします。
※3:NTT西日本では、NTT研究所の、地域と企業が共創して社会課題解決を加速させるリビングラボのプロセスを体系化した「社会課題解決のためのコクリエーションメソッド技術」等の研究成果を活用しています。これは、リビングラボに関するデンマーク工科大との共同研究、東北大との共同研究、大牟田市との共同実験における実践知に基づいています。
2020年11月10日(火曜日)~2021年10月29日(金曜日)
今後、奈良市、TOMOSU、NTT西日本では、「奈良リビングラボ」の仕組みを活用し、社会的価値を生み出すことに関心のある企業を積極的に地域へと呼び込み、新しいことに取り組む機運を高め、地域に暮らす人たちによる新たなチャレンジや創業を促し、「新たな価値を創出するまち」の実現をめざしていきます。
※電話番号をお確かめのうえ、お間違いのないようお願いいたします。
観光経済部 産業政策課 [担当:松本]
TEL:0742-34-4741
E-mail:sangyoseisaku@city.nara.lg.jp
TEL:0742-27-1111
E-mail:info@tomosu.org
ビジネスデザイン部 [担当:松浦]
E-mail:livinglab@west.ntt.co.jp
西日本電信電話株式会社
広報室報道担当 [担当:岩橋]
TEL:06-4793-2311
社会課題の解決と新たな価値創出を実現する奈良リビングラボ構築に関する共同実験を開始 [PDFファイル/216KB]